酔狂という消したい記憶
人間誰でも消したい記憶の一つや二つ、ありますよね。
今回はそういうお話です。
全ての始まりはアニメだった
この黒歴史を語ると長くなります。だいたい1年くらい前のお話です。
去年の確か9月頃、私は内なる欲望と戦っていました。自分の好きなものを、発信するか否か。そしてそれを発信して、周りとの関わり方は変わらないだろうかと。
それが「アニメ」でした。
私たちの台は大学に入ってからの1,2年、ほとんどオンラインでの生活を余儀なくされました。そのため大学に行くことも少なく、サークルに所属していない人も多かったように感じます。下宿の人なら勉強のために大学図書館を訪れたりしていたかもしれませんが、自宅生の私はついぞ大学に足を運ぶことはありませんでした。
そんな中で私が熱を上げていたのがアニメでした。Amazon Primeには大学生限定のAmazon Prime Studentというサービスがありまして、月額250円で楽しめるんです。現在は300円になってしまいましたが、それでも金欠の大学生の頼れる味方です。その上他の動画配信サービスも1ヶ月無料とか2週間無料とかやっていて、それぞれ長期休暇など暇な時期に加入しては1ヶ月以内に解約するというチキンレースを繰り返していました。
こういった諸々の動画配信サービスを通して、まあそれはいろんなアニメを見ていたわけです。戦闘アニメ系は見ていてしんどかったので途中で日常系のアニメをよく見るようになってくると、それは見るアニメ見るアニメ、可愛らしい女の子がたくさん出てくるわけです。キュルキュルの目をした色白の女の子が甲高い声で喋ってるわけです。
当時はそれを見てなんとも思っていなかったのですが、なんだかだんだん "世間的に見て、自分はアニオタだと思われるんじゃないか?" と不安になってきました。鬼滅の刃とか呪術廻戦のような大衆アニメ以外を見ている人の方が、"アニオタ" と呼ばれる可能性が高い感じがしました。
アニオタだと思われたくなかったのは、それまでそういうアニメを見ている人はアニオタだと敬遠する価値観があったからでした。なんとなく偏見を持っていた自分が当事者になった途端に、過去の自分と同じ価値観の人間のことが頭に浮かんで発信ができなくなりました。
そのことを友人に話すと、「自分が好きなら発信すればいいんじゃないの?」とピシャリ。長いこと頭を悩ませた結果、私が辿り着いた答えが波乱を巻き起こすことになってしまいます。
酔狂、生まれる
私が思いついたのは「匿名のアカウントでアニメについて発信する」というものでした。そこでTwitter (現X) で新しいアカウントを作成しアニメ発信用にすることにしました。アイコンはゆるキャン△のしまりんのデフォルメ絵をiPadで手描きして、ハンネは自分がその時初めて意味を知って気に入った「酔狂」にしました。
そこまでは良かったのですが、大学、学部、学科を明かして、自分の存在を誰かに当ててもらおうと考えついてしまったんです。これが良くなかった。
初めは匿名性を活用して何でもかんでも好き放題言っていたのですが、だんだん飽きてきて投稿の頻度が落ちてきました。それっぽいことを語るうちに、大学に入ってから培った自分のアニメ熱では大して深いことが言えないと気づき、そこからはこれまで見てきたアニメを一覧でまとめその感想を語るという、自慢なのかレビューなのかもわからないことをし出しました。
その上「誰なのか当ててみてよ」みたいなことを頻繁に呟くので、同じ学科の中では密かに話題に上がり始めます。ただその内容は「誰なんだろうね」というより「気持ち悪いね」的なものの方が多く、全く想定通りではありません。とはいえもうここまでくると、全てを晒して笑い者になることもアニメ界隈のフォロワーに取り込まれてそちらに逃げることもできなくなっていました。
酔狂、いなくなる
思いあぐねていると今度は同じ学科のフォロワーに遠回しに酔狂の存在を揶揄され始めました。私はまあそれは打たれ弱いですから、もうそれだけで精神がすり減ってしんどくなってきました。一部友人にもバレ始め、もうそろそろ引き時かな、と考え始めました。
そしてアカウント作成から1ヶ月も経たないうちに、酔狂は全てのツイートを消去してアカウントごとなくなりました。今探してもないので安心してください。そして元からあったアカウントで自分が酔狂だったことを遠回しに明かしました。どんな内容だったかはちょっと忘れましたがわかる人にはちゃんとわかるようにしたと思う。
まあこんな感じで私は同じ学科の方にTwitterでかなりの痴態を晒してしまったわけです。いやー困りましたね。アカウントは消えても酔狂が私だったという事実は消えませんから、そして皆さんの記憶にも残り続けるわけですから。償うかさらしものにするか考えた結果後者にしました。ここに供養しておきます。
恐ろしいのは
一番恐ろしいのは、このnoteで私が酔狂と同じようなことをやろうとしていることです。自分の素性を明かさず、ひたすら誰なのかわからないように発信していました。まあ今は大学生であることを明かしていますが、初期の頃って今考えるとあの頃と変わらなかったよなあと思って変な震えがしました。
とりあえず今は「誰なのか当ててみて」というスタンスをなくすことだけは心がけるようにしています。自分が他人に調べられる存在になれるとかいう有名人ぶった考え方は捨てるべきですね。まあ今の状況では選択肢が多すぎて誰にもわからないと思いますし。
疲れました。それではこのへんで。