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ちいさい春みつけた~ふきのとうをもらいました~

 川の近くを歩いておりますと、真っ白な花が咲く木をみかけました。人の家があります。庭とは違うような気がしましたが、おそらくその家の土地だと思いました。

 あまり近寄ることもできず、遠くから眺めていたら女性から声をかけられました。木の近くでしゃがみ込み、何か作業をしていたようです。

「こんにちわ」

 自分に向けられた挨拶だと思わず、どう反応して良いか迷いました。

「こんにちわ」

 もう一度、声をかけられて、おそるおそる近くまで寄っていきます。女性は、手の中にあるものを私に差し出しました。

「これね、ふきのとう。あげる」

 聞いてみれば、ふきのとうを取っていたそうです。すでに花が咲き始めているので、早めに取らないと食べられなくなると仰っていました。

「食べるかどうか……」

 ふきのとうを調理したことがありません。天ぷらにすると良いと聞いてはいましたが、今夜は予定にありませんでした。申し訳ない気持ちから、辞退しようとすると、お部屋に飾ると良いよと言って渡してくれました。

 白い花がきれいで見ていたと言うと、こぶしだと教えてくれました。

「こぶしが咲くころになるとね、毎年、ふきのとうが芽を出して花が咲き始めるのよ」

 毎年、こぶしの花が咲き、ふきのとうが地面から顔を出す。春の華やぎに心あたたまる思いでした。

 せっかくもらったふきのとう。食べませんでしたが、部屋に飾ってあります。ふきのとうの花が咲き始めています。

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