なくてもいいけどあったらたのしい
思えば、設計の仕事を辞めて地域おこし協力隊になろうと決意したのは、「建築」というものをもう少し俯瞰して捉えたいと考えたからでした。「まち」の中で一つの「建築」がどうふるまうか。小さな建築はどこまでの力を持ちうるのか。そして、それがどのように良い影響を及ぼすのか。そのことを追い求めてまちづくりに取り組もうと考えました。改修した空き家は「はらっぱ/Harappa」と名付けました。青木淳さんの名著「原っぱと遊園地」を思い浮かべてつけたこの名前。これから、「はらっぱ/Harappa」を運営していくことは、自分の命題について実験していくような、そんな心構えです。
地域おこし協力隊のミッションである「地域活性化」。何をもって活性化したと呼ぶかはとても難しく、いろいろな指標があるでしょう。私は自分の仕事が何のためにあるのか、協力隊になって1年半ずっと悩んできました。何が成功なのか、何が成果なのか。わからないまま模索してきました。
手探りで少しずつプロジェクトを動かしてきて、見えてきた一つの答えは、「わたしの仕事で誰かの心が豊かになること」。便利でも、幸せでもなくて、豊か。
豊かなまちづくり、場づくりで、誰かの心を豊かにしたい。
心に橙色の明かりがポッと灯るようなそんな豊かな場を作りたい。
豊かなまちとはどんなまちでしょうか。
わたしは、豊かなまちとは「なくてもいいけどあったら楽しい居場所のあるまち」だと思います。だんだん人口や若者が減るまちからはお店や映画館、子どもの遊び場なども姿を消していっているようです。
焼きたての香りのするパン屋、道路まで溢れんばかりに植物がひしめく花屋、子どもの笑い声の絶えない公園。
どうでしょう?
素敵なまちが、そこに行き交う人々の笑顔が頭の中に浮かんできませんか?
豊かなまちに。
はらっぱはその1つの要素になりたい。
ときには花屋に、ときにはパン屋に、ときには遊び場に。
姿を変えながらまちの豊かさを作っていく場所にしたいです。
そして、もちろん、まちにいますでにある豊かな場所。その場を作っている方々と手を取り合いながら、まちづくりを行なっていきたいです。
これからは豊かさを追い求めて仕事をしていきたいと新年の抱負をここに書き留めました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。