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『うきわ ―友達以上、不倫未満―』第6話があまりにも面白い

 たゆたいながらも繋がっていたいくつかの関係性が断ち切られた回だった。

 心が大きく動くはずの場面で、麻衣子の目は深い海の底、靄がかかった月のように本心が奥へ奥へと逃げてゆく。拓也が告白したときも、プロポーズしたときでさえも麻衣子の目は虚ろだった。そんな麻衣子が福田のような“輝く女性”を羨ましがることが意外だった。

 「あなたに怒る権利があるの?」「怒る権利なんて私にないんで」

うきわ


 拓也は麻衣子のことが確かに好きだった。二葉にも、聖にも互いを愛しく思う日々があった。しかし、麻衣子は? それに相応しい回想シーンを私たちが目にしていないだけかもしれないが、麻衣子の心は拓也の好意を受けても、初めから凪いだままだった。

 納涼祭後の二葉と聖の食卓の風景。「もう充分かな……もっとやるべきことがあるし」「もっと優先したいことが分かったから。夫婦の時間とか」――浮気されても停泊したままだった二葉の心が動いたのは、あまりにも残酷な優先順位付けによって妻が結婚生活に再び目を向けた瞬間だった。

 シタ側が夢から覚めて現実を見つめたとき、その現実はサレた側にとって非現実にすり替わっている。シタ側が浮気というひとつの出会いによって過ぎゆく季節を感じているとき、サレた側の時間は歪められて過去に留まったままなのだ。

 それぞれの配偶者がひとときの漂流に終わりを告げ、時間が正しい形で動きはじめた。本当に辛いのは二葉と出会ったことで初めて恋心を知った麻衣子よりも、誰よりも愛していた妻の心が戻ってきたことで失った時間をきちんと自覚した二葉だろう。その辛さをようやく受け止めて、麻衣子が二葉のうきわとなった。

 麻衣子の虚ろな目が最後に誰を映すのか、二葉のうきわは本当に麻衣子なのか。残り2話で終わってしまうのが寂しくて仕方ない!

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