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いとも優雅なる中世の小宇宙 ~ 内藤コレクション『写本』

国立西洋美術館「いとも優雅なる中世の小宇宙」を楽しんできました。
昨日も相変わらず混んでいた上野公園、バレエの終演後で賑わう文化会館の横を通り抜けて西洋美術館へ。
金曜・土曜は夜間開館をしていて、比較的空いていることが多いので狙い目です。

公式サイトより、展覧会の概要を。

印刷技術のなかった中世ヨーロッパにおいて、写本は人々の信仰を支え、知の伝達を担う主要な媒体でした。羊や子牛などの動物の皮を薄く加工して作った紙に人の手でテキストを筆写し、膨大な時間と労力をかけて制作される写本は、ときに非常な贅沢品となりました。またなかには、華やかな彩飾が施され、一級の美術作品へと昇華を遂げている例もしばしば見られます。
当館では2015年度に、筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史氏より、写本零葉(本から切り離された一枚一枚の紙葉)を中心とするコレクションを一括でご寄贈いただきました。その後も2020年にかけて、内藤氏ご友人の長沼昭夫氏からも支援を賜りつつ、新たに26点の写本リーフを所蔵品に加えています。
(中略)
本展は、内藤コレクションを中心に、国内の大学図書館のご所蔵品若干数や、内藤氏がいまでも手元に残した1点を加えた約150点より構成され、聖書や詩編集、時祷書、聖歌集など中世に広く普及した写本の役割や装飾の特徴を見ていきます。書物の機能と結びつき、文字と絵が一体となった彩飾芸術の美、「中世の小宇宙」をご堪能いただければ幸いです。

展覧会公式サイトより

小さい作品が多いこと、細部を見たくなる美術品であること、一部を除いて写真撮影がOKでもあることなどから、一点一点、じっくりと拝見。
約1時間半かけて、美しい「小宇宙」を楽しみました。
会場入口手前で流されている8分程の映像は、写本が作られる工程を分かりやすく説明してくれて、鑑賞前の程よい準備体操になります。

キリスト教の信仰を人々に広く伝えるという元々の主な役割上、中世写本はキリスト教関連のものが殆どですが、中には16世紀にスペインで発行された貴族の身分証明書など世俗的なものも。

写真をせっせと撮ったので、特に目を惹かれたものを3点程ご紹介します。

聖務日課聖歌集零葉
1340年代 イタリア
跪いて祈る乙女がまさに殉教しようとする瞬間、天使が舞い降りてくる光景
『レオネッロ・デステの聖務日課書』零葉
フェラーラ(伊) 1441-48 年
ルネッサンス期を代表する名家ゆかりの品
繊細な装飾が一際美しく、暫く見入ってしまいました
ブルネット・ラティーニ『宝典』零葉
13世紀の百科全書的な書物の写本に由来する紙葉 
1460年頃 フランス
4人の女性は、あらゆる徳の基礎となる「四枢要徳」の象徴だそう


ウクライナやガザの現状、オリンピックにまつわるあれこれ…
色々複雑な思いが湧き出る中、ひたすら美しい小宇宙に没頭するひとときは貴重だったかも、です。

この展覧会は、今月25日まで開催されています。
関心を持たれた方は、是非お早めに!


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