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飲食店のアフターコロナ【出口戦略】

前回、【飲食店の『アフターコロナ』に向けて】という記事を書きました。
今回はその続きで、アスターコロナが目の前に迫った飲食店の【出口戦略】についてです。

【新しい生活様式】

5月4日に新型コロナウイルス感染症専門家会議の提言を受けて厚生労働省が新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を公表しました。
(出典:厚生労働省ウエブサイトより)

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この中で飲食店に関わる事は【食事】の部分です。
そして今後の飲食店が対応しなくてはいけないの以下の5つです。
・屋外空間で気持ちよく
・大皿は避けて、料理は個々に
・対面ではなく横並びで座ろう
・料理に集中、おしゃべりは控えめに
・お酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けて

実際に飲食店に携わっている者からすれば、”ほぼ実現不可能”な事が並んでいます。

それでも飲食店は出来る事を見つけて、出来る事に取り組んでお店を存続していかなくてはいけません。
どこかのコメンテーターや評論家のようにあるべき論だけ並べて”頑張りましょう!”というのは、飲食店専門のコンサルティングを20年以上行ってきた私には出来ません。
正しいか正しくないかではなく、具体的提案をどれだけ出せるかが今専門家と言われている人に問われていると思っています。

【新しい生活様式】に対応すると仮定した対応

まず、今回の【新しい生活様式】に対応すると仮定した対応です。
大前提として今行っている、入退店時の手指の消毒、お客様が退店した時にはテーブルの消毒は行う事は当然として考えます。

では具体的にはどうすれば良いのかという事ですが、この新しい生活様式で一番被害を受けるであろう職種は【建物の中で宴会をメインにしている業種】、つまり結婚式の披露宴等を行っているレストランウエディングの店舗や、団体を受けてパーティーなどを行っているホテルの宴会場、団体客をメインにしている温泉旅館の宴会などです。

その一番影響がある業種への対策を考える事で、アフターコロナを迎えた飲食店の営業への【出口戦略】のヒントになると思います。

まず新しい生活様式に対応する為に考えなくてはいけないのが【席割】と【料理形式】と【接客方法】です。

【席割】について

【席割】については今までのように円卓を囲んでやテーブルに対面して掛けてという事が出来ないように提案されています。
しかし、横並びの席割で2m程度(1席おき)の着席で披露宴などを行えるかというと、出来ない事は無いでしょうが、テーブル自体を購入しなおすような対応や現実的には難しいという事が考えられます。

発想的にはそうではなく、”今まで通りの席割でどうすれば密集を回避できるか”を考えるべきです。
経済的にもサービス業的にも素人といえる人が考えた新しい生活様式に、全て当てはめることは資金的にも企業規模的にもほとんどの会社が不可能です。
だったら今ある資源と資産を有効活用して、対応できることを考えるべきです。

ではどうするか。

私の提案はテーブルにはめ込めるタイプか衝立タイプの透明なアクリル板(パチンコ店で台と台を区切っているような板です)で席をセパレートにする方法が現実的な対応かと思っています。
宴会場で話さない事は現実的には不可能で、透明なシールドを顔につければ食事がしずらく、またせっかくのオシャレも台無しになります。
人の顔が見えて、話もでき、食事も出来て飛沫もある程度防げる。
そして何より場の雰囲気を出来るだけ壊さずに宴会が行える。
いかがでしょうか?
実際は1年程度でこのような対策は不必要にはなると思いますが、目先の現実的な【安心】を提供しながら事業の継続を確保するにはある程度提案に合わせる必要があると思います。

もう一つの対応方法として”入客の制限”と”着席の制限”での対応です。
”入客の制限”と”着席の制限”は”文字通り、お客様の入客数を制限して密にならない程度(ほぼ席数の半分~1/3以下)で、かつ着席を対面ではなく対角線や1席あけての着席で営業する事です。

【料理の形式について】

【料理の形式】は中華料理では良く行われる大皿料理のシェアではなく、コース形式の一皿料理がメインになってくる事になります。
居酒屋でもシェアする事が普通ですが、これは調理場で対応するのではなく接客で対応する必要があります。

そして”お酌”に関しては当面行わない方向で、個別でグラスでのドリンク提供やビール瓶などは一人1本の対応の徹底を行い、入店時に新しいお酌ルール【注ぐ立場の人が瓶を全体乾杯の時のように目の高さまで上げ、受ける側がグラスを目の高さまで上げる”エアお酌”】を新しいお酌の方法として提案する事で、お酌をするという問題を解決するのはいかがでしょうか。

