『うきわ ―友達以上、不倫未満―』第1話を見て
『うきわ ―友達以上、不倫未満―』、OPの安藤裕子に釣られて見始めたが、役者陣の演技の妙、予兆だけが張り巡らされた画作りの不穏さに心奪われ、気がつけばEDの三浦透子が歌いはじめていた。
門脇麦の生々しい抜け感、森山直太朗の中年っぷり、大東駿介の好きあらば浮気しそうな感じ、西田尚美の平気で一線を越えそうなしたたかさ――。田中樹の華奢な体つきは陶芸教室の先生によく合っていたし、高橋文哉の既に完成された若々しい美しさには目を見張った。
おぼろげな月、仄暗い水のような息苦しいグレーディングの中、丹精なカメラワークが常に舐めるような視点で登場人物に追従していく。視聴者は彼らの後部座席や食卓机に否応なく座らされ、息の詰まる瞬間をともに体感させられる。
“結婚とは生活”であり、その生活の尊いつまらなさに満足できない人々が浮気に走るのだろう。「グラスじゃなくて缶でいいよ」という食後の洗い物を見越した本質的な気遣いはできるくせに、妻が陶芸教室で作ったグラスを使ってあげるという表面的な気遣いはできない二葉一。それに不満を抱く妻の聖。しかし、ビールを口にしたあとのため息のタイミングは同じである――というシーンに二人のこれまでの日々を想った。
噛み合わない夫婦の暮らしと絡み合う浮気の眼差しがいかなる結末を導き出すのか、“思いやりではなく保身のため”に感情を出さない一がどう気持ちをあらわにするのか、これからのストーリーが非常に楽しみだ。
期待していた安藤裕子の新曲『ReadyReady』は、遊び心のあるヴォコーダーのリズムが面白いイントロではじまり、規則的なビートのうねりの中をますます磨きがかけられたファルセットの二声が音階練習のようにサビで迸るドラマチックな楽曲だった。