貯金感覚でできる 3000円投資生活 DELUXE
こちらは投資信託と積立投資について書かれた、家計再生コンサルタントの著者による書籍です。
新型NISAが開始したこともあるので、まとめておこうと思います。
投資家ではない人にとっては、「新NISA、SP500、お金が増える」だったり、「老後2000万円、ずっとデフレ、やらないとやばい」だったり、「皆やるらしい、やろうかな」だったり、そもそも投資に興味があったところにNISAが改良してラッキーな人だったり様々かと思います。
その中でも初心者の方に向けたもので、「思っていたより投資は楽しいかも」と思ってもらうことが目標です。
プロローグ
ロンドンビジネススクールの教授の発表により「人生100年時代」と言われるようになりました。
さらに、2019年金融庁の試算により「老後は公的年金だけでは2,000万円不足する」という老後2,000万円問題が話題になりました。
特に2,000万円問題はマスコミが煽りに利用したせいで変に独り歩きしましたが、平均的な貯蓄額と公的年金だけでは足りなくなる可能性があるのは事実です。老後もずっと働き続けたい人ばかりではないでしょう。
そこで労働以外の手段でお金を増やす方法として投資が出てきます。
まず、明確な区別があるわけでもないのですが、伝統的かつ長期的な取引を投資、短期的に爆発的に増やすハイリスク取引を投機と呼んだりします。
本書で紹介するのは、株式に幅広く分散し、長期的に資産を築く投資です。
具体的には「証券口座を開設➡毎月3,000円投資する設定➡ほっておく」という長期投資です。
投資である以上減る可能性は0%ではないですが、トップクラスに資産が増える可能性が高いやり方です。
ちなみにオススメはすぐに始めることです。基本的に株式・投資信託は長期保有したほうが有利なことが多いのです。貯金がしっかり貯まってからだとスタートが遅れてしまいます。貯金と少額投資を並行して、貯金額は生活防衛資金として給料7.5か月分あればよいというのが本書のオススメです。
毎月3,000円というのは初めての人でも恐怖心を感じにくく、貯金と並行できる数字だと思います。
ぜひ、少額ずつ投資に回すことで慣れていきながら貯金も最低7.5か月分というのを目標に設定してみてください。7.5か月分を達成できている人は入金額を引き上げていけばよいです。
証券口座を開設する
証券会社選び
投資信託を買うには証券口座が必要になります。
証券会社の窓口や営業マン、銀行やゆうちょなどが一昔前までの選択肢ですが、絶対に買ってはいけません。理由は以下です。
・金融機関の窓口も証券マンもプロの投資家ではありません。金融商品を客に売るプロです。自分のお金を金融市場に投じて生計を立てている投資家から勧められる投資信託なら考えてもいいかもしれませんが、彼らは当てはまりません。
彼らが勧める投資信託は上が設定したノルマの投資信託です。
全ての窓口・営業マンが質が悪いなんてことはないでしょうが、他人の事情や勧めで金融商品を買うのはただのカモです。
・そして当然、彼らの給料となる販売手数料が乗っています。
一生懸命働いてる人はたくさんいるでしょうが、客が儲かろうが損しようが、同じく手数料で利益をあげて給料を払うシステムなのです。
・相談できることを魅力に挙げる人もいるかもしれませんが、上記を踏まえて相談する価値があるか考えてください。お金を増やしたいという相談にお金を払っては意味が分かりません。
ネット証券
じゃあどこで口座開設すればよいかというとネット証券一択です。その理由は以下です。
・全ての手数料が安い。ネットで完結するので営業の窓口職員、営業マンの人件費が乗らないこと、支店がいらないので地代も乗らないことが挙げられます。
・取扱商品が豊富。商品数が豊富ということはチャンスも多いということです。多ければいいわけではないですが、事実、店舗型よりも優良投資信託が複数あり、需要に合う商品が見つかりやすいです。
・手軽である。電話も対面も訪問もせず投資できるのでむしろ現代人には当たり前のような気もします。口座開設時もネットから可能です。
ネット証券の中でも2択
① SBI証券
口座数・預かり資産共に日本のネット証券ナンバー1の会社です。ネット証券同士でもしのぎを削っていますが、大胆な手数料削減はいつもSBIが先駆者です。ただし、サイトが少々ごちゃごちゃしているので慣れが必要です。
② 楽天証券
