#うつ甘 #はじめに
はじめに
皆さま、こんにちは。ブリ猫。と申します。この本を手に取ってくださり、心より感謝申し上げます。
「うつ病」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか? なんでもネガティブに捉える病気? 引きこもりがち? 死にたいと言って逃げてるイメージ? 「サボりたいから、やる気でないフリをしてるんでしょ?」ってイメージ? 「なんでもうつ病って言えば許されると思ってんなよ!」……ですか? それとも「かわいそう……」と、同情??
実は私も知りませんでした。「うつ病」ってひとくくりにできないくらい細かく分類され、タイプもさまざま。「私、うつ病です」なんて、知り合いに話したら色眼鏡で見られると思ってました。そんな私は今、「双極性障害Ⅱ型」という分類の症状で通院しています。
この漫画は、同じ病の方や、その家族や友人、うつ病に今まで縁がなかった方々などに幅広く読んでいただくことで、うつ病への理解と誤解を解きたい。そして何よりこの病気で苦しんでいる方々が「自分だけじゃないんだ……っ!!」と感じてほしいと思い、描き出したものです。
なので、実はこの本は「こうするとうつ病が治った!」といった、成功体験本じゃないんです(ごめんなさい)。あくまでも、これはイチ双極性障害Ⅱ型患者のイチ奮闘記、イチ事例でしかありません。
発症してはや10年選手。世の中にはもっと私より長くこの病気と付き合って生きている方も多くいらっしゃいます。発症当初、私は「自分だけがおかしくて、自分だけが悪いのだ」という思いでとても苦しかったです。この漫画はもしかしたら、その時の自分に向けて描いたのかもしれません。
私はずっと、「あなただけが苦しいんじゃないよ、独りじゃないよ」と言ってほしかったのです。
さて、「これは リアル闘病記なのに、主人公がなぜ“猫”なんだ?(しかもその猫が猫を飼ってるってなんなんだ?)」と、多くの方が思われると思います(すみません、ややこしくて)。
描き出した当初は、自傷行為といったヘビィな表現をリアルな人間がするとなぁ……と思って、描いただけだったんです。ただその後、担当編集さんと話していて、気が付きました。
私はずっと、猫になりたかった。
猫に憧れている。
猫のように起きたい時に起き、寝たい時に寝る。
食べたくない時は食べない。
ただ一日一日をあるがままに生きている猫。
どうもそれが擬猫化して漫画を描いた理由のようです。なのでぜひ、同じ病の方は「猫のように生きる」イメージしてみてください。これは病を「受け入れる人生」への第一歩となると思います。
そしてこの本は、読んだ方が「わかる!」と思った箇所にチェックをいれておける、“書き込める漫画”です(汚していくだなんて画期的!)。
ジャンジャンチェックをいれてください。そしてそれをたとえば写メに撮り、「#うつ甘」 とハッシュタグ付きでSNSにアップしてみてください。私はこの本のどこに共感してもらえたのか、そういったことが知りたいんです。
この本のもうひとつの使い方として、そのチェックを入れた本を家族、恋人、ご友人にお渡しください。
どうしても言葉で説明できない気持ちを、この本に重ねて伝えてみてください。「私はブリ猫。の、こんなページに共感しているんだ。私もこういう状態で苦しんでいるんだ」と。もしそんな使い方をしてもらえたら、私は本当にうれしいです。
2018年8月 ブリ猫。