2025/01/20ブックガイド K+ICO
K+ICO
上田岳弘
登場人物が、ウーバーイーツ配達員のKとTikTokerのICOというかなり今の時代的な物語。Kのソリッドな設定が超良い。フランツカフカに自分を重ね、配達中は『城』のオーディオブックを愛聴。物語の進行に合わせて『審判』『失踪者』と変化していくのも何か含みがあるのでしょう。友達のほぼいないKは、空想上の城の中から自分に語りかける姫なる者の幻聴に心奪われ、体を鍛え、英語を学び、来たるべき時に備えていく。一方でICOにも密かな計画がありそれを進めていく。展開が半端じゃなく鮮やか。終盤には華麗なる転身を遂げたKが元気にチャリを漕ぐ。他人にとやかく言われても、そういうこっちゃねぇんだよなと言える静かな強さを現代人は持つべきやね。結局自分。お前はお前なんだよ小説。