UIが素晴らしく直感的に扱えます。何より積立投資で楽天ポイントがもらえます。楽天ポイントは数多あるポイントの中で使い道がナンバー1です。ただし、2024年現在はポイントの改悪が続き少々価値を落としています。
※ 楽天の経営に不安を覚える人もいますが、楽天と楽天証券は別会社です。
もっと言えば証券会社には分別管理が義務付けられているので証券会
社がつぶれても預けた資産は失われません。
他のネット証券も決して悪くないところはありますが、この2社だとまずハズれはしないでしょう。
口座開設時
HPから口座開設を選び、申し込むと後日郵送でログイン情報が送られてきます。昨今では金融機関ではマイナンバーを求められます。
開設時に口座の種類を選ぶことになりますが、「源泉徴収なしの特定口座」が良いです。
・投資益が年間20万円を越えると確定申告が必要になります。
・特定口座は、損益を全て計算し、年間取引報告書を出してくれます。
・普通口座は、それがないです。自分で全取引計算するハメになります。
・源泉徴収ありを選ぶと、証券会社が税金支払いまで全部やってくれます。
・源泉徴収なしを選ぶと、自分で確定申告をすることになります。
さて、確定申告って生産性ゼロです。持っていかれる税金がはっきりするだけで何も生み出しませんから。
それなら代行してもらったほうがよさそうですが、源泉徴収ありを選ぶと利益が出るたびに利益の20%が差し引かれていきます。
すると年間利益が20万以下でも無駄に税金を払うことになります。
ここはうまくできてないので我慢です。
開設後にNISA口座申込して、口座は準備完了です。
・証券口座では、株式、投資信託、債券、外貨、コモディティなど金融商品
の売買ができます。
・そして取引の度に、NISA口座で取引するか特定口座で取引するか選ぶこと
ができます。
投資信託とは
ファンドマネージャーという投資のプロにお金を預け、運用してもらうという投資商品を投資信託といい、集まったお金のことをファンドといいます。
集まったお金は投資信託として運用するわけなので、投資信託=ファンドでもあります。
ファンドマネージャーはたくさんの人から預かった巨額のお金で世界中の株式や債券を売買して運用し、利益が出たら投資した割合に応じて分配します。
例えば、時価総額1億円の投資信託に1万円預けたとしたら時価総額の0.01%をあなたが持っています。
すると分配の時は手数料を引いて、利益総額の0.01%を受け取れるわけです。
株式にはゾンビ企業と言われる銘柄もあれば、ユニコーンと呼ばれる銘柄もあって千差万別です。成長する企業やタイミング、適した投資戦略が誰にでも描ければいいですが、そうもいきません。
また、自分で分散投資しようとするとどうしても資金力が必要になります。
投資信託だとファンドマネージャーやファンドの所有するAIが銘柄の選定、売買判断をしてくれますし、幅広い銘柄に分散投資してくれるうえに、保有銘柄の入れ替えもやってくれるのです。
名前の通り、投資を信じて託すのが投資信託です。
投資信託は、1,000以上の商品数があり、投資する前にどんな投資をしているのか説明されているのでそれを見て投資先を選びます。
その説明書が目論見書です。
プロが運用しているからどれでも大丈夫なんてことはなく、損失を出し続けてある時消えてしまった投資信託もたくさんあるので、実績のある商品を選ぶことはとても大事です。
投資信託の種類
・インデックスファンド
市場全体に連動するように設計されています。例えば「日経平均に連動するインデックスファンド」であれば、日経平均が上がればそのファンドも値がりします。何に連動するよう設計されているかが投資先選びの初手になります。
・アクティブファンド
これは市場平均以上のパフォーマンスをあげることを目標としたファンドです。日経平均が1%上昇するなら1%以上のパフォーマンスをあげようとするものです。
一見魅力的ですが、アクティブファンドの9割がインデックスファンドに成果で負けています。平均に勝る1割のファンドを見つける努力をするくらいなら、投資信託でなく、自分で個別株を選ぶ力を身に付けたほうがいいのでアクティブファンドには近寄る理由がありません。
インデックスは運用がほぼ自動的に決まるのに対し、アクティブはファンドマネージャーの人件費や運用コストが乗るので手数料も高くなりがちです。
・ETF
上場投資信託の略語で、インデックスファンドの一種です。以下のような特徴があります。
・一日一回基準価額が決まる投資信託に対して、株式と同じように値動きし
続けていて、好きなタイミングで購入できる
・信託報酬は安いが、売買手数料がかかる
