10分で分かる 隷属なき道 のまとめ
10分で分かる ベーシックインカム
忙しい人の為の10分で分かる 隷属なき道
ルドガーブレイクマンの 隷属なき道 を10分でまとめます。
基本的に人間の自然な振る舞いとして人間は経済が停滞したり交代する局面だと、ナショナリズムが高まり
ナショナリズム(nationalism)
民族,国家に対する個人の世俗的忠誠心を内容とする感情もしくはイデオロギー。普通,民族主義と訳されるが,国民主義,国家主義あるいは国粋主義と訳されることもある。しかしこれらの訳語はいずれもナショナリズムの概念を十分に表現しているとはいえない。ナショナリズムの概念が多義的であるのは,ネーション (民族,国民) が歴史上きわめて多様な形態をたどって生成,発展してきたことに起因している。歴史的な重要概念となったのは 18世紀末以後のことである。アメリカの独立とフランス革命がその端緒となったとされ,南アメリカに浸透し,19世紀にはヨーロッパ全体に広まり,ナショナリズム時代をつくりだし,20世紀に入って,アジア,アフリカで多くのナショナリズム運動が展開された。ナショナリズムはこうした諸国の独立をもたらす解放的イデオロギーではあるが,民族紛争と戦争の拡大をもたらす危険も大きい。
国を閉じて、問題解決の糸口を外に向けます。
まぁ要するに戦争して不況なのは全部外国が悪い!って事にする行為ですね。
と、民族第一主義になったり、国を閉鎖したり、関税高くしたり、軍事力を強化する方向に走ります。
不況になるのは只の貨幣現象なんですが大多数は経済に詳しく無いし経済を勉強してるわけでは無いので仕方のない事なんですがね。
とまぁ、現在世界は停滞している局面にいるので社会情勢はどうしても右寄りになりがちな昨今、こういった超左寄りの著書が出版される事は左右のバランスを取る上で非常に有意義な現象です。
この本ではルドガーブレイクマンが過去のベーシックインカム(のようなもの)が行われた実験をデータから本当はどうなの?
って部分を調べる事によって本当はベーシックインカム って制度はとても有用なんだと説明しています。
さて、ベーシックインカムとは、国家が国民全員に生活に最低限のお金を無条件で配る社会制度ですね。
要するに日本だと日本国籍持っている国民全員を生活保護する感じです。
所がスイスで行われたベーシックインカムの国民投票でも否決された様にベーシックインカム って制度は少数(マイノリティ)Death。
それは
ベーシックインカムには必ず
・国民が働かなくなる(人間が堕落する)
・(その結果GDPが下がるので)予算が足りなくなりいずれ崩壊する
・そもそも全ての国民を生活保護するほどの予算が無い
要するに予算が無いって事と人間は堕落する。って事の二つがボトルネックになってベーシックインカムはうまくいきません。
それをブレイクマンはデータからベーシックインカムしたって人間は堕落しないし、予算もある。
という事を説明しています。
さて、予算の説明からします。
現在アメリカは国防に年会4%の予算を使っておりますが、ブレイクマン曰くアメリカの年間の予算の2%を使えば十分国民全体に生活保護(ベーシックインカム)する事が出来ると計算しております。
これはまぁあくまで試算ですがね。
なので、予算に関しては国防予算使えばよく無い?って考え方です。(この辺が左巻きです)
次にベーシックインカムすると果たして人間は本当に堕落するのか?って部分ですが
これもホームレスに無条件でお金を配った所、60%のホームレスに生活の改善が見られ、家族に再開するという目標を立てた人とか、屋根のある家に住むように仕事を探し始めた人と
大きな改善が見られたと発表しています。
又、例えばオランダで、ホームレスに1000ドルのお金を無条件で寄付した所、殆どのホームレスは400ドル程度しかお金を使わなかったという事です。
ブレイクマン曰く
なので紐付きにしたり条件を設定して細かく政府やボランティア団体が管理したりすると維持管理費みたいな無駄なコストが嵩むし
貧乏人こそが世界で一番お金の大切さを理解している。との事なので、無条件に配ってしまった方がいい。
との結論です。
では何故今までベーシックインカム(的な奴)はうまくいかなかったのでしょうか?
