見出し画像

"低温蒸し"に魅せられて

こちらの記事でも書いていたように、いつの間にか「蒸し料理(低温蒸し)」に夢中になっていた私。

当時から、蒸し料理を追求し続けて、思ってもみなかった蒸し料理の魅力や、活用アイデアを紐解いてくると、

ついには「蒸し料理研究家」と名乗るようにまでなりました。

今までよりもはるかに多くの方々に、私のアイデアを見て頂いたり、実際に取り入れて頂いて色々な嬉しい実体験を伺うようになった今、

「蒸し料理」の可能性を感じていると同時に、その魅力をさらに多くの方にお届けしたい、という気持ちが高まってきています。


毎日欠かせない わたし流の「蒸し料理(低温蒸し)」

一般的には「蒸籠」を使って、カットした野菜をきれいに並べて蒸して、何かソースをつけて食べたり、

蒸しパンや焼売のようなものを調理したり、そういうものが「蒸し料理」として知られているかなと思います。

Canvaで「蒸し料理」と検索してでてきた
フリー写真素材

ですが、私が毎日好んで取り入れているのは、蒸籠を使わず

身近にある【フライパン】と【蒸しプレート】を使って、
低温でじっくり火を通してから、カットや味付けなどの仕上げをする

というスタイルの、手軽な蒸し調理です。

主役級の【常備菜】から
蒸し素材を使った【焼き菓子】まで
蒸し調理の可能性は無限に広がっていきます…🥹✨


わたし流 基本の蒸し方

私は、直径20cm程度のフライパンと、それにちょうどぴったりはまるような蒸しプレートを持っていたので、こちらを毎日活用。

普段使っている「蒸しプレート」(落し蓋にもなるタイプ)
レモンでお手入れができます:詳細


ですが、大きさを変えられるタイプの蒸しプレートだったり、
蒸しプレート付き圧力鍋だったり…

色々なものがあるので、生活の中で取り入れたい場合は、ご自身の状況に合わせたものを使って頂けたら…と思っています◎

※普段使っている調理器具などはこちらにまとめています😊




野菜や乾燥豆など、蒸すものによって加熱方法や時間が変わってきたりするのですが、こちらでは基本的な部分をまとめておきます◎

それぞれの詳しい蒸し方などは、ひとつひとつのレシピに記載しているので、そちらを参考にしていただけたら嬉しいです😊

①フライパンに水を入れて、蒸しプレートをセット。

水の量は、蒸しプレートについている足の高さぐらいで、
蒸しプレートの面部分に触れるか触れないかぐらいの水を入れます。

蒸しプレートを置いたら、蒸しプレートの表面が水についていない(蒸しプレートの穴から水が出てきていない)ことを確認して、この時点で水が多すぎたら、少し減らしてください◎

②蒸したいものを丸ごと置いて蓋をする

カットしてしまうと、断面から栄養や美味しさが流れ落ちてしまうのはもちろんですが、

カットする手間や労力を省くためにも、丸ごと蒸してしまいます◎

とはいえ、大きくて入らない場合はカット

断面が下に向かないようにすれば、栄養・美味しさが流れ落ちるのを最小限にできます😊

火力は低温(沸騰寸前)をキープ。
弱火でも加熱を続けていると、水が小さくぷくぷく音を立ててきますが、それを通り越して、ぶくぶく大きな音になってきたり、上から泡が見える状態(沸騰してしまった状態)になったら、火を弱めたり止めたりして調整を。


③適宜水の追加を

低温で加熱していても、長時間蒸していると水がなくなってフライパンが焦げてしまうことも。

それを防ぐために、途中で水分がなくなったら「水」を追加します。

慣れないうちは5分ぐらいずつタイマーをかけて様子見を◎
水を入れすぎると茹で状態になってしまうのも注意。


④柔らかくなったら引き上げる

蒸している素材の種類や、その用途にもよりますが

人参やひよこ豆など、固めのものは20~40分ほど蒸して、すっと串をさせるぐらいになったら引き上げます。

きのこやほうれん草など、すぐに火が通るものは5~10分ほど蒸して、うるっとしんなりしたら引き上げて大丈夫です◎

それぞれの詳しい蒸し方は、ひとつひとつのレシピに記載しているので、そちらを参考にしていただけたらと思います😊

お使いの調理器具や、その時の状況(蒸気のあたり具合)によっても、蒸され加減は変わるので、

時間に縛られず、"その素材が中までしっかり蒸されているか"(甘みや旨味が、最大限引き出てきているか)

に注目することが、蒸し料理生活を存分に楽しむことに繋がっていきます…!

