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【セミナーレポート】シチズン時計 大石氏と語る、プロダクトの熱狂的ファンをつかむ秘訣
こんにちは!ユカイ工学セールスチームの鈴木です。
普段はBOCCOを中心とした法人営業を統括しています。
最近、大企業の新規事業担当のクライアントから、プロダクト開発だけではなく、その後のテストマーケティングや、商用化した場合のプロモーション支援についても相談を受けることが増えてきました。
ユカイ工学でも自社プロダクトをリリースする際には、テストマーケティングやファンを増やす一環として、クラウドファンディングを実施することが多いため、「Eco-Drive Riiiver」で1億円を調達したシチズン時計株式会社と共同でWebセミナーを実施し、その勘所を語って頂くことになりました。
こちらはそのレポートをまとめたものです。
当日ご参加いただけなかった方も、ぜひご覧ください!
セミナーの概要
〇開催日時
2020年6月23日 (火) 15:00 ~ 16:00
〇登壇者
シチズン時計株式会社
営業統括本部 オープンイノベーション推進室 室長 大石 正樹
ユカイ工学株式会社
代表取締役 青木 俊介
登壇者
シチズン時計株式会社
営業統括本部オープンイノベーション推進室 室長 大石 正樹
シチズンファインテックミヨタ株式会社(現シチズンファインデバイス株式会社)に入社し、小型液晶モジュールの開発エンジニアとしてのキャリアを得て、技術営業及び企画営業部門の責任者として海外市場開拓を牽引。
2018年よりシチズン時計株式会社へ転籍し現職。
https://www.cccmk.co.jp/cases/citizen
ユカイ工学株式会社
代表取締役 青木 俊介
東京大学在学中に、チームラボを設立、CTOに就任。その後、ピクシブのCTOを務めたのち、ロボティクスベンチャー「ユカイ工学」を設立。
「ロボティクスで、世界をユカイに」というビジョンのもと家庭向けロボット製品を数多く手がける。2014年、家族をつなぐコミュニケーションロボット「BOCCO」を発表。2017年、しっぽのついたクッション型セラピーロボット「Qoobo」を発表。2015 年よりグッドデザイン賞審査委員。
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【第1部】 シチズン時計「Eco-Drive Riiiver」が成功した理由とは
第1部は、シチズン時計の大石氏に立ち上げの背景や苦労を伺いました。
ーー新しい「時」の体験をめざすRiiiverは、次の100年を検討する過程で生まれた
2018年に創業100周年を迎えるに際し、社内では「シチズン時計の次の100年に向けた」検討を進めていました。その中で、「時」という概念が、時刻という客観的な存在ではなく、楽しさやほろ苦い思い出を含めた主観的な存在にしていきたいと考えました。
また、世の中にはスマートフォンやスマートウォッチ等の多くのデバイスがあるものの、現時点ではそのデバイス(機能)に人が合わせざるを得ないため、もっと人にデバイス(機能)をフィットさせる、つまりパーソナライズができるようにしたいと考え、Riiiverのコンセプトを形にしていきました。それは、「市民に愛され親しまれるモノづくり」という社名に込められた想いにも合致すると思います。
ーー正直、クラウドファンディング以外の選択肢は無かった
Riiiverは、新しい「時」の体験をユーザー自身で生み出し、ほかのユーザーにも共有できるプラットフォームであると同時に、そのプラットフォームに唯一コネクト可能なEco-Drive Riiiverというデバイス(時計)である、というコンセプトを訴求する必要がありました。
もちろん、既存のチャネルで新商品として販売する選択肢もあったのですが、コト(体験)とモノ(腕時計)の両方のコンセプトを、世界に正しく、均一に説明するには、クラウドファンディングが最適であるという結論に至ったのです。その選択は今でも正しかったと思います。
ーークラウドファンディングの成功というゴールを設定することで社内が1つになれた
一般的に新規事業は孤立しがちです。
つまり、新規事業部門が全てのミッションを追って事業を立ち上げるのですが、組織が分かれていることもあり、開発・製造・営業/PR等の既存の組織はどうしても他人事になってしまうことが多いと思います(あくまで、一般論ですが)。
もちろん販売までの道のりは多くの困難があり、新規事業部門が中心にはなるのですが、クラウドファンディングの成功という、いわゆる外部のゴールを設定することで、社内の目線が1つになり、周囲の部門からのサポートやアドバイスを得ることができたのは、クラウドファンディングによって得ることができたことの1つだと思います。
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【第2部】 成功率100%、話題・ファンを増やす達人セッション
第2部は、大石氏とユカイ工学代表の青木がトークセッションを行いました。
ーーファンとは言わば「共犯者」一緒にプロダクトやサービスを育てる仲間
青木
