少女Yは知っている|戦禍の町に起きた“奇跡”の理由
防空壕は逃げてきた人たちでいっぱいだった。
蔵の中ってこんな感じなのかな。
薄暗いけどどこからか差し込む光で顔はわかる。
知ってるおばちゃんもおじいちゃんも皆が手を合わせて拝んでいた。
ナンミョーホーレンゲキョー
それぞれの声は小さいが読経の大合唱となった。
私はあの光景が忘れられない。
※本作は母親(当時10歳頃)の戦争体験談をもとにした小説です。
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