見えない月

時々、宇宙的なものとの交信できそうな公園がある。

そういう公園のことを調べてみると、埋め立てた土地だったなんてことがよくある。

盛られた土。

連れてこられた木々。

初めはたぶん、よそよそしく、腰も据わらない。

けれど、何年も何十年もそうして「有る」ことによって、徐々にその場所は浸食され、変化を続け、それ自身になる。

そして、不思議なことに、そうなってからの方が、ああ、昔ここは貯木場だったんだ、なんてことが感じられたりする。

大地の下には地下鉄。

「足の裏に電車の轟音を感じられる場所があるんだよ」と友人がいう。

フフ、おもしろ。何十人、何百人の人が動く箱に詰め込まれて何か考えたり、眠ったり、動画を見たりしている上を、覆いかぶさるように埋め尽くす植物たち。

夜の公園はとても静かだ。

木場公園の広場は、まるでコンパスの中心みたいに空の真下にある感じがして、新月の夜にその広場に寝転んでみると、見えない月が感じられるような気がした。


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