ユカイ工学では新しいプロダクト開発する際、クラウドファンディングの支援者のや購入者からの問合せや、SNSへの投稿を常にチェックしており、発信力や熱量がありそうな方、面白い視点をお持ちの方をオフラインのファンミーティングに招待します。
そこで、開発者やデザイナーが直接、プロダクトの生まれた背景や開発秘話をお話し、参加して頂いた方と意見交換することで、プロダクトを一緒に育てている(言わば「共犯」)という関係性を構築するよう意識しています。それがファンを増やす第一歩です。
実際、セラピーロボット「Qoobo」の販売後も、ファンミーティングを開催し、小さくなった、しっぽクッション「Petit Qoobo」を、「秘密の」ファンミーティングと題してこっそりお披露目したり、ご来場いただいたファンの投票から新色のシルキーブラックが生まれました。そうすることで、更にコアなファンになってもらい、それを見た別のユーザーがまた興味を持つ、という相乗効果が期待できます。
大石
私も同じ感覚を持っています。クラウドファンディング期間中のオフラインイベントで、参加者の方から「シチズン時計は~すべきだ」、「Riiiverは~あるべきだ」、と言いう意見が出始めたら、それはもう企業と消費者の関係ではなく、「ナカ(企業寄り)の人」ですよね。
ーークラウド(オンライン)でも、「オフライン」のコミュニケーションが重要に
大石
クラウドファンディング期間中に、取り上げて欲しいメディアの方へアプローチし、メディア露出を増やせるよう動きました。その結果、クラウドファンディングの紹介ページの閲覧数が期間中、最高値を記録することができました。
ネット上で完結させることもできるのですが、メディアの方に直接お会いして我々の想いを伝えることで、コト(体験)とモノ(腕時計)の両方のコンセプトをうまく記事化して頂いたことが閲覧数と支援数が伸びた要因だったと思います。
青木
クラウドファンディングは、開始前からリターン発送後までのフォローアップが非常に重要です。Petit Qooboのクラウドファンディングでも、若手社員がリーダーを務めてくれましたが、彼女はそれこそ24時間誰よりもSNSや問合せをチェックし、リツイートやレスポンスを行っていました。
また、リターン発送時の弊社の梱包ミスも、スピーディーかつ真摯に(ユーモアを交えて)対応したことで、逆にファンになって頂いたこともあります。
ーー今後は小売業とのコラボレーションが更に重要になってくる
青木
クラウドファンディングの紹介ページでは、動画や画像、Q&Aなどを充実させますが、販売前のプロダクトをWebサイトの情報だけで購入することは、一般的にはハードルが高いと思います。
最近のトレンドとして、株式会社CAMPFIREが運営している「BOOSTER STUDIO」が渋谷パルコにオープンしたり、体験を売るストア「b8ta(ベータ)」がこの夏に日本上陸する等、商用リリース前にテスト販売を行って、消費者からのフィードバックを得たり、実際に販売することができる場が増えています。
リスクを減らしてヒット商品を生み出そうとする企業のニーズにマッチしているので活用させて頂いています。
大石
弊社でも蔦屋書店が、プロダクトが関連している書籍と一緒にEco-Drive Riiiverを展示してくださっており、プロダクトの認知や販売数増に寄与してくださっています。
ーー企業内コミュニケーションに近道はない
大石
私が統括するオープンイノベーション推進室がプロジェクトの実行責任を負うものの、クラウドファンディングを経て、リターンを発送するまでには、多くの部署を巻き込んで推進していく必要があります。
そのため、情報共有や判断内容に応じた会議体を設計したり、責任範囲を明確にしたり、情報共有しやすいようツールを整備したりしました。
また、様々な部署に役割が分かれているため、ユーザーやファンから見た場合の入口(問合せ先)と出口(回答部署)やトンマナをルール化するなど、当たり前のことを1つずつ整備して行きました。
私はファンづくりは社外(消費者)との関係だけではない、と考えています。多くの大企業は機能や役割ごとに組織が分かれているため、特に新規事業は同じ目線や熱量でものごとを進めることが難しいと感じます。
そこで、関連する部署のキーマン1人1人に熱意をもってアプローチし、少しずつファンになってもらうことで、各段に進めやすくなることがありました。これから社内外問わず、ファンを増やして行きたいですね。Riiiverのビジネスパートナーも募集していますので、是非、ご連絡ください!
お問い合わせ
※種類は「ビジネス」をご選択ください
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最後に
コロナ禍の影響で、消費者との「心理的距離」をいかに近づけるかが、事業の成功のために、益々重要な要素になってきたと思います。
プロダクトやサービスの成功はリリースして終わりではなく、それを受け入れ、育ててくれるファンやコミュニティ作りにかかっている、そんな強い想いを感じるセミナーでした。
継続的に開催しますので、次回もお楽しみに。
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