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出ているのか、出しているのか。
夏休み。
いまは、昔、朝の6時に近所の神社に集合して、ラジオ体操なる行事ありけり。時々、竹取物語の一文が頭を掠めることがある。
新しいあさが来た、希望の朝だ〜♩
と、熱唱したのちに、ラジオ体操第一を全力でやり切る。昨今では、このラジオ体操は、「騒音」扱いを受け、多くの自治体は、撤廃か、縮小していると言う。
迷惑な話だ。私は、ラジオ体操が大嫌いだった。
理由は一つ。
裸族とのインファイト率が上がるからである。
私の実家から、近所の八幡様へ向かう途中、私は驚愕する。
乳房がブランブランな、中年女性が、庭できゅうりを持って踊っているのである。そこは、大きなガチョウを飼っていることで有名で、わたしはその屋敷の前を通る際無意識にガチョウを目視していた。が、その日は、その奥に潜む、半裸オババに目を奪われることになる。
わたしは小さく、ひっ。と言った。
目を合わせないようにした。
私の小学校は、大変規模が小さく、目が合った人には必ず挨拶ををしなければならない、自治体全てがファミリーであると言う強い掟があった。
目を合わせてはいけない。
私は俯き八幡様までダッシュした。
サンダルから顔を出した爪が痛い。
ラジオ体操では、7つ目のスタンプを押してもらった。少しだけ達成感がある。
その日の帰り道。
私は友人3人と少し遠回りをして、帰路に着くことにした。私たちは朝ごはんを食べてこなかった、という、小さな武勇伝を自慢しあった。私も顔すら洗わなかった、という謎の主張をした覚えがある。
そんな私たちの隣に、すーっと一台の車が停車する。
窓がすっと開く。
「ヤマフジに行きたいんだけど」見知らぬ爽やかなおじさんは言った。
それは、地域に存在する唯一のパチンコ屋だった。
私たちはイキっていた。得意げに
「そこの角を曲がったらすぐ着きますよ、え、わかんないかなー?」私たちは忘れていた。そんな早朝にパチンコ屋など開店していないことに。
「どうかな、わかるかな。みんな、これはわかる?」
赤い塊をぷらぷらしている。
私たちはなーに??って窓の中に顔を突っ込んだ。
「チ○チ○だよ」
車は走り去っていった。
私たちは、無言で立ち尽くした。
友達の一人が言った。
「あれは チ○チ○だったんだよね?」
謎の疑問系を、私ともう一人はスルーした。
家路が酷く遠く感じた。
1ヶ月後、地域の運動会、親子参加型の綱引きに、その男を私たちは発見することになる。
ラジオ体操なんて、やめて辞めてしまえば良い。
その地域は、変態の巣窟だった。変態スタンプカードは、1日で二つも押せるだろう。
希望の朝なんて来ない。竹取翁も、かぐや姫を見つけた時、たいそう驚いたことだろう。
あなや。
と。