vol.1 今日という日は
今日という日は
天気予報が外れて快晴だった日
今日という日は
もう秋なのに夏のような雲が浮かんでて、まるで季節が取り残されているように感じた日
今日という日は
「朝ごはんはいらない」と言ったのに、君が作るバナナトーストが美味しそうで1口もらった日
今日という日は
親友の子どもと触れ合う君を見て、将来自分たちに子どもができたら、なんてことを想像した日
今日という日は
紙を42回折った厚さが月までの距離と同じだと、君が私に教えてくれた日
今日という日は
明日のお弁当に、って君が美味しそうな海鮮チャーハンを作ってくれた日
今日という日は
君の襟足が筆の毛先みたいに整っていて、ふさふさだと気づいた日
今日という日は
君に抱きしめられると、永遠で柔らかい時間が流れだすことを知った日
今日という日は
おやすみのキスが私たちをこの夜に閉じ込める魔法だと信じた日
今日という日は
二度と繰り返さない平凡で愛おしいただの10月16日に過ぎないってこと
ただそれだけの話。