はじめての、その先へ #15 荒天の日、パンを焼く
昨年の冬は、秋に我が家に来たニワトリの卵を使ってお菓子作りに励んでいた。カヌレやパウンドケーキ、畑で採れたさつまいもでスイートポテトやきんとんも作った。
今年の冬はあまりお菓子作りをしていない。というのも、日照時間が短くなるにつれ、ニワトリの産卵頻度がぐっと低くなったのだ。まだ毎日産卵する子もいれば、数日に一度産む子、もう4ヶ月以上産卵していない子など、個体によってまちまちになっている。昨年は一日に4個、5個採れた卵が、この冬以降は2個、3個が平均的になった。推定満4歳のニワトリにしては普通か、頑張っているほうらしい。
自然環境下では、日照時間が短くなるとニワトリは産卵が減るのは自然なことだという。我が家のニワトリさんたちが春になればまた産卵が増えるのか、気長に見守ろうと思っている。
パンがないならお菓子を食べれば良い、というマリー・アントワネットの言葉の逆のようで変だが、最近はお菓子作りの代わりに、卵を使わないパンを焼くことが増えてきた。
パン焼きをするようになったのは趣味というだけではない理由がある。物資の多くを貨物船輸送に頼る石垣島では、海が荒れると貨物船が欠航して、食パンが品薄になることが多いのだ。
パン生地を手でこねるのが面倒で、こねないパン作りを最初はトライしていたが、昨年末、ついに小型のホームベーカリーを買ってしまった。断捨離したいのに、と抵抗もあったが、使ってみると非常に便利。食パンならば材料を入れてスイッチを押すだけでできるし、手で成形するパンも生地作りの手間が省ける。冬の石垣島は雨風が強い日が多いので、これからしばらく、機械で作った自家製パンが定番になりそうだ。