見出し画像

marble


11月。気付けば冷たい風が私を包む。
微妙にサイズの合わないパンプスを
カランカランと鳴らしながら、
迷いなく冷たいアスファルトを辿る。

多くの人が、この横浜の景色に魅力されている。
私はその中のほんの、1人。

周囲は暗闇に包まれているけれど、あかりを灯ったビル、ランドマークタワー、コスモワールド、観覧車。人工物のライトは驚くほど景色に溶け込んで、息苦しくならない丁度いいひかりを放つ。

私は、観覧車の紫色に変わる瞬間が大好きだ。
パッと見れば、紫色。これは、私のテーマカラーなのかもしれない。心を許す色、紫。だれかも言っていた。紫が1番好きって。

私の吐息は柔らかくて、呼吸も心地が良くて、冷える夜風は、歩みを進める私の唯一の理解者で、いつまでも、どこまでもこの時間が永遠であればいいのに、と思う。
時折り伸びをするし、足を止めるし、子供や、カップルや、ランニングをしている人や、
世の中がたった1人だけの世界でないのだと、私は安心する。私は多くの人間の中にいる、ただの1人の人間だったのだと気付く。

ひたすらに、歩く。
ひたすらに、思う。

ひたすらに、心は無ではないのだと気付く。
悲しい思い出や
不甲斐ない自分や、
女としてのずるさをもっている自分を
夜のみなとみらいは、
声もかけずに、
存在だけを許してくれていると思う。
心のうちを話すことができる人。

美しい景色を見たら、それだけで満たされるのに、いつから私は、こんなにもヒト、を求めるようになったのだろう。

私の心はいつだってmarbleで、
綺麗な色を混ぜようとしても、どんどんと色は重なって、単色や、透度や、艶は、消えていく。
そう思っても、私は、心の拠り所を探す。

私は、ずるい。

大丈夫だよって言ってくれる人を、
私は探している。

同性や、異性のひと、と時を共にして、近づきすぎると
時々、相手からも、自分からも手を離したくなる。突然、とてもかなしい気持ちになる。肉体を重ねても、いつだってかなしい。

marbleな心は、色すら無くして、こぼれ落ちて、形すら消えていく。

そうやって、自傷行為のような、人との繋がりを私はずっと繰り返している。それでも、人と繋がっていたい。

諦めにも似たような感情をもちながら、
嘘でもなんでも、「あなたは、大丈夫」と、背中を押してくれる一言だけを、私は待っている。
私はずるい。人の心がきっと、よく見えるから。
だから、私は誰かからの、あなたは大丈夫、を引き出すように人と関わっているのかもしれない。

安心したい。

不安で、怖い。

まだまだ人生が長いことも、怖い。そんな色を多く重ねすぎた、marbleな心で、それでも人を救いたいと仕事をしている。

まだまだ、向上心をもって働きたいと望んでいる。そんな矛盾は、心にサブウェイを作って、新しくまた違う心の隙間に、色を重ねたmarbleに澱ませていく。観覧車が眩しい。

麓から眺める姿、少し遠目でみる姿、時と共に、色を変える電飾。そんな夜に溶け込む、観覧車。

くるり、くるり。
観覧車は、回る。

多くの色の残像を瞼に残して。
そんな、marbleな色たちは、とても美しい。

それでも、唐突に、まっすぐと言葉を届けてくれるヒトのことばに、私は救われる。

ある人は言った。

あなたの文章は、常温より、低い心地の良い温度だと。

ある人は言った。

あなたの文章が好きだ、と。ある人は言った。

あなたを尊敬する、と。
私は、久しぶりに、凝り固まった、marbleな心に美しい灯りを、浴びた。

言葉の大きさと、強さと、美しさを感じた。
marbleな色を心地よいと感じてくれる心を
ヒトの心の可能性を。

私は、まだまだ、心を紡ぐことができる。
真っ黒になっても、私のmarbleな心を育てていけると、信じて。

#🦍



この記事は、私を支えてくれている#なんはなや、支えてくれるnoteの住人に宛てたもので、去年の疲れきってた時に描いたやつで、出すつもりもなかったものです。

それでも、届く気がして投稿しました。
動物園でしれっと🦍を見かけたら、私に一報欲しいです。彼のイラストも文章も、人柄も、大好きです。しれっとまた、イラスト投稿してほしいよ。ゴリラのファンより愛を込めて。

追伸。
まだ、私のティッシュ字検定見てもらってないよ!!こらっ!


モスキートeri

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集