散歩
寒波も過ぎ去って、京都にも日差しがやってきた。
近くのスーパーマーケットに徒歩で買い物に出かけた。
運動のために歩くように主治医から言われているからでもある。
ああ、すがすがしい。
職を失ってからというもの、糸の切れた凧のような毎日である。
ハローワークにも通わなくていいのである。
あらゆるしがらみから解放された気持ち。
昨日は、20万円相当の品物(粘着式ピンセット)を東京に送り出してきた。
納期が明日の午前中なのだった。
こうやって、ちまちま作って売る生活が続くのだろう。
来年早々、入金してくれるらしいが、このお金には手を付けられない。
新会社の資本金に繰り入れるからだ。
私はITベンチャーの人のような働き方もできないし、投資家なんて貧乏人にはハナから無理だし、物書きにもなれはしない。
そうだ、農家のような働き方に近いかもしれない。
私は、冬野菜の畑を見ながらそう思った。
北西の愛宕山や、北の比叡山には白く雪が残っている。
行きかう人もいない畑道を、私は風に吹かれながら歩いている。
ふり返れば、おもしろい人生だったと思う。
これからも風来坊の生き方を貫くだろう。
働くのではなく、生業(なりわい)をしていこう。
お客が欲しいと言ってきたら作って売るだけだ。
誰からの指図も受けない、職人の生きざまだ。
「食う寝るところに住むところ、やぶらこうじ、ぶらこうじ…」
私は歌うように口ずさんだ。
今日は、ブリ大根としゃれこんだ。
これはオマケ。