「この食材は5分でいいと言われているから、絶対5分で引き上げよう」
と決めてやってしまうと、"加熱が十分でなく青臭さが残っているのに早めに引き上げてしまう"ということも起こり得るので、

時間を決めすぎず、色々な食材を蒸していく中で、「この素材はこれぐらいで美味しくなるんだ」という感覚を身に着けていけると、後のためになってくるなと、経験上思っています◎


⑤用途に合わせて、仕上げ

蒸しあがった素材は、冷ましてからカットして、調味料と和えたり、グリルしたり…

はたまた、柔らかめに蒸したものをペースト状にして

焼き菓子に変身させたり….

などなど、おかずからおやつまで、色々なものにアレンジを広げて、毎日楽しんでいます😌

※レシピ検索(一覧)はこちらから(カテゴリーごとに探せます)


よくご質問いただく「うまく蒸せない」というお悩み(特にレンズ豆・切り干し大根)は…

上記でまとめたポイントを意識することで、解決へと向かえます。

焦らずにじっくり、基本を意識しながら、ご自身のペースで試してみてください😊

※蒸し豆・蒸し乾物については⇩も参考までに


どうして "低温" で蒸す?

世で言われている「低温蒸し」は、"30~60℃"、"70℃"、"60~90℃"など100℃未満の温度でじっくり蒸す方法で、

栄養やうま味成分が溶けだしたり、なくなってしまうのを抑えながら、野菜などを美味しく加熱処理することができるもの。

食材の素材の成分の中に含まれる "あく" や "悪臭" 、"えぐみ" などをなくすのに効果的だったり、

"低温" で蒸すことのメリットが色々とあるそうです😮

参考文献:
平山一政. (1997). 低温スチーミング調理. 日本調理科学会誌, 30(4), 381-386.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1995/30/4/30_381/_pdf

豊泉友康, 神谷径明, & 望月麻衣. (2016). 低温スチーム加熱が野菜中のアスコルビン酸含量に及ぼす影響. 日本食品科学工学会誌, 63(8), 351-355.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/63/8/63_351/_pdf


とはいっても、時間も手間もかかる…?


そういう情報を見聞きして、じゃあいざ私が自身の生活に取り入れるとしたら…と考えたときに

専用の蒸し器を買ったり、毎回温度を厳密に測りながら調理したり…というのは、ちょっと現実的ではないのかもと、はじめはあきらめかけていました。

それでも、ふとした時に今使っている蒸しプレートを手に取るタイミングがきて、自分なりにやりやすい方法を模索してからは、

低温蒸しは色々な手間を省いたり、時短につながったり私の生活を支えてくれる心強いものになると分かりました🥹

温度を厳密にははからず
低温→「沸騰寸前の火力をキープ」と私の中で決めて、気楽に◎


確かに、調理している時間はレンジ調理や炒め物などに比べたら長くはなりますが、

野菜を切らずに蒸しプレートにのせて、あとは蒸している間に作業や掃除、外出支度などなど色々なことができて、

加熱が終わったらカットして味付けするだけで済む。(→調理例動画

そして、切り干し大根などの乾物の水戻しや、ほうれん草などを茹でた後の水さらしなどは、蒸し調理をすれば省くことができる。(→調理例動画

そんな感じで、トータルで見ると、手間を省くこと・時短につながって、精神的・時間的ゆとりができたことを、日々実感しています。

蒸し調理が定着してからは
毎日毎食、10近くの作り置きおかずを寄せ集めて食べるのが
当たり前に🥹


レンチンや蒸し煮 / 蒸し焼き は…?

今では便利な調理器具が安価で手に入るようになってきていて

電子レンジでも蒸し調理ができたりします。

そして、わざわざ蒸しプレートを使わなくても、

フライパンや鍋の底に少しの水と素材を一緒に入れて、蓋をして「蒸し煮 / 蒸し焼き」する方法もあったりすると思います。

そんな中で、「電子レンジ」での蒸し調理ではなく、「蒸し煮 / 蒸し焼き」でもなく、

「フライパン+蒸しプレート」を使っての "低温蒸し" にこだわるのは、ちゃんと理由があって…

まず、電子レンジと比較をすると….

