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ミッションがあると人は離れて行かない。会津喜多方の「堰さらい」で学んだこと


農水省の認定するつなぐ棚田遺産の「上堰棚田」

福島県喜多方市山都町。雪まだ残る飯豊連峰を望む山里に、


全長6㎞にも及ぶ山腹水路「本木上堰」 農水省認定・つなぐ棚田遺産「上堰棚田」まで水を引く


江戸時代、会津藩の命により12年かけて開削された水路「本木上堰」があります。毎年5月4日に行われる「堰さらい」には、都市部から多くのサポーターが参加します。

堰さらいで絆を構築
当事者・仲間意識は協働から

堰さらいボランティアが始まったのは2000年。
27歳の時に、この地に新規就農してきた浅見彰宏さん(54)は、
江戸時代に築かれた先人の偉業と水路の歴史に驚くと同時に、水利組合のほとんどが70代以上の高齢農家だと知り、
「このままでは堰も田んぼも維持できなくなる」と、都会で働く友人7人に声をかけて集まったのが、堰さらいのきっかけです。


 無償ボランティアでわざわざ都会から交通費と時間をかけて、親戚でもない他人がやってくることに、
最初、地域の人は疑いを隠しませんでした。提案がすんなりと進んだわけではなかったそうですが、
その時に力になってくれたのが、浅見さんより1年早くこの地に移住し、
就農していた大友治さん(75)でした。
堅実な働きぶりで、地域の信頼を得ていた大友さんの協力もあり、
7人のよそ者が加わる初めての堰さらいが2000年に始まったのです。
その後、「本木・早稲谷 堰と里山を守る会」を結成し、受け入れ体制を整えてきました。
 当時は30人いた水利組合の地元農家さんは、23年経ち、
今では大友さん、浅見さん、そして唯一の地元農家である山之内紀夫さんというわずか3人になりました。
 

去年8/3の豪雨災害で土石流が起き、江戸時代から続く山腹用水の複数箇所が損壊しましたが、これから復旧大工事の計画。
フォークで落ち葉と泥のかたまりをすくっては谷の下へ、すくってはかき出す作業。今年の5月4日は、44人が参加しました。


筆者も農用フォークを手に臨みました。

水路にたまった落ち葉や泥をひたすらかき出す人海戦術は、腕と足に堪えますが、
初夏の草花や多様な生き物の息吹を感じながらチーム協同でかく汗は心地よく、達成感があります。

働くって何か⁉︎
いろいろ感じたり考えることありました。
間違いなく言えるのは、達成感というか自己有用感、自己肯定感上がる上がる


何より作業のあとのカレー、ビールのおいしいこと~(^^♪

上堰米のお酒もおいしかった〜♪


わらび、ぜんまい、こごみ、自家養豚の豚カツいろいろ

作業後のビール、上堰米のお酒、山菜や郷土料理、交流会での語らい。
堰と里山を守るサポーターとの関係は20余年続いています。


イカリソウ


#特に後世に伝えたいふくしまの水文化
#つなぐ棚田遺産
#上堰棚田

5/4「本木上堰の堰さらい」
棚田へ水を引く山腹水路の清掃に参加して、感じたこと、考えたことを書きました。
(日本農業新聞23.5.9今よみコラム)

交流が長く続く理由を浅見さんは、「堰さらいという共同作業」が、
サポーターを外からの来客から「お米とお酒と里山自体の存続に関わる運命共同体」に変えていったと話してくれました。
311後の風評被害で消費者離れを経験した福島県ですが、
堰さらいには2011年の5月でもいつもと変わらず33人がやって来たというのです。

ミッションがあると人は離れない。

既存の都市農村交流とは大きく一線を画す、堰さらいの絆とは。
単なる消費者ではなく、地域の疲弊を自分ごととしてとらえる当事者意識は、お客さん扱いでは生まれません。

同時に自分が役に立つ喜び、働く有用感が得にくい都市社会と比べ、
自分の働きで清らかな水が流れ、農村が保たれる実感は、物をもらうより貴重な心の満足となります。

自分が作ったお米はおいしい。自分が掃除した水路は尊い。
多面的機能の重要性が高まる中、国産消費、農村人口、環境問題の解決には、教育の再考が不可欠ではないでしょうか。
産消の壁を取り払い、協働を交え、心を通わす提携をすれば、生き方も消費行動も変わります。
堰さらいの交流は、都市農村問題を人の心理から問い直す一つの答えだと感じました。


小川町で有機農業を学んだ後、新規就農した浅見 彰宏さんの発案で大友 治さんと結成した「本木早稲谷堰と里山を守る会」

2000年から23年、311も原発も風評も乗り越えてなぜたくさんの都会の人達が堰さらいに通い続けるのか。
浅見さんが参考にしたのは、有機農業界で知られる「(産消)提携」。
最近はCSAなどと呼ばれる(コミュニティがサポートするアグリカルチャー)スタイル。
都市農村交流、提携の「関係性」にも濃淡があり、第二のふるさと、親戚づきあい、
いろいろあるけれど、堰さらいという地味〜で実務的な労働作業を毎年続ける関係にこそ、
本物の共助、友好、同志、運命共同体という絆が生まれる仕組みが隠されていました。 

何かあると離れていく買い支えと、何かあるとむしろもっと支援協力したいと心を寄せる支え方、
その心理の間には大きな溝がある。
それを埋めるには、
おもてなしはしない。お客さん扱いはしない。

コラムでは書ききれない発見があり、都市と農村の関係をフェアに!
わたし自身が抱えていた問いの答えは、これだーーと教えてもらった気がしました。


与える人か、もらう人か。
もらうのに慣れてしまうと、もっとくれー!ってなるけど、実は足りないって言われると、え、そうなの、じゃあこっちにあるものあげようか、ってなるのが人間ではないか。
浅見さんは「「これまでの)有機農業は、たくましい生産者を育てることには成功したけれど、たくましい消費者を育てることはできなかった」。
というある人の話をしてくれました。
なるほどと考えていたのだけれど、
もしかしたら
消費者というカテゴリーの側(消費サイド)にいる限り、たくましくは、なり得ないのではないか。
なんてことを言うと言い過ぎかな。


うるい(オオバギボウシ)

おまけ)堰さらいで見つけたうるい(オオバギボウシ)のおひたしと山之内さんちのぜんまいで昨日は晩酌〜♪
ありがとうございました。

#新規就農#自己肯定感#棚田#有機農業#移住#喜多方#里山#福島県#教育

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