くるくる喫茶うつみでスマートフォンを使って暮らしがほんのりと便利になる取り組みをした話
ぬま大学の活動の一環で、マイプラン作成に伴う活動を行っている。活動にあたっては、くるくる喫茶うつみのご協力を頂いている。ありがたい話である。場所だけではなく、参加者集めにもご助力を頂いていたため、頭が上がらない。
気仙沼市の抱える課題を念頭にマイプランを作成する
今回、筆者がマイプランを作成するにあたり、念頭に置いた気仙沼市が抱えている課題感は、ざっくりと書き出すと以下の図になる。なお、気仙沼市に限った話ではなく、多くの地方のは同様の課題を抱えていると考えている。
昨今、インターネット上に情報を掲載する企業や事業者はとても増えている。企業や事業者が当たり前に情報を掲載し、情報発信をしている東京都などの大都市圏と比べればまだまだ少ないにしても、10年前とは比べものにならないほど増えた。
一方で、そうした地元企業や地元事業者がインターネット上に発信した情報を収集している地元住民が増えたかというと、そうではないと思われる。もっとも実際に数値を取っているわけでない。
ただ、人々から話を聴いている印象、また発信している情報への反響、イベント等の参加状況などを総合的に勘案すると、地元企業や地元事業者の発信する情報を収集している地元住民が多いと言えないのは、一定事実らしく感じられる。
なぜ、情報発信・情報収集のギャップが生まれるのだろうか。個々人によって違いはあると思われるが、概ね高齢化と関心の低下で説明がつくのでないかと考えている。少しだけ具体的に説明する。
地方で情報発信と情報収集のギャップが発生する理由
まず、高齢化と情報社会の発展は、基本的には相性が悪い。人間は歳を重ねれば重ねる程に新しい物への適応力が衰えていく。特に年々複雑化を増していく情報技術への適応は難しい。
ITおばあちゃんで知られる若宮正子氏のように、興味関心を持って新しい事へとチャレンジし、適応していく人々が存在するのは事実だが、大多数の人々はそうではない。
確かに日本の大多数を占める高齢者が若宮正子氏のようになれば、恐らく地方は復活するだろうし、日本も飛躍的に成長するだろう。しかしそれは非現実的な話である。
多くの高齢者は新しい物への適応が難しく、情報技術への適応となると輪を掛けて困難なのが現実だし、そもそもそうした分野への関心を持てる人々自体が多くない。
スマートフォンの所有率こそ高くなったものの、通話やLINE、ニュース・天気、コード決済などの最低限の情報を得るために利用し、プロアクティブに情報を獲得すべく活用するところまでやれない人々が大半であるはずだ。
もっとも仕事でスマートフォンを活用する必要性に迫られる東京都など大都市圏の高齢者はそうではないと思われる。ある種、この点においても東京都など大都市圏と地方では大きな差があり、それが経済力の差にも影響を及ぼしている。
更に問題なのは、ここまで高齢層について書いているが、同じ話を中年層にも言える点である。つまり、企業や地元事業者がいくら情報発信に努めようとも、肝心の地元住民の多くが、それを受け取れる状態にない。
その結果、情報発信・情報収集のギャップが生じている。それだけでない。先に書いた通り、情報発信・情報収集のギャップは関心の低下によってももたらされている。
情報収集能力という面で高齢層や中年層に不足感がある一方で、若年層はそうではない。若年層は、日々様々なアプリケーション・サービスを用いて多くの情報を収集できており、また自己発信も行えている。
だが、彼等彼女等にも地元企業や事業者の発信する情報はあまり届いていない。地元企業や事業者の情報発信内容の問題は否めないが、それに加えて彼等彼女等の無関心に原因がある。
可処分時間の取り合いが語られるようになって久しい昨今、若年層はタイムパフォーマンスを念頭に、自分にとって価値のある情報、関心の高い情報をピッキングして収集している。翻って、そこから漏れる情報には見向きもしない。
