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好きな曲は好き~大本命/黒木渚~

はじめに


今日は黒木渚さんの『大本命』という曲についてお話しします。

先日は『美しい滅び方』という曲についてお話ししました。

この『大本命』という曲は、2015年に発売されたアルバムに収録されている曲ですが、私が出会ったのは大学生になったばかりの時でした。



浅き夢見し馬鹿者と


この曲は私にとって強烈な一言で始まります。

『浅き夢見し馬鹿者、と
私のすべてを言い当てて』

私は親の反対を押し切って、高校生の頃に感じた好奇心とわくわく感で進路を決定しました。
そのため高校生の頃、両親に「その進路で何になるんだ」や「そんな軽い気持ちで将来を簡単に決めるな」、「お前がやっていけるのか」ということを沢山言われました。
親の希望に近いような進路候補を出しても、「そんなの薄給だ」と一蹴されました。

そのためこの『浅き夢見し馬鹿者』という言葉が、私が両親から投げつけられた言葉の総称のように聞こえて、共感で震えました。
当時の私は、自分のことを親の期待に完全に答えることができない、愚かで、親不孝で、出来損ないだと思っていました。
今だってそう思いそうになるのを踏みとどまっているような心情ですが、当時の私は親の期待外れというレッテルを自分に貼っていました。
だからこそ、両親の言葉は絶対で、両親の世界は私の世界でした。
これが『私のすべてを言い当てて』いるように思えて堪えていました。


隠すほどの才能なんて

次の歌詞です。

『この声ですら授かりものさ

隠すほどの才能なんてない』

私は両親に依存して、両親も私に依存しているような状態なのでしょうか。
私の世界は両親で、両親は私に世界を作ってあげたくて。
特に母親とは過干渉気味で、母親は私を同一であると混同しているような部分もありました。
私のいいところは両親があったからこそなのでしょうか。
今の私なら、そんなことないと考えることはできますが、当時の私にはまだ無理でした。
私のすべては両親のものでした。過去も今も未来も。



夢のような世界


次の歌詞です。

『土砂降りの日にチャイムが鳴って
 嵐の世界に私をさそう
 この声だけが授かりものさ
 引き返すほどの賢さなんてない
 びしょぬれになって遊びまわるのは
 さぞや爽快な気分だろう』

この『土砂降りの日にチャイムが鳴って嵐の世界に私をさそう』は黒木渚さんが音楽の世界に入った時のことでしょうか。
私にとっては、高校生の頃のわくわくとどきどきの経験のことであると考えていました。
私はただただその世界に興味を持って、魅力に誘われるがままに歩いてみただけです。

びしょぬれになって遊びまわるのはさぞや爽快な気分だろう』は自分の望んだ世界で自由に進むことを指しているのでしょうか。
私の高校生活はまさにこの歌詞のようでした。
限られた世界の中で、好きなように、好きなことをすることは楽しかったです。
きっと小さい子が雨の中でも夢中になって遊ぶように、私も忙しくても楽しくはしゃぎました。
そのため、この歌詞を聴くと、私の楽しくて尊い思い出になった高校時代と、それにあまりいい顔をしなかった両親のことが思い浮かぶのです。
まだ少し苦しいですね。
でも、もう大丈夫です。



私の神は崩れた

次の歌詞です。

『水平線はねじ曲がり
 真っすぐに歩くのは難しい』

高校生までの私にとって、両親は絶対神であり、家庭は世界でした。
大学生になって両親と離れて一人で考えることが増え、様々な背景を持った友人とも出会い、いろんな勉強をするようになって視野が少しだけ広がりました。
そうするとふと、私の信仰心は“行き過ぎていた”のかもしれない、と思うようになりました。
両親に抱く感情はまさに忠誠心と信仰心で、私たちの間に尊敬や尊重があるのかを疑問に思いました。
このような考えに至った時、私の中での基準が歪んでしまったのです。

これまで自分が信じていた基準や規則、見ていた世界がゆっくりと崩れていくような感覚でした。
私の中の”絶対”が崩れていくような気持ちです。

このような私が感じていたことが、歌詞で歌われていて、とても心を打たれました。
「ああ、これだ、これが私が感じていたことだ」と、やっと確信できるようになる助けになってくれました。

もう違う世界にいる私を見てほしい
次の歌詞です。

『戦って行くの本当の名前で
 私を本命にしてよ』

私が信仰心と世界の崩壊に気付いたことに両親が気付いているかはわかりません。
両親は「自立心があって良い」と言います。
両親はまだ昔のままの私を見ているのでしょうか。
本当は今の私を見てほしいです。
今の私がどう考えて、何を見ているのかを知ってほしいです。
でも、違う世界に居て違うものを見ているから難しいのかもしれません。

現時点で、両親ともめることはよくあります。
例えば将来についてのことが一番多いです。
このような違う世界に住んでいる人と今の私で戦わなければなりません。
この曲はこんな現状の私を鼓舞してくれる存在でもあります。


優等生は気付いた


さいごの歌詞です。

『優等生の私はある日気づいてしまった
 憧れの人は皆ルールを破っている事』

初めて聞いたとき『憧れの人』という部分で偉人だけではなく、高校生の頃の恩人を思い浮かべます。
そこから、「こういうひとがうまくいくんだろうなあ」と思うことが多くあります。
私はまじめです。
「ちょっと横道らしきところに進んでみるか」という考えができるでしょうか。
してみましょう。今かもしれません。
ほんとにこの一週間かもしれません。

『水平線はねじ曲がり
 真っすぐに歌うのは難しい
 戦って行くの本当の名前で
 私を本命にしてよ』
 

さいごに


今回も黒木渚さんが書かれている書籍等は目を通さずに考えたことです。
この曲は私の状況や心情とよく合う部分が多く、黒木渚さんも同じような経験をしたのかと勘違いしてしまいそうになるほどです。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
♡励みになりますありがとうございます。

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