見出し画像

この人、知らないわ!

認知症になると、ほんとに記憶がなくなってしまう。
経験したことも、経験したことがないことになる。
知り合いも、知らない人になる。
本人の記憶の中には、ないことなので、それを知ってるでしょ?と言われても、記憶にないのだから、仕方ないです。

姑のお花さんが、認知症になり、短期記憶が乏しくなってきました。
ご飯食べたことも、「食べたっけ?」
テレビ何見てるの?「わからないわ」
今日は何月何日何曜日なのか、今日は何をする日なのかも、わかりません。

自分の名前や住所・誕生日は言うことはできます。
自分の年は…60台?と答えます。実際には80歳近くになっています。
何歳と言われて、答える年齢から、だいたい認知症が発症しているらしいよということは聞いたことがあります。そう、お花さん、60台から、発症していたのかしら?
正しい年齢を伝えると「うそぉ、そんな年なの?」と、毎回ビックリします。
夫(おジジさん)の名前も言うことができます。
だんだん、自分の名前とか住所も、呪文のように繰り返していうことが増えてきました。
なんか、忘れないように何度も何度も繰り返して言っているのかしら??
息子(長男)はわかります。名前も言えるけど、年齢は30台となります。本当は50近くになっています。
孫の二人は・・・名前は何とか出ます。やはり年齢は小学生と答える。

そして、嫁の私は・・・・?
誰?わかりません。名前はもちろん、長男の嫁というのも、わかりません。

家族の中で、一番最初に名前を忘れられました。

ある日、私の近くまで歩いてきて
「すみません、お名前を教えてもらいたいです」と言ってきました。
まぁ、私の名前をお伝えしても、すぐには忘れてしまいます。
その繰り返しです。

次に忘れたのは、上の孫でした。
下の子は、一番よく世話をしてくれました。保育園のお迎えから、お友達が遊びに来たり。私が仕事をし始めてから保育園に預けたので、朝夕、お花さんが、お昼寝布団と下の子を自転車に乗せて送り迎えをしてくれました。
いろいろと関わってくれたので、この子のことは、最後まで名前が出ていました。
ただ、名前が出ることはでるけど、だんだんそれがどの子なのかはわからなくなりました。

ある日、お花さんがデイサービス利用しているときに、デイサービスに用事があり訪問したことがあります。
その時にも、もちろん、私のことなんて誰なのか、わかりません。
デイサービスのお友達に、「お花さんがお世話になっています。私は長男の嫁です。よろしくお願いします。」とあいさつしました。
お友達の方は「あら、お花さんのお嫁さん。こんにちは」と言ってくれたのですが。
お花さん「私、この人、知らないわ。」とポツリ。
私「・・・・」なんとも淋しい。そりゃ、家の中でも誰だかわからない人なので、そうよね・・・。



いいなと思ったら応援しよう!