つまり、いかに地元企業や事業者の情報発信が盛んに行われようと、彼等彼女等の関心の枠外にあるのであれば、その情報は届かない。届かない情報をいくら発信しようと、情報発信・情報収集のギャップは開くばかりである。
課題1.中高年層:スマートフォンを活用した情報収集への適応ができていない
課題2.若年層:地元企業や事業者への関心が薄い、あるいは無い
前置きが長くなってしまい恐縮だが、要するに筆者は、今回のマイプラン作成にあたり、気仙沼市における課題として上記2点を念頭に置いている。そして、この2点の課題に対しては、異なるアプローチが必要だと考えている。
そこでマイプラン作成にあたっては、2種類の活動を主軸に考えた。今回実施した取り組みはその内の1つであり、課題1.「中高年層」に対するアプローチである。
内容は至ってシンプルで、日々の暮らしをスマートフォンを用いてほんのりと便利にするための情報を話し合う機会の創出である。先に示した課題に対して、このアプローチは適切なのか? と思われるかもしれない。
少々悩んだのだが、一朝一夕にどうこうできるものでないと考えた。例えば情報収集の仕方を教えたとして、結局のところ、それが習慣化しなければ課題の解決には至らない。
恐らく自身の関心がある企業の情報は集めるようになるかもしれない。だが、それは何もインターネットなど必要としない。恐らく地元のコミュニティや知人・友人との関係性の中で得られるだろう。
そうすると敢えてインターネットで情報を収集しようなどと思えなくなるだろう。明らかに必要性が乏しいためである。それでは課題のある現状が何一つ良い方向へと向かわない。
そもそもの話だが、スマートフォンを自身の生活において最低限しか利用していない人々に対して、新たな操作となる情報収集を教えたところで、土台継続して行う筈がない。誰だって不慣れな行為を継続するのは難しい。
だから、『スマートフォンはとても便利なものであり、使えるようになれば自身の生活をより豊かにできる道具なのだ』と認識を持てるようにするのが、まずすべきことだと考えるに至ったのである。
くるくる喫茶うつみでスマートフォンでのAI利用を伝えてみる
それでは実際に『日々の暮らしをスマートフォンを用いてほんのりと便利にするための情報を話し合う機会の創出』に取り組んだ結果どうだったのかについて書こうと思う。
今回、参加者の募集は、Facebookグループ内において2度行った程度に留めた。加えて、くるくる喫茶うつみのマスターにご助力を頂いている。結果を言えば、筆者の募集での参加者は0名、マスターがお声がけしてくださった常連の方々3名へのアプローチとなった。
マスター様々である。これだけ読むと『募集のやる気がなさ過ぎでないか』と思われるかもしれない。実際にそうだった思うが、正直なところ敢えてそうした面がある。
今回の取り組みはトライアルに位置付けていたため、軽い宣伝だけの反応を知りたかった。言ってしまえば、参加者0名か、参加者1名以上かを知りたかった。筆者の性格的なものもあるが、0か1かの方が、今後の方針や計画を立てやすいと考えており、中途半端な結果で困るケースを避けたかったのである。
一方で、完全に0名で終わってしまうと、肝心の中身の判断がつかなくなる問題があった。マスターの善意によるものであったけれど、常連の方々に対して実施できたのは、心の底から助かった。
お陰で、iOSを対象に実施するのが想定以上に難しかった点、Androidでも想定外が生じる点といった問題が生じることが分かっただけでなく、実際にAIに触れてもらうだけでは目的の達成に近づけるのが難しい点が分かった。
2回目以降がいつ実施されるのか、そもそも今回同様のやり方になるのかは定かでないが、今回得られた反省や学びを踏まえて適切な改善を図っていきたいと思う。
尚、先述した課題2.若年層に対するアプローチは別に準備中である。こちらは形にするのに少々時間がかかりそうだが、可能な限り速やかに実行していけると良いと考えている。
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