【書評】サッカー戦術本「サッカーとは何か」の解説と所感 Vol.1
浦和レッズ分析担当コーチ・林舞輝さんのサッカーの本質を問う書籍「サッカーとは何か」
サッカーというものに存在する選手・指導者・ファンの多々ある括りの中で、誰しもが本質を思考し嘆いたことがあることだろう
幾多の経験も、膨大な情報も、読み漁った戦術本も、刮目したトップにいる人たちの言葉も
噛み砕き、頭を回転させて考え、見出したとしても消し、また書き起こし
それを繰り返したとしても
最後の最後辿り着いた疑問があるとすればこれだろう
結局のところ、サッカーとは何なのか?
その漠然としていて、抽象的で、壮大な問いに対し、2つの視点からアプローチをかけた本書
“戦術的ピリオダイゼーション” “バルセロナ構造主義”
ここから考えるサッカーの本質を追求していく
そして本書ではその2つを、チームの最適化・個人の最適化に分けている
チームの最適化=戦術的ピリオダイゼーション
個人の最適化=構造化トレーニング
先ずは、戦術的ピリオダイゼーション(チームの最適化)を解説していく
“戦術的ピリオダイゼーション”の意味
早速ではあるが、言葉の意味を知っておく必要がある
この段階ではぼんやりとでも良いのでイメージをさせて頂きたい
本書記載のポルト大学・オリヴェイラ教授は以下のように定義付けている
「戦術的ピリオダイゼーションとは、サッカーにおける二つの最も重要な概念のコンビネーションである
戦術=チームでの意思決定と、ピリオダイゼーション=ベストコンディションを引き出すための期分け法
この二つの融合だ」
本書の著者・林舞輝さんは以下のように定義付けている
「従来のフィジカルコンディショニングのためのピリオダイゼーションに、さらに各チームのプレー原則やゲームモデルなどの戦術的要素を組み込んだ、『意思決定』の統一による『チームシンクロ』を目指すトレーニングメソッド」
まだ理解するまでには時間がかかると思うが、これから細かく解説していくが、言わば「戦術的」と「ピリオダイゼーション」の融合というわけだ
先ずは「戦術的」の解説を進めていこうと思う
「ゲームモデル」と「プレー原則」
根底にあるものは、表記の文字通りのことで、これがなければ話が進まない
戦術的ピリオダイゼーションを理解する上で最も重要且つ根本的な概念である
ゲームモデル・・・監督が持つチームのビジョンであり、理想のサッカーに自分たちの状況を考慮したもの(試合模型)
プレー原則・・・選手がゲームモデルを遂行しやすいように、分かりやすいコンセプトとして噛み砕いたもの(行動規範)
これらを決定し、チームに落とし込むことで、初めて概念になり得るのだ
そしてそれらは、国やチームの文化・歴史、選手の質、チームの目標に反映された中で決定されるべきである
「チームを率いる上で最も重要なことは、確かなモデルと確かな原則を持つことであり、それらをよく理解すること、そしてそれらを適切に選手に落とし込むことだ」
ージョゼ・モウリーニョー
「ゲームモデル」と「プレー原則」についてVol.1で解説してきた
続くVol.2では、トレーニングに落とし込む為に必要な理論を解説していく