仮想政府があるといいな (1)
アプリやプログラムの開発者はみんな知っている。
「(アプリの)開発環境設定」の大変さ。
なるべく干渉が起きないようお互いに隔離されたスマホアプリのような世界では、過去にインストールした他のアプリの影響で新しいアプリがうまく動かない、という昔からある事態はずいぶん減った。
けれども、単にアプリをインストールするわけではなく、「アプリを開発する」場合、色々と「アプリの作成専用のプログラム(VisualStudioみたいなプログラムのエディタとか、TensorFlowみたいなAI作成用ライブラリとか)」を入れる必要がある。
これらを普通は「開発環境」というが、ここでは、後で出てくる「仮想環境」と区別するため「開発ツール」と分けて呼んでおこう。
「開発ツール」は、普通のアプリよりも、OS(環境)の設定を勝手に変えてしまう頻度が高い。さらに、多くの場合、開発者は、次々と新しいアプリを作っていく。
なので、新しいアプリのための開発ツールもまた別に新しく入れる必要があり、さらにまた・・・と何個も違う開発ツールを入れるので、ツール同士が同じOS(環境)内でバッティングしやすくなる。それぞれの開発ツールによる設定たちが両立しないことがあるからだ。
大抵の開発ツールには、どのようにして使うのか、インストールする方法が書いてある。しかし、それはあくまで「クリーンな、何も他の開発ツールが入っていない環境」での方法だ。
過去の開発ツールがいっぱい入った特殊な歴史を持つ環境(「おま環」ともいう)では、ドキュメントに書いてある通りにインストールできないことが多い(というか、まずそのままでは入らない)。
その時、開発者は、自分の環境のどの設定が悪さをしているのか特定していく事になる。だがその作業は、単なる時間の無駄(何も生み出さないし、そこで得たノウハウはあまり他に応用できないことが多い)となる。
つまり、古い環境を直すのはとても大変なのだ。
だったら、ゼロから作った方がいい。
そこで流行ったのが「仮想環境」というやり方だ。
続く