答えは 認知バイアス です。
認知バイアスとは、人間なら誰にでもある「思考の偏り」です。
人間は、事実と違うことでさえ、思い込みをします。不思議なことに、「思い込み」や「勘違い」には、同じ傾向があります。その傾向を「科学的な研究」によって導き出したのが、認知バイアスです。
この認知バイアスってのは非常に厄介で、多分これのせいで常に人間は合理的な決断ができません。
人間は基本的にファクト(真実やデータ)ではなく思い込みで行動します。
まずニクソン政権時代にアメリカはベーシックインカム(的な奴)をしようと試みました。低所得者に対する救済制度ですね。
果たしてベーシックインカムが成功するのか?について
ニクソン時代の大統領補佐官のマーティン・アンダーソンが1795年にイギリスで実施されたスピーナムランド制度(ベーシックインカム制度の走りみたいな奴)
についての報告書を提出しました。
要約すると
経済学者のトマス・マルサスの予測通りに
貧困層を支援すると国民はできるだけ早く結婚し、多くの子供を作り、結果として食料が足りなくなる。
その結果暴動が起こると予測
1830年に見事に貧困に喘ぐ農民たちが各地で暴動を起こす。
という事で社会保障しても無駄暴動起こるだけだから無駄だよね。
という報告書を読んだニクソンはベーシックインカムやっても効果ないならって事でやめちゃいました。
さて、この報告書は事実には基づいていません。時系列的に事実を述べると
(ウソ)貧困層を支援すると国民はできるだけ早く結婚し、多くの子供を作り、結果として食料が足りなくなる。(只の予測であり確証はありません)
(ウソ)その結果暴動が起こると予測(暴動は起こりましたがスピーナムランド制度のせいで起こったのかどうかの確証はありません)
(ホント)1830年に見事に貧困に喘ぐ農民たちが各地で暴動を起こす。(暴動は起こりましたがスピーナムランド制度との因果関係は不明です)
スピーナムランド制度を利用している人々からデータとしてのアンケートを10%しか取っていませんでした。
残りの90%はスピーナムランド制度を利用していないスピーナムランド制度に反対的な地元の名士や牧師からの回答です。要するにでっち上げDeath。
何よりもアンケートの質問の内容が極めて誘導的であるという事が分かりました。
なのでこの時点でスピーナムランド制度が果たして効果があるのかないのか?については 最近の研究では効果があったと結論つけられています。(今後どうなるかは不明ですが)
又、
(ウソ)ベーシックインカムを導入すると離婚率が50%も上るという事がわかりました。(そんなデータありません)
要するにこれは、大統領補佐官のマーティン・アンダーソンは愛国者です。
彼は、信念に基づいてベーシックインカムに反対でした、
アメリカ国民は勤勉で、正義感あふれ、アメリカの主婦はそんな強くたくましい夫を支える事を美徳としています。
ベーシックインカムを導入する事はアメリカ人の勤勉性を貶め、家族や家庭を分断し、離婚率が上がり、アメリカ国家の存続に関わる極めて反愛国的な行為だと
彼は 信じていました。
(これは彼の認知バイアスであり、データによって導き出された答えじゃないです。彼の思い込みであり、信念です。)
なので、ニクソン政権は離婚率が跳ね上がり、国家を分断しかねないベーシックインカムを導入する事を断念したのです。
と隷属なき道を読む限り、基本的にベーシックインカムする事で社会は好転する事が彼が調べた限りのデータからは導き出されています。
しかし、多数の人間は基本的にデータに基づく合理的結論よりも、思い込み(認知バイアス)によって行動する生物なので、
ベーシックインカムがどんなにデータで良いとわかっていても多数が認知バイアス(思い込み)から解脱しない限りは
ベーシックインカムは成功する余地が極めて低いというのがこの本からの総論です。
この本は全体を通してデータに基づいてベーシックインカムを考察するとても学術的に意義のある素晴らしい本なのですが
実はこの本には大きな落とし穴(ワナ)が潜んでいました。
その罠について解説します。
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