要約練習②

現代の芸術を体験することなく芸術を理解することは出来ない。過去の芸術の中に見出した概念に基づいて芸術を理解しようとしたヴィンケルマンやヘーゲルは、こういうわけで、現代の芸術はおろか過去の芸術すらも誤解するに終わった。

現代芸術の作品の前に立つ者は、芸術家のように線や色を選択し、拒絶し、芸術家の創造的イマジネーションの熱情を追体験し、また彼自身の批評的洞察力を働かせることで、自由で革新的な芸術的判断を打ち立てる。

批評家は、芸術体験を通して生まれる創造行為への自発的な執着に従って芸術的判断をするべきである。

芸術体験の過程で現れる批評家の偏頗性は、彼がある作品を芸術たらしめている力について理解したあとで、他のあらゆる芸術作品にも存在するその力を認識する妨げにはならない。

『美術批評史』リオネロ・ヴェントゥーリ p314-315


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?