「こころに効く精神栄養学」(功刀浩)がおすすめの理由と紹介されている栄養素について


お忙しい方は、興味がある方は、
「2章 うつをやわらげる栄養とは?」 にて紹介されている栄養素について
うつ病と関連する栄養素を多く含む食品

をクリックして見てください。あとは長々と書いているだけです!


なぜこの本を紹介するか(はじめに)

今回は、功刀浩先生の本、「こころに効く精神栄養学」の栄養部分についてです。
私はうつ病と栄養に関する本を十冊前後読んできました。

その中で一番おすすめとなった功刀浩先生の著書、「こころに効く精神栄養学」です。
「うつ病と栄養の関連について興味がある方へ」「または今はまったく興味がないよという方へ」向けて、
「うつ病と栄養に関するエビデンスに基づいた最新の知識を身につけ」(※2016年出版本2012~2014雑誌連載分単行本化))、「エビデンスのない主張に惑わされず健康になっていこう」というための文章です。

(「こころの病を治す 食事・運動・睡眠の整え方」(功刀浩)の方が2019年の出版で最新なのですが、タイトルの違いの通り栄養に関して割いているページ数が違い、一つ一つの栄養素について出典をきちんと示しているという関係で「こころに効く精神栄養学」を採用しました。買う方は読みやすいほうを選んで読んでください。)

いろいろある「この栄養がいい」という情報と見比べるという使い方になるかと思います。

(本書内では、例えばうつぬけ食事術(奥平智之)のようにチェックリストや血液検査の見方があり、「当てはまる人は○○不足だからこうすればよい」、という項目が用意されている訳でも、メガビタミン健康法(藤川徳美)のように「プロテインやビタミンをこの量飲めばいい」、と示されている訳でもありません。
私自身は医療関係者でも栄養学を学んだわけでもありませんので、「エビデンスに誠実な態度とはなんなんだろうか」と、考えさせられます。

(功刀浩先生がどのように血液検査をしてその数値と向き合っているのかが分かる資料や書籍があれば希望します。
現在のところの研究結果でも個人レベルで確認できるようになるとうつ病と栄養についての個人での実践が進むと思いました。他の方の主張と同じ点・違いも含め知りたいところです。)


うつ病と栄養に関するエビデンスについて(おすすめの理由)

功刀浩先生はこの本の中で、参考文献について全6ページ(p224-229)に渡り論文等を示しています。

また、本の「はじめに」では、
しかし、筆者が知る限り、科学的知見に裏付けられた精神栄養学に関する解説書は、わが国にはほとんどない。(p4)
本書は、科学的エビデンス(研究成果に基づく証拠)に基づいて書くことを第一に心がけた(p5)

本の「おわりに」では、
心の病気、メンタルヘルスと食事や栄養との関係については、巷ではいろいろな考えや言説がとびかっている。本当かな? と疑問になるような科学的裏付けに乏しいものも見受けられる。従って、これに関する科学的エビデンスに基づいた知識を読者に伝えたいという、スタッフの方々の熱意を肌で感じた。(p222)

筆者は連載が始まる少し前の2010 (平成22)年から14年まで、文部科学省による「脳科学研究戦略プログラム:生涯健康脳」の研究課題として、うつ病をはじめとする心の病気をもつ患者さんに対する詳細な栄養学的研究を行なっていた。その研究を進める中で、
心の病気における栄養学の重要性はホンモノであり、この分野をきちんと学問分野として 確立しなければならない、それは患者さんにとって大きな福音になる、という強い思いに駆られていた。この思いは、「栄養と料理」のスタッフの熱意と大いに共鳴した。(p222-223)

という思いでこの「こころに効く精神栄養学」という本をまとめています。

私と同じようにあなたがうつ病で困っていて、うつ病と栄養に関する本を書店でいろいろ並んでいるものを手に取って読んだ場合、「その方はどのようなエビデンスに基づき主張されているかわからない」ということがあると思います。
見方によっては、「自分のクリニックで自分の独自の理論に基づき主張している面が強い方」「高額のサプリ販売のため」、と見える方もいるのではと私は感じました。

功刀浩先生がどのような方かお会いしたことはないのでわかりませんが、(高額な医療に誘導する方であれば今回おすすめすることが申し訳ないです。)

この本「こころに効く精神栄養学」はエビデンスに基づき発信しようとする姿勢や論文を示されていることを信頼し、「この一冊をうつ病と栄養について学ぶ初めの一冊」にして、栄養に関する知識の下敷きにしてはどうかと私は感じています。