”大皿は避けて、料理は個々に”という事に関しては、ホテルなどの宴会では行われることもありますが、居酒屋等でもまずは大皿料理を提供して、提供時にサービス担当が小皿に取分けるという事を徹底するのはいかがでしょうか?
人件費が今までよりかかりますが、調理場で全て小分け対応の盛り付けをツーオーダーで行うよりは対応が出来ると思います。
小型店舗では逆に調理場で小分けでの盛り付け対応を行うべきかと思います。

また、それも難しいという時は焼肉店のトングと同じで、直箸の禁止と取箸利用の徹底をお願いする事が良いのではないでしょうか。

【接客方法について】

【接客方法】ですが、一番の問題は対面式で会話をしながら注文をとる事が可能かどうかという点です。
回転すしのようにタッチパネルタイプのお店は、お客様が退店される度にタッチパネルの消毒を行えば良いと思います。

しかし、対面式でご注文を伺うタイプのお店ではお店の接客係がマスクをする必要が出てきます。
その時に今の布マスクタイプで行うか、透明マスクタイプで行うかの選択になります。
布マスク対応は完全に鼻と口を覆うので衛生的には優れていますが、表情が見えず特に高単価のお店にはそぐわないと思います。
透明タイプのマスクは上下が空いているので飛沫を完全にカバーすることは出来ませんが、表情も見えますしお店の雰囲気も維持できます。
この2つのどちらかは必ず接客係は付ける必要がありますが、それはお店の判断で良いと思います。

そして最後になりますが、店頭(入口)にはっきりとお客様向けに自店で行っている事、お客様に行っていただくことを明示するする事と、客席でも新客サービス時に説明する事が必要です。
例えば入口での検温と手の消毒、客席に着席するまでのマスクの着用のお願い、トイレに行かれた際の手の消毒の徹底、料理の取分け時の直箸の禁止、お酌についてなどをまとめたポスターを入口に掲示し、新客時にも説明しての対応です。

【新しい生活様式】で出来る対応だけ行うという選択

そして実際はほとんどの飲食店が採用するであろう《新しい生活様式》で出来ない事は対応せずに、今までの営業形態に沿った営業を行うという選択です。

残念ながら《新しい生活様式》は現実的ではなく、実際に提言通りに営業を行うとほとんどの店内飲食型の飲食店は潰れます。
そんな事は誰も望んでいないので、実際のところは出来る事に気を付けながら今まで通り営業するような選択をする事になると思います。

私は現実的な選択肢としてはそれは仕方がない事だと思いますし、だれも責められないと思います。
一部の自粛警察と言われる方達が《新しい生活様式》を守って営業していない!と騒ぐと思いますが、そんな意見ははっきり言って無視して良いです。
そういった人達の特徴として、口を出すだけ出して誰も責任なんて取らないのでスルーしておきましょう。

そうはいってもお客様と働く従業員の安全は確保しなくてはいけません。
マスク着用については《新しい生活様式》に対応する時と同じで、着用を必須として考えています。
その上で下記の図に説明しているポイントをご提案いたします。

実際の飲食店のアフターコロナ時の営業

まず【お客様へのお願い】として以下の7つをご提案します。
①入口での手指の消毒
②入口での検温のお願い
③代表者の連絡先のお伺い(感染追跡用)
④エアお酌のご提案
⑤直箸ではなく取箸の使用
⑥泥酔のご遠慮(嘔吐対策)
⑦トイレでの嘔吐禁止(飛沫感染拡大防止)

現時点で①は行われていると思いますが、②~⑦は安全対策としてお客様へご理解いただく必要があると考えています。

そして【店側の努力】として次亜塩素酸水の噴霧など空間消毒を行っているお店もあると思いますが、全体的な対応として以下の5つをご提案します。
①出勤時の健康チェック表の記入(体温・体調・味覚)
②特に検温はダブルチェック
③営業中の小まめな消毒(手指・テーブル・出入り口)
④新客サービス時の説明
 ■連絡先 ■エアお酌 ■取箸 ■泥酔 ■トイレ利用について
⑤ご協力への感謝を伝える

現時点で①と③と⑤は行われていると思いますが、②は体調をごまかしての出勤の防止、④は新しい生活様式への出来る限りの対応としてです。

今の日本全国の中小企業、個人事業としての飲食店をベースに考えると資金的にもマンパワー的にも実際に出来る事は限られています。
その中で出来る最大限の事を実施していきましょう。

自分のお店は自分で守る事しかできません。
未曾有の難局ですが、必ず日本の外食産業は、飲食店は乗り切れると信じています。

頑張りましょう!!


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飲食専門コンサルタントが綴る《飲食店繁盛への道》
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