34.33の補足_レッスン料の設定について
「資格がなくても日本語オンラインのレッスン料を1時間4000円にしてもいいと思いますか?」と聞かれました。
まず、個人でレッスンを提供しているのなら、値段の設定は自由です。他人に許可を求める必要すらないと思います。ただし、考えてほしいのは、「あなたのレッスンが、その価格またはそれ以上の価値があるかどうか」ということです。
レッスンの価格はその内容や質に応じたものであるべきです。もしクライエントがその料金に見合った価値を感じるのであれば、その料金設定は妥当だと言えますよね。市場のルールは需要と供給のバランスによって成り立っているので、クライエントが納得している限り、その価格は適正だと私は思います。
前回、日本の平均年収から日本語教師のプライベートレッスン料最低額を計算してみました。日本語教師が一般的な生活を維持するために必要な最低限の収入を考える上で参考になるかと思ったからです。
日本語教師を生業としている方の多くが、一般的な生活水準に達していないのが現状だと思います。これは、教育現場の労働条件や待遇が不十分か、教師側の質が異様に低いかということですよね。
大学の日本語の非常勤講師の時給が5ー6,000円程度というのも、専門知識や教育の質に対する評価がまだまだ低いことの表れだと思います。
大学で教えるためには、大学院を修了し、専門的な知識も深く学んである必要があります。そして、大学講師の仕事は「研究と教育」のはずですが、非常勤講師には研究者としてのサポートがほとんどありません。研究のための時間も費用も自己負担です。
一方で、授業の準備や学生のケアにはどれほど多くの時間と労力が必要か、容易に想像できると思います。学生達に向き合えば向き合うほど、多くの時間を取られ、研究活動や自己研鑽に充てる時間が非常に限られてしまうのが現状です。
生活のためには授業をたくさん担当しなければならない。でもそうすると研究する時間は本当になくなってしまう・・・非常勤講師の時給が6,000円でも「低い」と言うのはこのためです。
日本語学校の教師の時給はさらに低く、専門職であるにもかかわらず、時給1800円くらいからって…。これも、日本語教師のスキルや労力が過小評価されていることを如実に示していますよ。教師側の質が異様に低いって訳じゃないはず。
あれれ、ずいぶん話が大きくなってしまいました。
えーと、つまりですね、個人レッスンのレッスン料の設定は自由であるべきですが、社会が教育の価値を適切に評価することも同時に重要だと言いたいのです。
教育機関などでの教師の努力やスキルが正当に評価され、適切な報酬が支払われる社会の仕組みが必要だと思います。
ただし❗教師自身が提供する教育の質の高さと、それを維持・向上する努力を怠らないことが当然の前提です。これを保つのは我々の責務で、そのためには常に自己研鑽が求められますから。