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ミラクルフルーツの力を試してみる
はじめに
准教授の部屋に赤い果実が置いてあった。
何かと尋ねるとミラクルフルーツだと答えた。
ミラクリンという含有成分に酸味を甘味と誤認させる効果があり、おもしろグッズとしてネタにされているのを聞いたことがあった。准教授自身も小学生向けの講座に使用するらしい。
興味を持ったので自分もその奇妙な体験の被験者になってみることにした。
さっそくやってみる
Amazonで沖縄から直送。1,000円もしなかった。5粒しか入っていないことを考えると割高だが、実験をするにしては低コストで済むのでありがたい。
スーパーを回って酸っぱいものをとことん漁ってきた。ラインナップは以下の通り。
・レモン
・梅干し
・お酢
・酸っぱいドリンク3種類
酸っぱいドリンクといっても三者三様。1つは炭酸オレンジジュースみたいなやつで、甘味が強く酸味はそれほど強くない。2つ目は無糖のグレープフルーツ味炭酸で、甘味0、酸味1くらいの感覚。3つ目はレモン味の三ツ矢サイダーで、甘味・酸味ともに強め。結果的にいいバランスになった。
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とりあえず酸っぱい食べ物をと見繕ってみたが、帰ってミラクルフルーツの袋を見たら「ヨーグルトやトマトを食べてみて」と書かれており己の発想力の低さを恥じる。買い足しに行く時間もないので諦め、早速コップと皿を出してきて準備。
午後10時、食事開始。
まずはミラクルフルーツを、種と実を剥がすようにして口の中で転がしてみる。種から苦い汁が出てきて、口の中が少し渋くなるのをミラクリンかと勘違いしながら味わう。食えたもんじゃない味かと勝手に思っていたが、レーズンに似た仄かに甘い果実だった。
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続いて酸味を口に与えてみる。
まずは王道、レモンから。
ん…?
あ、甘い…?
前情報どおり、感じるはずの舌への強烈な酸味が、甘味に置き換わっている‼︎しかもその甘みはさしてくどくなく、味覚の強さ自体は半分程度に抑えられている。ミラクリンを化学合成して工業利用できたら、酸を利用した0カロリー商品の開発も、およそ夢ではないとさえ思える。
口の外まではミラクリンが効いていないから、唇だけはぴりぴりとするのがなんだか気持ち悪い。ひとまずきっちり、目標は達成。
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続いては梅干し。
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うーん、ちょっと甘いけど…
思ったより衝撃はないか?
最近の梅干しは甘めに作られているから、オリジナルもけっこう美味しくてつまみ食いをしていたくらいだったから、酸っぱさが弱かったのかもしれない。相当酸っぱさがないと効果は薄そうだ。
ならばと次はお酢を飲んでみる。
醸造酢を飲むことなど普通は自殺行為だが…
お酢を飲んだとき独特のきつさは弱まったけど…
やっぱり気持ち悪い!
お酢を飲むと、口で感じる酸っぱさ以外に食道を通りぬける際の抉られるような感覚が気になる。ミラクリンはあくまで口の中の味蕾にしか作用しないから、食道のイガイガは抑えられない。これは仕方がない。
残るジュースたちについても、概ね予想通り。酸味が甘味に代わり、その強さが若干軽減されている。どれも炭酸だったので腹がパンパンになった。
最後に、残ったレモン半分をレモン汁にして飲んでみた。
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酸味があまり軽減されていない。少しの酸味と、かすかな甘味が喉を流れていく。
酸味を感じ過ぎてミラクリンの効果が薄まってしまったのだろうか(ミラクリンの作用機序はおそらくそういう感じではないはずだが)。
やってみてわかったこと
①全体の味が薄くなる
同程度だと酸味よりも甘味の方が感じにくいように、人間の舌はできている。甘味は糖、つまり炭水化物であり、人間が必要とする栄養素であるのに対し、酸味はものが腐敗した時の味覚であり、忌避するべきものであると捉えられるためである。
というのは大学の講義の受け売りだが、これをミラクルフルーツにも見たと言える。確実に味が薄くなっていた。
②液体よりも固体によく効く
固体のものを食べる時、味覚情報を受け取るのは多くが舌の味蕾。一方で液体はすぐに食道へと流れていくので、軟口蓋や咽頭にある味蕾も味覚を感じることになる。ミラクルフルーツにおいては、口の中で転がすという工程の性質上、どうしても舌の味蕾にしかミラクリンを作用させることができないため、液体では酸味を十分に軽減できない可能性が考えられる。
なんか文語体で書いてみたら後半は論文みたいになってしまった。
たまにはこういうのもいいかもしれない。
おわり。
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