プロット共通コメントリスト

エンタメ講座の講評で、プロットをたくさん読む機会があったのだけど、いくつか似たようなコメントを書かせていただいたものがあったので、まとめてみる。
ちなみにコメントは18作担当しました m(_ _)m


主人公が行動していない / 人物がぶつかっていない

これは小説やシナリオの習作だとよくあって、シナリオ本とかでもよくあげられているタイプ。(マンガだとあまりないのかな?)
人物が行動しないまま、頭の中だけで進行してしまって、終盤で誰かになにか言われる(たぶんこれがテーマなんじゃないかな)ことで、なんとなくハッピーエンドに至る、という。
小説講座にいたときに読んでいた習作も、10個あったら3~4個くらいはこのタイプだった。
個人的には、「状況はあるんだけど、ドラマがない」という言葉がわかりやすい。

典型的なだけに、意識さえすれば、修正は比較的容易と思う。
主人公を行動させるのがどうしても苦手な人は、まずは脇のキャラでもいいし。
個人的には、プロット段階で意識しておいた方がいい気がする。(人物に埋没するあまりにそうなってしまう人が、本文で修正しようとするとバランス崩すんじゃないかと)
ただ、僕が担当した中では、思っていたよりもずっと少なかった。2~3こくらい。


やりたいことを詰めこみすぎ

むしろこれの方が多かった。プロットだからかな? 4~5つくらいこのコメントを書いた。
1つの皿に美味しそうな料理を等分に盛り付けて、味がよくわからなくなってしまうタイプ。
たくさん載せるのはいいんだけれど、メインディッシュとサイドディッシュは分けた方がいい、と思う。

詰め込みすぎる

「1つの食材から美味しさを余さず抽出する方法がわからなくて、目移りしていったのかな」というものもあれば、「ともかく突っ込んでみたかったんだな」というものもあれば(これはわりと好きなんだが…)、「ハンバーグを出して『魚が食いたかったんだ』と言われることが不安で、いろいろ載せてるのかな」というものもあって……そのへんは読んだだけではよくわからなかったんだけども。

偉そうに言ってるけど、じつは僕もこれが一番ニガテ。
あれもこれも面白そうに思っちゃって、あれもこれも盛りつけたくなることもあれば、編集さんの好みがいまいちわからなくて、ハンバーグ焼き魚定食餃子添え、みたいなのを作ってみたりとか、わりとする。(児童書では、顔の見える人の好みに合わせて作りたいタイプ)

なので僕はもう、「編集さんと話したときに盛り上がったものをメインディッシュにして、盛り上がらなかったものはサイドに寄せていく」という、完全に他力本願な取捨選択法を採っていたりするんだが、「…なにも盛り上がらねぇ!」とか、「なんか気遣わせてすまん!」になって、うーん、わからん! となることもわりと…。
ここうまくできる人、コツを教えてほしい。


設定をメインディッシュと考えがち

これは少なかったし、書いた作品もちょっとそれっぽいかな? くらいだった。
これをやるのはだいたい男で、男性自体が少なかったのもあるかもしれん。

大人向けのSFジャンルだと良しとされていたりもするんだけど(論文みたいな小説が結構ある)、どうしてもニッチになりがちで、児童書の市場規模でこれをやっちゃうと、ほぼほぼ頓死するイメージがある。(ウンチクをまじえた図鑑みたいな作りの本にするなら別そうだが…)

設定メイン

僕自身は理系オタなので、細かい設定系は大好き。
好きだけどポテトな! 別に肉がいるぞ! と思っている。


すでに {興味のある/イメージのある} 読者を想定している

これは児童書特有のポイントかもしれない。4つくらい書いた。

入り口2

1つは、ホビアニやホビーマンガ(=玩具タイアップ企画)の作劇のやり方を、意識せずに完全オリジナルに持ってきてしまうこと。
男子向け児童書をつくろう! というときに、結構通りがちな道なのだが、個人的には地雷原に見えているので、無策で行くのはおすすめしない。
ただ、コメントを書かせてもらった作品については、ほんとうにやりたいことは別にあるんじゃないかしら、とも感じたんだけど。

1つは、すでに読者が「こういう世界観」「こういうお約束」を持っているという前提の上に、お話を組み立ててしまうこと。
WEBノベルやライトノベルだと、昨今はむしろこっちの方が主流な気がするんだが(なので良くも悪くも界隈がサイロ化していくんだろうなぁと感じるのだが)、小学生におなじ感覚を求めてしまうとうまくいきにくいぜと。

あと、読者がすでにイメージを持っているかどうかの敷居でいえば、ハイファンタジーが鬼門というのも問題は似たところか。

これらはNGってわけではないし、意識した上で妥当な対応策を考えられるのであれば挑戦する価値はぜんぜんある(と僕は思う!)のだが、作家に求められる力量としては、1~2段階上のレベルのものになると思う。
腕に自信があれば挑戦してみよう。


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