手数料
投資信託には主に3つの手数料があります。長期投資の成否を左右する要素なので手数料は最安クラスを求めてください。
① 購入時手数料(買い付け手数料)
買い付けのときにかかる手数料で、販売証券会社に払うものです。
相場は1~4%ですが、ノーロードという0%の投信も増えてきています。
積立の場合は何度も買うのでやはりノーロードがいいです。
② 信託報酬
運用してもらっている手数料で、販売会社と運用会社で山分けされています。長期に渡ってかかる手数料なので出来る限り低いものを選ぶ必要があります。よく見るのは0.1~0.3%です。
積立NISAの場合は超長期保有が前提なので、期間と金額によっては1~2%の差で将来、数百万の差が出る場合もあるので注意です。
③ 信託財産留保
これは解約手数料で、相場は0~3%です。自分もいつかは払うことになりますが、超長期保有の場合はこれがあったほうが売られにくいので安ければ良しという考え方もありです。
「ノーロードで信託報酬が安いもの、信託財産留保は安いなら良し」
積立投資の強み
相場を見なくてもいい
毎月〇日に〇円購入と設定しておけばほっておけばいいのです。
初期設定時に「口数を固定して積み立てるか、金額を固定して積み立てるか」選ぶことができますが、金額固定を選ぶことが重要です。そうすると、
複利が利く
100万円を年利3%で運用ていくとします。すると1年後には103万円になっています、3万円増えましたね。
では2年目は103万円の+3%なので、106万900円になります。
複利効果といって、投資益をそのまま元本に回すことで資産の増加率がどんどん上がっていくのです。長期で運用するほどに複利効果は大きくなっていきます。
複利計算シミュレータはインターネットのあちこちに転がっているので是非やってみてください。10年20年経過する頃には単利とは大きな差が生まれます。
アインシュタインが「複利は人類最大の発明」と言ったとか言ってないとか説がありますが、膨らみ続ける借金の逆が起こると思っていただければ良いかと思います。
投資先
本書では楽天全世界がとにかく推されています。
オールカントリー
バンガードという投資会社があります。1976年に設立し、「個人投資家の利益を追求する」と掲げており、インデックス投資を生み出した企業でもあります。
運用資産は世界2位なので、世界中の投資家が信頼しており、世界最強の運用会社とも言われています。
そんなバンガードの主力商品のVTは世界中の株式の98%をカバーしています。全世界の株式の有力なものに投資してくれるので、世界経済が成長するならVTは値上がりするとも言えます。
これがいわゆるオールカントリー、オルカンです。
逆に全世界の株式がずっと上昇しないとしたら、それは世界経済が成長を辞めるということです。そんな未来があるとしたら、金融機関は全て破綻し、投資という言葉も消えるでしょうね。そのときは投資していようがしていなかろうが世界が変わります。
VTはドル建てでしか買えませんが、日本の証券会社が日本円で買えるようにしたものがいくつかあり、楽天全世界株式インデックス、SBI全世界株式インデックス、eMAXIS Slim全世界株式などです。
これらはコストの安さも圧倒的に優秀です。
もう一つの人気投資対象のS&P500はここでは割愛します。
ただ、オールカントリーでも60%ほどアメリカに投資しているので近しいところはあります。
この先も何十年とアメリカが世界経済のトップであり続けるかというと、
未来のことは誰にも分からないとは思っておいていただきたいです。
iDeCo
これは確定拠出年金が少しずつ変化して生まれたものです。
特徴
・拠出は60歳まで
・原則60歳まで引き出せない
・受け取りは一括か年金型か選べる
・税制優遇がある
メリット
・掛け金が全額所得控除される
・運用中は運用益が非課税
・期間終了後に受け取る場合でも控除がきく
これは収入のうちiDeCoに入金した分だけ所得税を節税できるということなので、新NISAとは違った活かし方があります。
また、最後は控除こそあれど、課税されながら受け取ることになり、どんな受け取り方が有利なのかも人によりけりになります。
私筆者としては先に新NISAでいいかと思います。
始めてしまえば、ややこしいと思っていたことも触っているうちに自然と理解できたりもします。
NISA口座ではいつでも現金化できるのでまずは始めてみると色んな事が分かってくると思います。
➡次記事に続く予定 他の記事へはこちらから:もくじ