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探検

今年の四月はやけに寒い。今朝、寒暖計の目盛りは三度を示していた。
五月半ばに「Eisheilige=氷の聖人」という日があって、突然寒さが戻ることがある。
四月になると「春気分がおっとりとやってきて、我々に魔法をかける。そのおかげでガーデニングセンターに行ってしまい、今年の夏の窓辺はどんな色合いがよいだろうかとか、白い泡のような花で前庭の縁どりをしたいとか、トマトやハーブももちろん忘れてはいけないと、カートの中はまだ小さな苗のポットを山盛り積み上げてしまう人々が右往左往する。しかしEisheiligeまでは外に植えない方が良いと言われ、買ってきた苗をどうしたものかと途方に暮れたこともあった。
ここ数年は温かかったので、氷の聖人など今年も気にも留めずにいた。

それでも自然界は刻々と緑を増している。
時々出かける林の中にはラムソンが足を踏み入れるのをはばかるほどにぎっしりと生えている。やはり収穫に来た誰かのつけた道があったので、その道伝いに私も林の中に進むと木漏れ日に輝く緑が圧巻だ。イワミツバも若い艶やかな葉がやはり見渡す限り生えている。前回歩いた時には見かけなかったイタドリが元気よくのびていて、手折るとポキンポキンと楽しげな音がする。

ラムソン海に足を踏み込んでしまった。
垂れ下がる枝に髪を引っ張られ、苔むした倒木が行く手を塞ぎ、登ったり跨いだり潜ったりと、目指す道はそれほど遠くないのに、行く手が見えずほぼ遭難しかけている気分だった。そんな中、念願のMorchelbecherlingというキノコを発見。現金なものでそうなると俄然元気を取り戻す。右往左往をしながらもフサスグリがたくさん生えている茂みを見つけた。夏になったらもう一度見つけることが出来るだろうか?
何とか出発点に戻り、小さな探検を終えて帰宅した。

小さな探検であれ、旅に匹敵する発見がある。

皮をむき、一晩水にさらしてあくを抜き、翌日油炒め
味付け:醤油、砂糖、鰹節、唐辛子
シャキシャキした歯ごたえと心地よい酸味が良く、ごはんの友に良い。


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