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脂質ってなに?炭素を濃縮して蓄えた、もしもの時のための「エネルギー貯蔵庫」。栄養の基礎知識【地球の栄養と人間の身体の仕組み】#3

前回は、3大栄養素の1つ「炭水化物」について解説しました。

今回は「脂質」について、わかりやすく説明します。

※本記事は、ベジタブルテック(株) 代表取締役 岩崎の動画のリライトです。栄養学について解説しています。動画はこちら


脂質とは?

赤:水素、青:酸素、黄:炭素

脂質は、水素・酸素・炭素の3種類の元素からできてきます。
これは炭水化物と同じ材料ですが、 脂質は炭素の量が多いのが特徴です。

もしもの時のための「エネルギー貯蔵庫」

炭水化物は燃焼しやすく、すぐにエネルギーとして使われます。
でも、生物が生き残ろうと思うと、敵がきたら戦ったり逃げたりしなければいけません。逃げながら食べるのは難しいですよね。
そのため、ある程度食べたら、エネルギーをすぐ使うのではなく、一度温存して、もしもの時のために使う必要があります。
その保存型の栄養が脂質です。体は、炭水化物を脂質に変え、炭素を濃縮して蓄えます。これが「脂質合成」です。

必要以上に脂質を蓄えると肥満の原因に

脂質を「炭水化物の保存型」と考えると、脂質は炭素を濃縮して効率的に蓄えた形と言えます。

脂質はもしもの時のための「エネルギー貯蔵庫」なので、燃焼せずに必要以上に蓄えすぎると、肥満を引き起こします。蓄えすぎた脂肪を減らすには、炭素を燃焼させて消費する必要があります。

エネルギーの循環は、炭素の循環

ここまでで、炭水化物と脂質は、基本的に炭素を燃焼し、我々の体を動かすためのエネルギー源であることが分かりました。 
体内でこれらを燃焼すると、糖質と脂質は、両方とも二酸化炭素として呼吸で排出されます。これが炭素の出口です。呼吸でしか炭素を体外に出すことはできません。

排出された二酸化炭素は、植物が光合成で吸収し、糖質や食物繊維に変換されます。その糖質が動物に取り込まれ、体内で脂質に変化したり、私たちがそれを食べたりすることで、炭素は循環し続けます。

食べたものは、燃焼して、呼吸により空気中に帰ります。
つまり、「エネルギーの循環は、炭素の循環」であることがわかります。

炭素は呼吸で体内を循環する

糖質と脂質は、どちらも「燃焼する炭素の塊」です。この炭素の塊は我々が食べた後、体内で燃焼され、呼吸で排出されます。

具体的には、呼吸によって肺から酸素を吸収し、その酸素を赤血球がキャッチして運んでいきます。細胞の中に酸素を渡すことで、細胞内の糖質や脂質を燃やし、二酸化炭素となって細胞から出ていきます。そして、その二酸化炭素はまた赤血球がキャッチして、肺から大気へと排出していきます。

これが 呼吸と循環です。そのため、呼吸が不十分だったり、貧血や細胞の機能低下があると、燃焼効率が悪くなります。

INとOUTの炭素量が同じなら、体重は変わらない

こういったことは、分かりやすく言うと、太りやすさ痩せやすさにつながります。エネルギーの循環だけで見ると、 炭素の摂取量が増えるほど、蓄積する部分が体脂肪になります。
つまり、食べる炭素の量が多ければ高カロリーに、呼吸で排出する二酸化炭素の量が多ければ消費エネルギーが多い、と言うことです。「食べる炭素の量」と「出ていく炭素の量」が一致していたら、体重は変わりません。

<エネルギーの収支>
炭素の「IN」(摂取)と「OUT」(排出)で考えられます。

  • 炭素の摂取量=排出量  → 体重維持

  • 摂取量 < 排出量    → 痩せる

  • 摂取量 > 排出量    → 太る

体重をコントロールするには「食べる炭素」と「出ていく炭素」のバランスを意識することが大切です。


このように、エネルギーの代謝は、 炭素のバランスで考えることができるんです。脂質や糖質の代謝を「炭素の循環」として理解することで、エネルギーの使われ方や体重の変化をより深く捉えることができます。

P.S. このように、人間の身体の仕組みを押さえていないと、ダイエットや体作りを始め、栄養や健康のことを深く理解することはできません。
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