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おんなふたり奥の細道迷い道/吉行和子・富士真奈美

お二人とも好きな女優さんではあるのですが、富士真奈美さんは「細腕繁盛記」の意地悪な小姑、吉行和子さんは、吉行あぐりさんの娘さんというイメージを未だに引きずっています😅
このお二人が俳句をやっているということはいつ知ったのだろう❓

小沢昭一さんとか、永六輔さん、渥美清さん、夏目雅子さん・・・
プレバトで騒がれる前から、俳句に親しんでいる芸能関係の方は多かったようです。
やはり芸能に秀でている人は感性が鋭いから俳句のタネをたくさん見つけることができるんでしょうね。
この本は、吉行和子さんと富士真奈美さんの対談形式で、俳句や人生のことについて語り合っています。

このお二人、まるきり性格が違うんですよね。でも、お互いを批判することなく(いや、結構貶してるかも😅)お互いの個性を認め合ってお付き合いをしているという感じがします。どちらかというと、吉行和子さんの方がマイペースで、富士真奈美さんはそれをあまり干渉しないようにしてるのかも😅

驚くのは、お二人の対談の中にすっすっといろいろな俳句が出てくるんですよね。
それが有名な俳句ばかりでなく、「○○さんが△△の時、こういう俳句を作ったじゃない」という感じ。なかなか、俳句を覚えられない私には実に羨ましい。もっとも、女優さんだから台詞を覚えるのはプロですもんね←負け惜しみ😆

第2章 芭蕉と『奥の細道』で展開される芭蕉論は、なかなかのものだと思います。俳聖としての芭蕉ではなく、生身の男としての芭蕉が感じられてなかなか面白かったです。
お二人とも「奥の細道」をしっかりと読み込んでいらっしゃる。特に富士真奈美さんはすごい。
ここでのお二人の話の中によく出てくるのが嵐山光三郎さん。以前「笑っていいとも・増刊号」とかに出てましたよね。編集者という名の変なおじさんだとばかり思っていましたが、今回ググってみたら、多くの芭蕉論を書いていたんですね。全く知りませんでした💦💦💦

「今、俳句が人気」って言われますが、この本を読むと、1970〜80年代の俳句の勢いって凄かったんだなあと思います。「童子」創刊も1987年ですね。

吉行和子さんの俳号は「窓烏」富士真奈美さんの俳号は「衾去きんきよ
第3章と4章は、それぞれの自選句と相互評です。
私が好きな句を3句ずつ取り出してみました。
〈衾去句〉
ふんもしてさてもはしき鳥の恋
左利きの男であつた賀状読む
まず足の指より洗ふ長き夜

〈窓烏句〉
冬に入る血管すべて身構える
ひかえめに咲きつつも梅主役なり
骨拾う落花生なら食べるのに

どちらかと言えば、私の好みは衾去句ですが、窓烏句の自己主張の強さもなかなか魅力的です。

プレバトでの組長のことも、ものすごく褒めています。

あぐりさんのこと
岸田今日子さんのこと
お二人が出会った多くの俳人の方々
お二人の交友関係の素晴らしさは、俳句のおかげだったようです。

「あとがき」までもが魅力的。
素敵な言葉と文章の宝庫で、上手く引用できませんでした。
ぜひ一度、手に取ってお読みになることをお勧めします。

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