やすいホストとゆるいストーカー2
続き
励まされつつもこの苦しみを存分に孤独に味わおうか、誰かに聞いてもらおうかと悩んでいたところ、
もっとも近く深く2021年ごろからママ友かつガチ友である
BOSSからDMがありお会いさせていただくことに。
いつものドーナツ店へ行き、やさしそうなおばちゃん店員さんの顔を見ただけで
泣けてきてしまい、ぼろぼろぼろと大粒の涙を流しながら注文してお会計。
『この子は一体どうしちゃったんだろう?』心配そうな店員さん。
BOSSも珍しく落ち込んでいる私に優しく話しかけるが
内容は具体的かつストレートなためダイレクトに脳に浸透してくる。
「男性は定期的になわばり確認が必要。」
「ちゃんとLINE送ってきてくれてるだけマシだよ〜」
などなど、見た目はフェミニンでセクシーな美しい女性ほど、
男性性が理解できてて芯が強く理論的なのか?
いろいろ状況を冷静に見てみると私の勘ぐりすぎなことに気がついてきた。
そんなことを話しながらもじもじしていると
閻魔くんから着信があり、BOSSが「ドーナツおごってやるからここに来い」と誘ってくれた。
しばらくしてやってきた閻魔くんは相変わらず二日酔いか、まだ酔ってる状態でハイで
奇妙な動きで私の視界にちょろちょろと入ろうとしてきたが、わたしはかたくなに
一点を見つめ目を合わせないようにしていると
あきらめたのか、BOSSに
「5分で自分の人生説明してみて」
と言い出した。なぜいま?そんなことより・・・と思ったが、BOSSは
「まずお母さんが私を産んだ時一回死んで、生き返って〜・・・」
と序盤からハードな話をしだす。
急にクライマックスな展開になりその後の4分30秒はほぼ内容が頭に入ってこなかった。
なぞにテンション高く熱く話したBOSSはしばらく沈黙した後満足したのか帰っていった。
その後閻魔くんは昨日の出来事を写真で見せて
「最近楽しすぎて幸せすぎて、ほんとに死んじゃうかも」
といっていたが、
ゆうちゃんの肩に手を回してる閻魔くんの写真が目に写り、いたたまれなくなりしんどくなってしまった私は
「もう無理だ」
とドラマチックにドーナツ屋を飛び出した。
もうどうしよ〜とパニックになってしまい横断歩道に差し掛かると
追いかけてきて
「にげるな!」
その100円で買ったスポーツサングラスをかけた全く表情がない姿はターミネーターさながらで少したじろいだが
わたしは
「来て欲しくないんだったら最初から思わせぶりにすんな!
帰るんだったら帰ってこい、楽しくて帰れないんだったら「今日は遅くなりそうだから先に寝ててね〜」とか一言いえばいいだけやん」
と正論ぶちかました。それに対しては何も返事がなく
「アイデアがきた。ついてきて」
もう意味とかあんまりわからずなすがままついていくとアパートについた。
「呪術廻戦みよう」
と再生しだした。
呪術してる場合じゃね〜とまたもや内容は全く入ってこず、
「この感じでうやむやにしたらまた同じことが起こる気がする〜」
「わかるわかる」
五条悟が奮闘しているのをぼやけた視界の奥にみながら
自分の考えをまとめようとしてみた。
「おそらく、最近二人の時間がなかった中で
昨日は二人でいたかったという私のタイミングと閻魔くんのタイミングが合ってて欲しかったということではないか」
というと、
そんなことない。タイミングは合っているが、こういうことも必要でしょ?
と言われると、そうかもとも思うが
「苦しみをわざと生むな!」
と言った。
言ってから気づいたが
苦しみを感じているのは自分なので、他人に苦しませるなといったところで
視点が違うので何が苦しみなのか、他人がわかるはずがないではないか。
自分の中の『苦しみ』の捉え方は一体なんなのか。
自分で内省するしかわかるわけがなく、苦しみを与えるな、苦しみを与えない人を探すということを繰り返しても全く意味がない。
ただ苦しく悲しい感情は感じきるにこしたことはないので、
アンドロイドにならないで泣いたり笑ったり
人間らしく振る舞ってたらよいのではないか。
今まではそのような感情を出してしまうと人が離れていってしまったり
嫌がられたことがたくさんあり、トラウマになっているからか、人の前で感情が出せなくなっていた。
しかし今はこのように素直に感情を吐き出しても
まだ逃げずに追いかけてくれ、立ち向かってくれることが
本当に感謝するべきことなんだと感じてきた。
ぶつかり合ったことで自分の本当の感情に気づき
次の対策もできてきた気がする。
めげずにその成長に付き合ってくれる相手はとても貴重な存在な気がする。
つづく