あるべき場所に戻ってきた
ふと思い立ったから大規模な模様替えをした。
次々と新しい配置が浮かんできて,まるで最初から決まっていたかのようだった。
模様替えをしたくなったのはキーボードをいつでも弾ける環境にしたかったから。1年半前にここに越してきた時,私は引っ越し業者のお兄さんにキーボードはクローゼットに運んでくださいとお願いした。
ちょうどおさまりがよかったからというのが表向きの理由だが,実際はこの家で弾く機会がどれほどあるだろうと思っていた。
そして予想通りここまでの1年半,一度も弾かなかった。
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大学生の頃,家でも練習したいと思って当時の私にしては思い切って購入した電子ピアノタイプのキーボード。6畳しかない1Kの狭い部屋によく置いていたなと思う。いつでも弾けることが嬉しくて,夢中になって練習した。
あれから好きなものが増えて,優先すべきことが変わって,私はほとんどキーボードを弾かなくなった。
でも,時々これでいいんだろうかと思うことがある。
色々あったけど,私は本当に鍵盤弾きである自分を過去にしてしまうのかと。
それはどうしても嫌だった。
どんなに下手でも,思い通りに弾けなくても,やっぱり私はキーボードが,何よりピアノが好きなのだ。もちろんベースやバスクラも好きだったけど,ピアノは特別で私の中で切り離せない存在なんだと気がついた。
88鍵のキーボードは大きくて場所を取る。
前の部屋よりずっと広い新しい部屋でも,存在感は十分だ。
私の理想とするスッキリとした部屋からは少し遠のいてしまった気もする。
それでも,いつでも弾けることの方が大切だった。
やっとあるべき場所に戻ってきたという感覚さえあった。
弾きたい曲は溜まっている。
きっと指が動かなくなっているだろうから指の練習からになるだろう。
譜面を読むスピードも落ちているかもしれない。
前途多難だ,でもそれでいい。
これからゆっくり取り戻していけばいい。
今はただ,また弾けるようになったことを喜びたい。
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