【書評】サッカー戦術本「サッカーとは何か」の解説と所感 Vol.4
浦和レッズ分析担当コーチ・林舞輝さんのサッカーの本質を問う書籍「サッカーとは何か」
Vol.1では、根本的な概念を解説
Vol.2では、トレーニングにおける原則を4つ解説してきた
Vol.3ではトレーニングにおける法則の中でも難しい「カオス&フラクタルの法則」を解説した
そしてVol.4では7つある方法論的原則の残りの2つを解説していく
組織単位分けの法則
戦術的ピリオダイゼーションでは、チームを単位に分けて考えることにより、トレーニングでどこに重きを置くかをコントロールしようというコンセプトがある
トレーニングする上でこのフラクタル構造の中で一体どこに問題があり、どこに焦点を当てるべきなのかを明確にする為である
●「チーム」→11人最大の単位
●「インターセクトリアル」→ポジションは別であっても、相互関連性の深い組み合わせのこと
(右センターバック&右サイドバック&右ミッドフィルダー&右ウイング&FWなど)
●「セクトリアル」→ポジション別DF、MF、FW
●「グループ」→局面での2対2や3対3
●「個」→最少単位
上記のように単位分けを行うことで、より明確に問題点の改善に遂行することが出来る
戦術的疲労の法則
戦術的疲労とは、つまり「頭の疲労+メンタルの疲労」である
新しい環境や複雑な状況に出会い続け、集中力を使い続けると、人は頭や心に疲労を起こす
戦術的ピリオダイゼーションは、「戦術的疲労」という概念を取り入れた最初のトレーニング理論の一つであり、このコンセプトを非常に重要視している
頭というのは、少しの判断でもそれを決断する為にパワーを消耗してしまう
サッカーの試合における判断というものは、非常に難解かつ複雑で、大変な労力が必要になる
自分の能力、相手の能力、味方と相手の特性、ポジショニング、現状のスコア、時間帯、天候などなど
このように様々な無数の要素が絡み合った複雑な状況下で、選手たちは90分間休むことなく瞬時に適切な判断を下し続けなければならない
そして当然のことながら、それを続けていると頭が疲弊してしまい、適切な判断が出来ずミスが起こってしまう
即ち、頭を疲弊させない為に、判断しなくて良いようにするべきなのだ
そこで、試合の中で頻繁に起きるであろう状況では頭を使わずプレーできるように、事前に原則を決めておく必要がある
そのためのトレーニングをすることが重要なのだ
そして、ゴール前などの本当に最高の判断能力、決断力が必要なシーンで選手たちが頭を最大限に使えるようにする
「サッカーに最も関連する疲労というのは、実は身体の疲労ではなく、中枢神経系の疲労だ
つまり、集中力のキャパシティーの問題であるとも言える」
ージョゼ・モウリーニョー
ここまで戦術的ピリオダイゼーションの「戦術的」の部分を解説してきた
続いてVol.5では「ピリオダイゼーション」の部分に踏み込んでいく
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