さわ

青学文学部 詩や小説を読んだり書いたりするのが好きです。 週7くらいで人間やって…

さわ

青学文学部 詩や小説を読んだり書いたりするのが好きです。 週7くらいで人間やってる𖤐 ´-

最近の記事

要約練習②

現代の芸術を体験することなく芸術を理解することは出来ない。過去の芸術の中に見出した概念に基づいて芸術を理解しようとしたヴィンケルマンやヘーゲルは、こういうわけで、現代の芸術はおろか過去の芸術すらも誤解するに終わった。 現代芸術の作品の前に立つ者は、芸術家のように線や色を選択し、拒絶し、芸術家の創造的イマジネーションの熱情を追体験し、また彼自身の批評的洞察力を働かせることで、自由で革新的な芸術的判断を打ち立てる。 批評家は、芸術体験を通して生まれる創造行為への自発的な執着に

    • 要約練習

      19世紀のフランスの優れた批評家たち、中でもボードレールは、同時代の芸術に対して活発な意識を向けた。彼は、同時代の芸術家たちが芸術を生成する瞬間に着目することで、芸術を芸術たらしめる(芸術に永遠性を与えるところの)創造性を理解し、同時代の美術だけでなく過去の美術についても優れた判断を下すことができた。 一方で観念論美学の美学者、芸術史家たちは、同時代の芸術に対する情熱や、芸術的感受性が欠如していた。それゆえに彼らは創造性を理解することができず、古今の芸術に対して誤った判断を下

      • 雨×麻のシャツ、綿のシャツ

        「雨×麻」 ぶかぶかで スースーする 彼のTシャツ 梅雨の空気が 今 流れだす 「雨×綿」 雨の矢の 射し綿衣 鎖のごとく 我が身を縛り 謀反を遂げる

        • 創作 『虹が架かる』

          信号が点滅するスクランブル交差点を小走りで渡り終えると、私は人の波に飲まれた。叫び声とも笑い声とも判別のつかない咆哮があちこちでこだまし、外国語は生き物のように飛び交っていた。電気屋のスピーカーから無限に繰り返される、あのちゃんの辿々しい話し声を頼りに、私は道玄坂の緩やかな勾配をゆっくり登り始める。ガラス張りの牛丼屋の前を歩いていると、私はひとつ先の角に佇むワンピース姿の女性を見つけた。華奢な彼女は人の波に戸惑っているようだったが、とうとう覚悟を決めたのか、大縄跳びの縄に入る

        要約練習②

          前に書いた詩をパワーアップさせてみた

          『afternoon』 丸太の端に立ちのぼる、 缶珈琲の吐息は白く、 夏外套をなびかせて 悠然と歩む猫、 空っ風に吹かれて、 ‥‥‥くしゅんっ すぐさま肩を毛づくろい 揺れる扇の隙間から 見守っていた大いちょう、 意気地ある猫に恋い焦がれ、 小さな小さなひたいに宛てて、 ひらりと接吻、人知れず‥ ぱっと赤面、秋、深まれり

          前に書いた詩をパワーアップさせてみた

          創作詩 中秋のうた

          『中秋』 丸太の端に腰掛けた、 缶コーヒーの吐息は白く、 薄い外套羽織ってる、 猫、北風にくしゃみして、 すかさず、肩を毛づくろい 傍で見ていた銀杏の木、 意気地ある猫に、恋い焦がれ、 小さな小さなひたいに宛てて、 ひらりと接吻したあとで、 ぱっと赤面、秋、深まれり

          創作詩 中秋のうた

          夜の湖のような瞳って、つい揺らしてみたくなるんだ。

          初めて作った詩です。 ピンと絹糸張るような 朝の空気を吸い込んで 夢から醒めた山鳥が いま一度 天の頂を 駆け上がろうと息巻いた 畏れを知らぬ太陽に 讃美の歌を贈らんと 四肢震わせた歌声は 淀みを知らぬ深い闇 たたえる夜の湖の 畔に咲いた一輪の 百合の花弁に音もなく 密かに降りた露の玉 そっと揺らして、消えてった

          夜の湖のような瞳って、つい揺らしてみたくなるんだ。

          小市民であることに気づく

           カタカタと 初夏に鳴くのは 窓ガラス  染まってく そよ風 グリーングリーンに  5月。青山キャンパスには緑が溢れる。色相環だと、緑の補色はたしか赤だ。ならば、赤色のツナギなんか着ていたら、キャンパスで一番目立つんだろうか。そんなことを考えていると、  「あなたは、ヒトの目を気にするときってある?」  先生から、不意の問いかけ。あんまりないです、僕は答える。  今は哲学の講義中でした。先生はくるっと黒板に向き直って板書を続けます。  本日のテーマは「あなたにとって

          小市民であることに気づく

          贖罪

           生まれて始めて嘘をついたのは、いつだった?僕は4歳の頃だった。 「なおきくんはきょう、たいちょうがよくないのでおやすみです」  幼稚園の送迎バスの中で、せんせいが言った。 「やったあ」  僕はたぶんそう呟いた。いや、間違いなくそう言った。それも、いくらかぶっきらぼうな声で。  なおきくんとは家が近く仲も良かった。だだ、僕らは前の週に小さな喧嘩をしてしまっていた。仲直りは、まだだった。  バスの車内はエンジン音や他の園児たちの話し声で騒がしく、先ほどの先生の声も切

          夜のつづき

          「夜を蔑ろにする者に朝は来ない。そこにはただ、夜のつづきがあるだけだ。」 19歳の大半を、僕は実家で暮らした。 高校まで積み上げたものを一つ一つ消費していった僕の浪人生活は、今思うと花占いによく似ていた。 すき、きらい、、すき、きらい、、すき、 でも、僕が1枚1枚、ゆっくりと花びらを摘んでいる間に、次の春はすぐそこまで来ていた。冷酷な死刑執行人は、11枚目のカレンダーの首を撥ねるタイミングを今か今かと狙っていた。 、キライ、、スキ、キライ、、 瞬間、無

          夜のつづき