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読書感想文『エンジニアの知的生産術 効率的に学び、整理し、アウトプットする』

今更ながらパズドラにはまったせいで(2021年2月現在通算5回目)、読書スピードが一向に上がらないものの、年明けから少しずつ読んでいた本が読み終わったので、その中で学んだことや自分で実践したいと思ったことの宣言を兼ねて、整理し、アウトプットしたいと思う。

1.本の情報

タイトル:エンジニアの知的生産術
      効率的に学び、整理し、アウトプットする
著者  :西尾 泰和
出版社 :技術評論社
出版時期:2018年8月10日

2.本の概要

まず、本書の章立ては以下の通り。

第1章:新しいことを学ぶには
第2章:やる気を出すには
第3章:記憶を鍛えるには
第4章:効率的に読むには
第5章:考えをまとめるには
第6章:アイデアを思い付くには
第7章:何を学ぶか決めるには

各章それぞれ詳細に説明するのはこの場では割愛させて頂くが、著者のバックボーンがエンジニアリングであるために、事例として「オブジェクト指向」「YAGNI原則」「デザインパターン」などのエンジニアに馴染み深い言葉や著者の経験則、観察結果などを用いて解説されていると思われる。

ただし、『エンジニアの知的生産術』という主題ではあるものの、エンジニアという職業に限らず、常に新たなことを学び、複雑な課題に直面してそれを解決していかなければいけない全ての社会人にとって有用な内容と言えると思う。

例えば、第2章の「やる気を出すには」というところでは、
・なぜやる気がでないのか
・優先順位付けの重要さ
・重要事項を優先すること
・タスクの細分化
といった内容について記載されている。

本書の中でも『7つの習慣』というスティーブン・R・コヴィー氏の書籍が引用されているが、優先順位をつけて重要事項を優先するというのは、エンジニアに限らず、どのような仕事でも当たり前に重要なことである。

その他にも、古今東西の文献の引用だけではなく、著者自身が様々な実験を実際に行い、「学習する」こと自体を「科学的」に丁寧に解説している。

そのため、本書で記載されている様々な内容について、自分でも実践してみようとしたときに、非常に取り入れやすいと感じる。

タイトルにもある「生産術」とはつまり自分の中にあるもののアウトプットのやり方である。多くの手法、技術、テクニック、方法論、考え方がこの1冊に凝縮されているため、自分に合った簡単なものから少しずつ取り入れていけるのではないかと思う。

3.学んだこと

本書を読んだ中で学んだことや、私自身でも意識して実践してみようと思うことを、宣言もかねていくつかこの場で紹介したいと思う。

①ゴールは明確に
(第1章 新しいことを学ぶには - サイクルを回す原動力:やる気 - やる気を維持するには)

やる気は行動と報酬のサイクルによって維持されます。行動に対してすばやく報酬を得られることが大事です。
あなたは、ゴールがどこにあるかわからない、何キロ走ればよいのかわからないマラソンを完走できますか?
やる気を維持するためには、ゴールを明確なものにする必要があります。

本書からの引用であり、当たり前のことではあるものの、時々自分が見失うことでもある。壮大な夢や目標そのものは別に悪いことではないが、本当にそれを実現させようとしたとき、結局その一歩を踏み出すことができない=やる気が出ない理由とはまさにここにあると思う。

例えば「英語が喋れるようになりたい」という目標に置き換えてみるとわかりやすい。

「英語が喋れる」というのは最終目標であって、いきなりここを目指しても3日坊主で終わるか、せいぜい1か月ぐらいやって、思ったような効果や成果が見えず、だんだんとやる気を失って忘れた振りをするようになる。(過去何度繰り返したか。。。)

それを防ぐためには、ゴールまでのプロセスを明確にし、評価ポイントを置き、定期的に自分がやってきたことに対して得られる報酬を設定することである。例えば報酬もあるなしではなく、あることは前提としてそれを達成度合いに応じて大きい小さいで分けるなど。

自然とやる気が沸き上がってくることの方がまれなのである。だからこそ、自分で自分にアメをちらつかせてムチを打つ仕組みが必要ということ。

②遅延評価的勉強法
(第1章 新しいことを学ぶには - 情報収集の3つの方法 - 知りたいところから)

まずはあなたが「知りたい」と思うところからやりましょう。あなたの「知りたい」という気持ちが「やる気」を高め、学びのサイクルを後押ししてくれます。
本を1ページ目から読んでいくのではなく、目的を分割して、目的に必要なところから飛び飛びに読んでいきます。

私自身は書籍を読むときには、ページの先頭から順に読んでいくという読み方をずっと続けている。半分は途中から読んではいけないのではないかという強迫観念めいた思いもあるのだが、一方で書籍の章立ては前から順に読まれることを想定して構成されていると思っているからだ。

この構成に関する考え方自体は間違っているとは思っていないのだが、同時に全てを順に理解しなければいけないという思いが、本当に必要な部分以外の知識の習得にリソースや集中力を割いたり、記憶の定着を阻害しているというのも今回改めて感じた。

よく受験のテストのテクニックなどでも紹介されていたりするが、先頭の問題からやっていくのではなく、わかる問題から解きましょうというテクニックがある。遅延評価的勉強法はこれに似ていると思う。

別につまみぐいでも問題ないのだ。買うか借りるかした手元の書籍をどのように自分に役立てようとそれは自分の勝手なのだ。先頭から順に読んで全てを覚えられたらえらいわけではない。それは本書の副題にもある通りで、学び=インプットで終わるのではなく、それを整理してアウトプットすることが重要なのである。インプットも整理も、アウトプットのための手段なのである。

ちなみに私は受験の時は先頭から問題を解いていた、頑なに。今思えば柔軟性に欠ける損な考え方ではある。ただ今からでも遅くはない。と思いたい。

4.雑感

「3.学んだこと」に宣言したのは、なぜやる気が出ないのか、どうしたらやる気を維持できるのかという問題に対する解決策である。つまり、私自身のアウトプットの問題は「やる気」に集約されるのだろう。

「やる気」という言葉だけを聞けば、非常に精神論的根性論的な話のようにも聞こえるが、本書で解説されていた通り、「やる気」は科学的にコントロールすることが可能なのである。「頑張る」ことに理由付けやインセンティブを明確に与えたっていいのである。甘やかし過ぎない様に気を付けなければいけないが。

最後にもう一つ、本書での記載が非常に素晴らしい文章だと思ったので、紹介したいと思う。

何を学ぶかを決めるのは、意思決定です。何を学ぶことが有用かは、事前にはわからず事後的にしかわかりません。何を学びたいかの答えを外に求めても見つかりません。それはあなたにしかわからないことです。

今少しでも興味を持ったことが、後に役立つかなんてのはわからないし、究極的なことを言えば、どんなものでもどこかで何かしら役立つものだろうと思う。答えのないものに悩んでいるよりも、まずは最初の一歩を行動してみればいいのだろうと思う。思えばnoteに読書感想文を書くこともそうやって始まったのだった。

※よくよく読み返すと、概要も学んだことも雑感まみれなのはご愛嬌。

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