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大橋 雨下
2021年5月16日 16:16
お前の身体は、紙からできているんだろう。人間のふりなんかしたって意味ないよ、僕の目はごまかせない。春が来たらどうなるか、僕にはわかってるんだ。紙製のお前はこちらを振り返った拍子に、春風にその軽い身体を巻き上げられて、腰のあたりから真っ二つに折れ曲がってしまう。そしたらどうなる? だらしなく地面についたそのゆびさきは、水たまりから雨水を吸い上げる。そしてなす術もなく、見る見るうちに鏡の向こうの世界
2021年3月14日 20:19
語りすぎはからだに良くないね。今朝も彼は、あたたかい畳の上で、すでに口癖になったその台詞を繰り返す。今朝とは言っても、もうかなり日が高い。障子を開け放しているので、七月のかんかん照りの太陽が、布団に寝転ぶわたしたちのだらしない格好を世界中に暴いているかのよう。この中庭に面した書斎には女中さんすら滅多に入ってこないのに、「ほらわたしたち、いま【自堕落】をやっています!羨ましいでしょう?」ってひけら