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夏の海がとなりだと、歌いたくなる。

わたしは、一昨年の梅雨、恋人ができた。
彼とたしか初めて行く、海だった。
それは夏。
まだ付き合って2ヶ月くらいのころ。

なぜ夏の海がとなりだと、歌いたくなるのだろう?

そのとき、詳細は覚えていないのだが、
彼とちょっとすれ違った。

特にわたしは悩みやすい性格なので、
それが心に引っかかって、
うまく楽しめていなかったように思う。

ただ、何かのきっかけがあって
話をして、
とてもすっきりした。

誤解が解けただけでなく、
まえより仲良くなった気がしていた。

それで楽しくなって、

だんだん日が暮れるなかで、
どこまで歩けるか挑戦した。

海沿いを渡りながら、
たくさんの話をした。

わたしのやたらとマニアックな話を
興味津々できいてくれて、
そういう知らないことを教えてくれる
ところがすきだよ と言ってくれた。

その夏のさなかで、
歌を歌った。

周りに人も少なかったし、
もうほとんど夜だったし、
となりには、海のくろさ、
気の遠くなるほどとおい、
水平線、
次の街、
せかいそして、
わたし自身!

だからかな。惜しげもなく歌を歌い、

ああこれは、いつか必ず思い出すなと
妙に達観しながら、
それでもその先をいく、
わたしたちを追いかけた。

まるで糸をたどるように。
それが命につづくように。


疲れて、お酒を買って
海沿いの広場に座った。

もう完全な夜のとばり。
遠くの街が明るかった。

海を見ていた。月がでていた。
わたしたちも。

そろそろ帰らないといけなかった
ような気もするし、

そのあと花火をやろうとして、
風がひどくて
結局火がつかなくて、

諦めてやっぱり帰ったような
そんな気もする。


わたしたちは、
歌を歌っていたんじゃない。
海に歌わされていたんだと
いまならわかるよ。

そのことが、
とても楽しかったんだよ。
ありがとう。

#わたしと海

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