本の構成と栄養以外の部分について

この本の構成は
1章 こころの健康と食生活・運動
2章 うつをやわらげる栄養とは?
3章 こころの病とともに生きる

となっています。
うつ病についてのその他の知識も学ぶことが出来る非常にいい本なんですが、今回は栄養面についての紹介なので、1章と3章はカットします。私が印象に残った点は、
1章では、最近うつ病に運動療法の有効性を主張する方は多いですが、
功刀浩先生も、
運動はうつ症状を軽減する、効果は薬と同等かそれ以上?というデータを紹介しています。(p48~49)
週3日、1回30分のウォーキングができることを、第一の目標にする(p52)
症状が強い患者さんの場合には、朝起きたら窓をあけ太陽の光を浴びて外の空気を吸い、少しストレッチをするくらいでよしとする。(p53)
という段階をおった回復を目指すアドバイスを行っていました。
また、3章では朝ごはんをきちんととる習慣のある人はうつ病のリスクが低いことが紹介されていました。(p171-173)

1、3章については私が印象に残ったことのみ紹介させてもらいました。
今回の目的は「うつ病と栄養に関するエビデンスに基づいた最新の知識を身につける」ためですからね。

「2章 うつをやわらげる栄養とは?」 にて紹介されている栄養素について

●ビタミン
ビタミンでは、主にビタミンB1、B6、B12、葉酸、Dなどの不足がうつ病のリスクを高めることが指摘されている。
ビタミンDの血中濃度が低いとうつ病リスクが高まることもわかってきた。

●ミネラル
鉄、亜鉛、マグネシウムなどの不足とうつ病との関連が指摘されている。

●アミノ酸
アミノ酸には、神経伝達物質となるものや神経伝達物質の原料となるものがある。
トリプトファンが減少すると、うつ病患者やうつ病の素因を持つ人は気分が落ち込みがち になることが知られている。
もう一つの必須アミノ酸であるメチオニンの低下も、うつ病と関連することが指摘されている。 活性型メチオニン (S-Adenosyimethionine; SAM-e) は抗うつ効果を持つことが知られ、ヨーロッパでは処方薬として用いられており、北米ではOTC薬として市販されている。

●脂肪酸
n-3系(オメガ-3) 不飽和脂肪酸
魚の摂取量が少ない人や血液中のn-3系不飽和脂肪酸濃度が低い人は、うつ病のリスクが高いこともわかってきた。週に 2~3回は魚を食べるよう心がけたい。

●その他、嗜好品など
[ヨーグルト・乳酸菌飲料]
ヨーグルトや乳酸菌飲料は、ビフィズス菌や乳酸菌を増やし、腸内環境をととのえる。 腸内に善玉菌が増えると、ストレスに対して強くなる効果が指摘されている。

[緑茶]
緑茶カテキン (渋み)、テアニン(うまみ)、カフェイン(苦み)などの薬効成分を含み、極めて有用な薬用植物といえる。 緑茶を一日4杯以上飲む人はうつ症状が少ないという研究結果が東北大学などから複数報告されており、私たちの調査でも、週に4杯以上緑茶を飲む人には健常者が多く、週3杯以下だとうつ症状を持つ人が多いという結果が得られた。緑茶を飲む習慣を持つことはうつ病のリスクを下げるといえる。

カテキンは種々の生活習慣病にも効果があり、テアニンには精神安定作用がある。テアニンは玉露や抹茶などの高級茶に多く含まれているので、味わっていただきたい。

サプリメント
抗うつ効果があるハーブとしてよく知られているのが、セントジョーンズ・ワート(西洋オトギリソウ) である。海外ではサプリメントとして用いられ、ドイツでは医薬品として医師が処方している。ただしほかの医薬品との相互作用が強いので、併用は避けるか、摂取する場合は主治医と相談したほうがいいだろう。

そのほか、栄養補助食品としてEPAやDHAなどのサプリメントが売られているが、 魚が苦手という人は試してみてもいい。葉酸やビタミンD、鉄、亜鉛などのサプリメントも利用価値がある。(p79-83)


うつ病と関連する栄養素を多く含む食品

ビタミン
ビタミンD   きのこ類 魚介類
ビタミンB1   豚肉(赤身) ウナギ、玄米、ナッツ
ビタミンB2   レバー、ウナギ、 納豆、卵
ビタミンB6   刺身、レバー、鶏肉、納豆、にんにく、バナナ
ビタミンB12  貝類、レバー、のり
葉酸      葉もの野菜、納豆、レバー


ミネラル
鉄       レバー、 赤身肉、魚介、 青菜類、納豆
亜鉛      カキ、 ウナギ、牛肉、レバー、 大豆製品、 貝類

アミノ酸
トリプトファン 牛乳、乳製品、肉、魚、ナッツ、大豆製品、卵、バナナ
メチオニン   牛乳、乳製品、肉、魚、ナッツ、大豆製品、卵、野菜(ほうれん草、グリーンピース)
チロシン    牛乳、大豆製品、魚 (カツオ節、しらす干し)、 乳製品、肉、卵、アボカド


