「オフィスが不要になる」ことは絶対にない
これは「#オフィスは必要ですか」への投稿記事です。
ぼくは、会社のオフィスが必要なくなる事は絶対にないと思っている。それには、1自分の経験、2歴史的な事実、3この問いそのもの、という3つ理由がある。
1-1.部室の引払い
1つ目の「自分の経験」とは、数年前、学生時代に参加していた部活が活動休止となり、その部室を引き払う作業をしたことである。
自分にとっては、人生の大きな転機となったその部活が活動休止してしまうことがそもそもショックなのに、夏場の猛暑の中、エアコンも効かない部室で数十年にわたる活動の記録や部活の道具類を分類、整理する作業は、精神的にも肉体的結構辛いものだった。
でもそんな中、十数年ぶりに会う先輩や後輩と懐かしい話ができたことや、自分がいた頃の記録などが見つかったことがせめてもの救いでもあった。そして、片付けの途中、部活とは直接関係ない、新歓飲み会のお知らせの手作りポップが出てきたり、バーベキュー大会の写真が出てきたりして思わず楽しい日々を思い出すことができた。
しかし、途中であることに気づいた。そういったイベントのグッズや写真が出てくるのは、数年前のものまで。ここ休止前2、3年分は全くないのである。
色々話を聞いていると、休止2、3年前から、昔は毎週この部室に集まっていた会合がなくなり、みんなほとんど顔を合わせる事なく、各自活動をする形になっていたと言うのである。
実は、ぼくが参加していた部活は、様々な大学が参加したいわゆるインカレサークルであって、各大学には拠点がある場合もあって、普段の活動はそこで済ますことができる。最低限の活動だけするなら、数ヶ月に一度、部室に集まればいいくらいのものなのである。
1-2.活動休止に至った経緯
詳しい理由はわからない。
でも少なくともコミュニケーションの種類が広がって、最低限の連絡さえ取れれば、集まらなくてもいい状況になっていたのは確かなようだ。特に、お金がない学生にとって、交通費がかかる部室での会合は避けたいものとなってしまったのかもしれない。
結局、普段はLINEやメールでやりとりして、最低限必要な場合だけ部室に集まるという形が定着してしまい、お互いのコミュニケーション不足により、いつの間にか大学間、個人間に不信感が集まり結局は休止ということになってしまった。
活動してる内容は何も変わらない。でも、数十年に渡って続いてきた歴史ある部活が、部室という「場」に集まらなくなった途端に崩壊してしまった。
コミュニケーションツールを最も使いこなす20代の若者ですらその「道具」が「直接会うこと」の重みを越える事はできなかったのだ。
もちろん、会社と部活は全く違う。活動することに対する対価も発生するし、作ったルールを厳格に守らせることもできる。
でも、これからは自分らしく、楽しく、自主的に働いてもらう必要がある時代。
自らの意思で自由参加する部活が、中心となる「物理的な場」を失ったことで簡単に崩壊したという事実は、重く受け止める必要がある。
人が集って活動をするには、どこかにその中心となる「場」が必ず必要であり、会社にとってオフィスは必要不可欠なものなのだ。
2.歴史的な事実
2つ目の「歴史からわかる事実」とは、電話、テレビ、インターネットが出現した時の世間の反応のことである。
電話が出現した時、手紙はもうなくなると言われた。テレビが出現した時、新聞はもうなくなると言われた。そして、インターネットが出現してきた時も、新聞はもうなくなると言われた。
でもそんな事はなかった。
役割の再定義はあったものの、それぞれがそれぞれの役割を持ちながら、今も全て存在している。
「コミュニケーションツールの発達で、大きな画面とマイク、スピーカーがあればオフィスは必要なくなる」。確かに理屈上は、そうなのかもしれない。
でも、これまでの様々なコミュニケーションツールが発明され、普及してきた歴史を見る限り、その役割は少し変わるかもしれないが、オフィスが不要となる事は絶対にないのだ。
3.この問いかけに思う事
3つめは、少し卑怯な根拠かもしれない。
「#オフィスは必要ですか」という問いがあるという事実が、「オフィスは必要である」ということを示している。
というものだ。
どういうことか。
例えば今「#洗濯板が必要ですか」という質問をする意味はあるだろうか。
聞くまでもない。ほぼ100%の人が「洗濯板は不要」と答えるだろう。
つまり「オフィスは必要ですか」という問いは、その問いかけをする人やその社会の人々自身が、心のどこかで「オフィスが必要である」と思っている証左なのである。
「これからオフィスはいらなくなる」という主張は、未来を俯瞰しているように聞こえて、斬新で、時代の最先端いっているように感じる。それに対して「まだまだオフィスは必要だ」という主張は、旧態依然で、時代遅れで見劣りする。
でも事実は違う。テレワークが直接会って話すメリットを超えていると感じている人はほとんどいないはずだ。
今はいわば、時代の流れにあわせるために「今後はオフィスをなくすことも考えないとダメだよね」と言ってはいるが、みんな心の奥底では「本当はオフィスが必要だ」と思っているのだ。
これら3つの根拠から、ぼくは「オフィス絶対に必要である」と断言する。
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