電子レンジ ⇔ フライパン+蒸しプレートでの低温蒸し
____________________________

①カットしてから加熱 ⇔ 丸ごと加熱できる(栄養や旨味が流れにくい=より美味しくなる

②途中で取り出すのが難しい ⇔ ふたを開ければ順番にさっと取り出せる
(=色々な食材を入るだけ詰めて、火が通ったものから取り出して、数品作り置きする方法が、蒸しプレートの方だとできる)※こんな感じ

蒸し煮 / 蒸し焼きと比較すると…

蒸し煮 / 蒸し焼き ⇔ フライパン+蒸しプレートでの低温蒸し
____________________________

①カットしてから加熱 ⇔ 丸ごと加熱できる(栄養や旨味が流れにくい=より美味しくなる

②途中で取り出すのが難しい ⇔ 順番にさっと取り出せる(=色々な食材を入るだけ詰めて、火が通ったものから取り出して、数品作り置きする方法が、蒸しプレートの方だとやりやすい)※こんな感じ

③えぐみ・よごれを落とすのが難しい ⇔ えぐみ・汚れを落とせる(※下の写真で解説)ほうれん草などの水さらしが不要

のような良さがあると感じていて、フライパン+蒸しプレートでの低温蒸しをしない日はないほどの、毎日を送っています😊

※③に関して補足
これは香ばしいお茶ではなくて
【蒸した後のフライパンに残った澱んだ水】です…
(まずいので、飲まないでくださいね 苦笑)
蒸しプレートを使って蒸すことで
素材の汚れやえぐみなどが全部下に落ちてくれることが
これでよくわかります…!!


日常に取り入れると…

私が一番日常で助けられているのは、低温蒸しで作る「常備菜」

作業時間5分以内5品作った時の

これまでにもちょこちょこ書いてきましたが、

入る分だけ食材を入れて蒸し始めて、蒸している間に作業や家事などをこなし、

柔らかくなったものから取り出してカットしてそれぞれ味付け

という感じで調理すれば、作業時間5分程度で何品もできあがるー

※「何品も」というのは、塩だけでも素材そのものの甘さや旨味がぐっと引き出てくれるので、1素材でメイン級の1品ができる(=野菜の種類の数分だけおかずができる)ということです😊

どんなに忙しい時でも、この方法のおかげで作り置きおかずを切らすことなく楽しめています…!

参考動画①:"副菜" が "メイン" になる作り置き
 参考動画②:【作業時間5分以内で】ヘトヘトなときでも手軽に作り置き

そして、この作り置きおかずストックがあれば、毎食前は5分以内でお皿に盛り付けて食べるだけで◎に…!


何より、常備菜だけでは終わらないのが、「低温蒸し」をもっと楽しむ私のこだわり。

例えば、野菜を蒸して素材の美味しさを引き出したり、柔らかくしてからグラタンのようなグリル料理にしたり

塩だけでとっても甘く仕上がる
人参と玉ねぎのグラタン


はたまた、野菜や豆を蒸して甘く&ペースト状にしたものをケーキ生地にいれて焼き菓子にしたり…

左:蒸しさつまいもを入れた 「まんまるブラウニー」
中央:タルト生地を蒸し人参で作る「ココアタルト」
右:蒸し人参をケーキ生地に入れた 「ティラミス風」

とびっきりの素材の甘さや旨味に癒されながら、ここまで色々と広げられるワクワク感は

摂食障害やうつ病を患うなど、精神的に不安定になりやすい私を日々支えてくれる

なくてはならないものだなって、しみじみ感じています🥹


私の知らなかったこんな魅力も…

普段私の投稿を見て、実際に私流の低温蒸しを取り入れてくださった方から頂くコメントやDM。

素材そのものが持つ、本当の甘さに気づけた感動は、私も当初抱いていましたが、

他にもいろいろと頂いたコメントを拝見していくうちに、

私が知らなかったメリットに気づけて「低温蒸しって私が思っている以上に、魅力を秘めているのかもしれない…」と思えてきました…😮

例えば….

満足感が出て、過剰な食欲を抑えたり、

苦手だったものが美味しく食べられるようになったり


腸や肌の調子がよくなったり


なにより、

自閉症の方の「癇癪が激減した」というのには一番驚きでした…。

やはり、素材のあふれんばかりの甘さや美味しさでほっとできるからなんだろうなと実感しています🥹


これからももっと

初のレシピ本出版のお声かけを頂き、「低温蒸し」の魅力をもっと紐解いていこうと、ますます意気込んでいる今、

乏しい発信力ゆえに、なかなか思うようにアイデアや魅力を多くの方へ届けられなかったり

伝えたいことがうまく伝わらなかったり…色々と山積みになっている課題があると痛感しています。

わたしだけでなくて、周りの方の嬉しい変化を見聞きして、より「低温蒸し」の可能性を感じられるようになってきたからこそ、

自分がまずは心地よくてワクワクできて、かつ周りの方の支えになれるようなコンテンツを生み出して

お届けしていきたいと思っています😌


あいり


いいなと思ったら応援しよう!

あいり | 蒸し料理研究家
頂いたサポートは、これからの活動費に大切に使わせて頂きます😌(私がコンテンツ作りの為に購入する食材は、全て自然栽培やオーガニックのもののみのため、そういった生産者の応援に繋がります☺️✨)