脂肪酸
DHA EPA  魚(マグロ、ハマチ、イワシ、ブリ、サバ、サンマ、サケ、ウナギなど)
(p77)

となっております。
栄養療法について、一つの指針としてください。


私自身が本を読んで勉強になったこと


うつ病と鉄分について
確かに、軽度の貧血や潜在性鉄欠乏を呈する人がうつ病患者さんの中に少なからず存在する。そうした患者さんには鉄剤をのんでもらい、鉄欠乏は速やかに改善する。しかし、うつ病もすっかり治るかといえば、事はそう簡単にいかない場合がむしろ多い。(p95-96)

との記述です。うつ病で貧血気味の方に鉄を勧めるお医者さんもいますが、それですぐに治るということを期待しすぎてはいけないかもしれません。

また、功刀先生の栄養のまとめにおいて、「ナイアシン(ビタミンB3)を勧める記述がない」ことも、私がナイアシンを取らないほうがいいと考えることに至った理由の一つです。


ミネラルは長期にわたって多量にとりすぎると弊害の心配もあるので、主治医に相談し、血液検査でチェックしながら補充するのが安全だ。また、「サプリメントをとっているから食事はなにを食べてもいい」というのでは本末転倒。まずは3度の食事をバランスよくとることを心がけ、サプリメントはあくまで補助的に利用するようにしたい。(p83)

ただし、うつ病は手ごわい病気である。食生活を改善しさえすればよいというものではない。ストレスのかからない環境での療養生活、抗うつ薬の服用、認知行動療法など、治療にはこれらについて総合的な取り組みが必要であることを付記しておきたい。(p18)

うつ病治療は薬物療法が中心であるが、患者さんの中にはいろいろと薬物を使っても治らない難治性うつ病のかたがおられる。そういう場合、一つの薬物が無効であれば次から次へと薬を試され、副作用だけに苦しめられる。服薬量が増えて“薬漬け”になってしまい、病気の症状なのか薬の副作用なのかわからなくなってしまうこともある。そうした患者さんの中には、薬を減らし、食事・運動・睡眠といった面の生活改善療法によってすっかり治ってしまう人がしばしばおられる。(p156)

と書かれていました。

私自身、体調が回復しない時期に、運動して生活リズムを整えることに加え、
様々なサプリメントを購入して試してきました。
様々試した結果、大きな効果は感じられませんでした。わらにもすがる気持ちもわかりますが、上述のように治療は総合的な取り組みが必要であり、栄養療法は奇跡のような療法ではないと思います。

うつと栄養に関するあなたが手に取ったその本、その情報で、その栄養やサプリを取れば上手くいくかのような記載は、うまくいっていることだけを記載しているのかもしれません。
その本のレビューの高評価は、うまくいった人だけが記入しているのかもしれません。

私自身が儲け主義ならば、「○○を取ることを実践したらすぐに効果があった!」と嘘をついてでもなにかのサプリを勧めるところですが、
私自身が体験し学んだことを含め発信させてもらいます。

うつと栄養について。期待をしすぎることはなく、しかしうつ病からの回復において栄養面も少しは意識してうつ病の治療に取り組んでいってほしいと思いました。

という意味でも、本著「こころに効く精神栄養学」では根拠論文や調査データも紹介されていますので、気になる方は購入して読んでみてください。

栄養面は特に、何が正解か未だににわかりません。
1つのデータとして。


PS
私がうつ病、メンタル不調に「なりそうだった頃」、うつ病に「なった直後」、なにも知らなかった頃に知りたかったことを、noteにてまとめてきました。
うつ病になった人に、
「とりあえずうつスピさんの投稿を見て、そこから考えたり取り組んでみたりしたらいいよ。うつ病経験者で、いろいろと体験して本を読んでまとめてくれているよ。これからいろいろと取り組んだりするときに参考になるはずだよ。」と勧めてもらえるような投稿が出来たでしょうか。
良い病院の選び方、薬の効果へ疑問を持つ派の意見(井原裕・田島治・亀廣聡)、断薬への分野はわからない分野なので、
軽症のときは抗うつ薬は飲まない方がいいのでは。睡眠薬や抗不安薬はなるべく早く(飲み始めて二週間以内に)辞めれるなら辞めていこうね。ぐらいのアドバイスしかできません。

私の数年がかりの苦しくて、何も情報がなくて、何を信じたらいいのかわからない中で、いろいろと取り組んだ体験と、数十冊の本の知識をあなたへ送ります。


愛を込めて。

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