VECTION

社会的チートの撲滅&死の恐怖からの非宗教的解放について、「それは無理」と確信しつつ、どうにかならないものかとあがく有志の会。

VECTION

社会的チートの撲滅&死の恐怖からの非宗教的解放について、「それは無理」と確信しつつ、どうにかならないものかとあがく有志の会。

最近の記事

「政党全廃に関する覚書」についての覚書

『「政党全廃に関する覚書」についての覚書』は、20世紀の思想家シモーヌ・ヴェイユの急進的な提案「政党の廃止」を現代的な文脈で再検討する試みです。 ヴェイユは「政党」こそが民主主義を毀損すると主張し、政党の存在を禁止し、議員は議題ごとに集合離散するべきだと主張します。政党は個人の自由な意思表明を制限し、感情的扇動によって人々を結びつけることで、集合知の機能を損なってしまいます。これは今日でも鋭い洞察として響きます。 彼女の提案は現代的な集合知という概念と大筋で重なっており、

    • リアルタイムbot議員のすすめ

      GIGAZINEの記事によると、googleのDeepMindが数学オリンピックレベルの幾何の問題を解けるようになったという。数学ができると、あらゆる論文を読んで考えることができるので、ほとんどシンギュラリティだ。 たとえば、リアルタイムで、シャーロック(コナン・ドイル作『シャーロック・ホームズ』シリーズを翻案したイギリス・BBC製作のテレビドラマの主人公)並みの推論ができるのならば、トリックだらけのプロパガンダもできるようになる。数学ができるというのは、実務的な側面を持つ

      • トラストレスなイメージへ

         自律した個における多様なアイデンティティの尊重と、それを裏付ける人権意識の高まりは、他方でどうしても、つながりを失って分断された個人に、孤独感や孤立感をもたらしてしまう。  そのような孤独感につけ込んで、多くの個がその傘の下に寄り添い合うことができるかのような、全体性の回復や伝統回帰のイメージ、あるいは、この人こそが世界を華々しく変革してくれるカリスマであるかのようなイメージを提示することで、人々を支配しようとする動きが目立つように思う。  自律した個として生きられるよ

        • 予算案から顔(能面:オモテ)を作ってみた

          「予算案から顔(能面:オモテ)を作ってみた」というテキストをmirrorに公開しました。 2020年の夏頃、VECTIONでは、当時の大規模言語モデルであるBERTを利用して、予算案の「意味」に基づき「顔」を生成するという遊びを開発していた。 予算配分は集団の性質をよく表す。だが、その全体像やつながり方を数値とグラフだけで把握することは難しい。 予算案の複雑で掴みづらい性質を、人の「顔」に要約したら面白いのでは?という発想から、この遊びが生まれた。 だが、「顔」の「意

          ChatGPT3.5の方が、4より良いケース

          マイナス功利主義について聞いてみたら… 事実の認識 要約の非自明さ 反復の少なさ 無関係な話題に逃げない ・・・の点で4がイマイチにみえる。だいぶ規制がかかっているにせよ、上の点はあまり関係がないので不思議。生成速度は五倍ぐらい3.5が速いので 涙目である。 プロンプトの工夫で回避できるとしても、素朴な入力が使いたい昨今ではある。 以下、その例。(「続けて」というプロンプトは省略)。 2023年3月15日時点。 GPT 3.5 マイナス功利主義について説明し

          ChatGPT3.5の方が、4より良いケース

          VECTIONについての詩をChatGPTに詠ませてみた

          GPT-4が試せるようになったので、「権力分立と希望の幾何学」のまえがき部分を読ませて要約、かつ行頭の縦読みがVECTIONになるように7行で韻を踏ませてみた。 Venturing into society's maze, Each issue faced, to analyze and appraise. Combating collusion, we're set ablaze, To seek justice, through the haze. In separat

          VECTIONについての詩をChatGPTに詠ませてみた

          条件、目標、制度、三つ揃わないと政治的チートが起きる

          mirrorに、「条件、目標、制度、三つ揃わないと政治的チートが起きる」というテキストを投稿しました。 要約すれば、 という内容なのですが、これだと当たり前のことを言っているだけのようにも思えるので、少し説明します。 VECTIONでは、「最小限の理想」として、PS3(苦痛最小化Pain reducing、持続可能性Sustainability、、スケールをまたいだ安定性Scalability、セキュリティSecurity)という提案をしています。 ここで理想とは、そ

          条件、目標、制度、三つ揃わないと政治的チートが起きる

          bot議員のすすめ

          「bot議員のすすめ」という記事を書きました。 「支持政党なし」という政党の存在や「合成党」というAIを党首とする政党の話に刺激を受けて、現在の制度からも地続きでもできる分散化・アルゴリズム化された政治への道について書きました。 上の画像はMidjourneyで生成したbot議員のイメージ。悪そう。

          bot議員のすすめ

          仮想政府があるといいな (7)

