【T〜バイト先の奇人〜後編】R5.8.10
Tが二軒目に選んだのは、同じくアメ村にある隠れ家的なバーだった。こちらはカウンター席が6席のみで、店内には、20代後半とおぼしきドレッドヘアーの店長がいた。
店長は、Tに気づくや否や今度はハッキリと苦虫を噛み潰したような顔をした。ここまで店側にぞんざいに扱われる客というのも珍しい。そんな店長の第一声は「いらっしゃいませ」などではなく、「もう暴れんといてくださいよ」だった。たしか、一軒目のマスターは「暴れたりすることはない」と言っていたはずだ。これでは聞いていた話とまったく