キキが「海の見える街」に行って学んだこと
こんばんは。
うつろです。
久石譲さんの音楽が好きです。
「風の伝説 (風の谷のナウシカ)」、「いのちの記憶 (かぐや姫の物語)」、「さよならの夏 (コクリコ坂から)」。どこか懐かしい、胸を打つ曲たち。「もっと身近に感じたい」そんな単純なきっかけから、研究室でジブリメドレーを聴くようになったのはつい最近のことです。
何度か垂れ流しにしていると、聞き馴染みのある曲が耳に残りました。
穏やかで、それでいてどこか悲しげな、しっとりした曲。スマホの画面を確認すると、「魔女の宅急便」に登場する「町の夜」という音楽でした。
魔女の宅急便は2回ほど見たことがあります。とはいえかなり前の話ですし、あの頃はストーリーなんて気にもせずただ「見ていた」だけでしたから、どこのどんなシチュエーションで流れていたのか覚えていません。
「そういえば少し前に金曜ロードショーでやってたのを録ってた気がする…」
そんな淡い期待を胸に、もし録れてたら見てみようと思ってたわけです。
昨日の夜、0時くらいからでしょうか、「魔女の宅急便」見てみました。
いやもう、マジで、おもしろかった。
主人公・キキは小さな街に住む魔女。「一人前の魔女になるためには13歳の年に他の街へ行って修行しないといけない」というしきたりに従い、飼い猫のジジと共に満月の夜に旅立ったキキは、嵐に見舞われながらも目指していた海沿いの大きな街での生活を始めます。ささいなきっかけからパン屋で宅急便の仕事を始め、町の人たちとの出会いの中で精神的に成長を遂げていく物語になっています。
僕が気になっていた「町の夜」は、魔法の力が弱くなっていることに気づいて焦り、また人間関係の難しさにも疲弊するキキの心情を表現した一曲です。一緒に過ごしてきたジジも隣の猫にとられてしまい、いよいよ自分しか頼れない状況に追い込まれたキキの内面が、穏やかな夜の空気と調和して印象的でした。
ここから少し話は変わりますが、せっかく見たので感想でも述べたいと思います。
僕が気になったのは、「なぜ魔女は13歳になると修行のために街を出ないといけないのか?」というところです。
故郷ではキキはみんなの人気者。突然の旅立ちにも関わらず、夜にはご近所さんが庭に集まってパーティーを開きます。友達にも大人にも「すごいね」と褒められ、笑顔で見送られて街を出ました。
しかし「海の見える街」ではそううまくはいきません。道ゆく人に声をかけても無視され、「道路に出るなんて危ない」と警察には目をつけられ、ホテルに泊まろうとしても「身分証明書は?」と一蹴され…
今までの自分のまま振る舞ってもうまくいかない。そんな密かな絶望感を、キキは新天地で感じることになります。
それはひとえにキキという存在が、そして魔女という存在が、その街でまだ知れ渡っていないからこそ起きる問題でしょう。
田舎の街では誰にでも知れていた自分も、場所を移せばあまりにも無力である。この違いに気づくことが、修行の目的なのではないか?というのが、僕の仮説です。
箒に乗って空を飛んでいる少女がいても誰も不思議がらない世界観であるとはいえ、魔女が特異な存在であることは間違いないでしょう。魔女というだけで偏見を持たれてしまうことだってあるかも知れない。自分の住む小さな街では気づけなかった「世間」を、自分の力で学び取って強く生きてほしい。この通過儀礼はそんな思いで続いているのだろう、というのは少し考えすぎでしょうか。
冒頭に何度か語られる「他の魔女がいる街に修行に行ってはならない」という表現が気になりました。これももしかすると、同属 (魔女) の力を借りず、自分の力だけで問題を解決しなければならないというある種の縛りだったのかもしれません。
結局キキは、ジジという一番の理解者が離れていくことで、ようやく単身、問題に立ち向かう勇気を身につけ、成長を遂げます。ジジがリリーちゃんに惹かれていくのも、全体の流れを考えると必然の展開だったんじゃないかな。
いろんなことを考えながら気になったことを調べてたらガチ考察さんのアカウントを見つけました。気になった方はこちらもご参照ください。
それでは。