          特別行政区と仮想政府ミラーバジェットのような「仮想政府」は、いわゆる「特別行政区」の発想に似ている。 「特別行政区」とは、ある地域を指定して、そこでだけ規制を緩和することで、地域活性化や実験を行う仕組みだ。 特別行政区と仮想政府は、何が違うのだろうか? 仮想政府は「政府」そのものを別に作るというところに特徴がある。 開発ツールを入れるためにOSをオマケでつけるという発想は、余計な命令やしがらみがついてこないようにする必要があるという理由からだった。 つまり、ある個別

          仮想政府があるといいな (7)

          仮想政府があるといいな (6)

          仮想政府がたくさんあるといい理由2 「強化学習」というAIの技術がある。 ちょっと昔にAtariのビデオゲームをAIが、人間より上手くプレイして話題になった。しかし、その時点では、いくつかのゲームで人間に全く及ばなかった。人間にとって簡単な「迷路の脱出に使う鍵を遠くの部屋から見つけ出す」というようなタスクが解けなかったのだ。 もちろん、その後も地道な改良が続けられて、ついに全てのAtariのゲームで人間を越えるようになった。 技術的なポイントはいくつもあるが、かなり重

          仮想政府があるといいな (6)

          仮想政府があるといいな (5)

          仮想政府がたくさんあるといい理由 I 一つ目の理由。 公園などの公共財(そのための税負担)に対する選好が地域ごとに違う場合、中央政府が平均値をとってしまうと、全ての地方で平均値とその地域に即した理想的な税負担の差だけ不効率が生まれてしまう。これが、地方分権の基礎的な根拠の一つとされている。誰にとっても幸せでない、つまらない施策という感じだろうか。 恐らく、現代社会では、「地方」という物理的境界だけではなく、「趣味」や「スキル」といった「仮想的境界」による選好の違いも無視で

          仮想政府があるといいな (5)

          仮想政府があるといいな (4)

          上の続き。 ミラーバジェットと仮想政府があふれる未来 ところで、我々は以前こんな提案をしている。 詳しくは引用先を見て欲しいが、要するに、国民全員が「政府」となって予算配分を決め、それをうまく集計することで、できるだけ政府なしに税金の使途を決めるという仕組みだ。リンク先では、それを「ミラーバジェット」と呼んでいる。 現状、税金の徴収には中央政府の強制力が必要で、政府をなくすことはできない。だが、「集めた税金の使い道を政治家が決める」という部分は無くし(あるいは減らし)

          仮想政府があるといいな (4)

          仮想政府があるといいな (3)

          上の続き。 クリーンな環境(OSまたは政府)を目指して 政府、改革、とくれば、セットでついてくるのは「過去のしがらみ」。 何か新しくていい仕組みがあっても、既得権として使われていた法や利害関係者のせいでうまく採用できない、というのは世の常だ。 「現実をみろ!」という恫喝は大抵、この手のしがらみを直視して、目の前の作業(すぐできること)に集中しろ、という意味で使われる。 確かに、大体、制度の改革は十年単位の時間、下手をすれば百年はかかる。 何かにつけ動きの速い現代で

          仮想政府があるといいな (3)

          仮想政府があるといいな (2)

          仮想環境 前回はこちら 仮想環境とは、ある環境(OS)があったら、その上に別の環境(OS)を「インストール」して、まるで一つのアプリのように動かすことのできる「アプリ」だ。 よくわからない人は、たとえば「NintendoSwitch」という環境で動く「ファミコンエミュレータ」の関係を思い浮かべてもいいし、Androidのスマホ上にiOSをアプリとしてインストールするような状況を想像してもいい。そして「Switchの上で動くファミコン」に「(仮想化された)ゲームカセット」

          仮想政府があるといいな (2)

          仮想政府があるといいな (1)

          アプリやプログラムの開発者はみんな知っている。 「(アプリの)開発環境設定」の大変さ。 なるべく干渉が起きないようお互いに隔離されたスマホアプリのような世界では、過去にインストールした他のアプリの影響で新しいアプリがうまく動かない、という昔からある事態はずいぶん減った。 けれども、単にアプリをインストールするわけではなく、「アプリを開発する」場合、色々と「アプリの作成専用のプログラム(VisualStudioみたいなプログラムのエディタとか、TensorFlowみたいなA

          仮想政府があるといいな (1)

          「現代の奴隷」を解放する仕組みについて

          ※アイキャッチ画像 https://www.metmuseum.org/art/collection/search/302361 "Wilson, Branded Slave from New Orleans" Charles Paxson 1863  世間ではSDGsが流行している。大企業のウェブサイトを見ればSDGsへの貢献がアピールされているし、NHKが「SDGsのうた」を制作して、子どもたちが学校で歌っている。  企業が闇雲に成長を目指していた時代は終わり、より倫

          「現代の奴隷」を解放する仕組みについて