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インディーゲームのボイス編集術
RPGツクールでフルボイスの2DRPGを制作しています。
僕は音楽家ですので、ストロングポイントはやはりサウンドになります。
2026年のリリースを最優先とし、「凝らない」というテーマを掲げつつ、
サウンドディレクションだけはどこにも負けないように作っています。
とはいえ、潤沢な開発資金があるわけでもなく、
ボイスアクターは全て自宅録音、いわゆる宅録声優になります。
ですので、愚直に高音質を目指すのはNGです。
なぜなら10万円のコンデンサーマイクを使用している方もいらっしゃれば、
1万円のダイナミックマイクを使用している方もいらっしゃるからです。
同じセッティングでエディットをすれば、必ず音質差が生じてしまいます。
目指すべきは、まとまりのある音作りということになります。
少し専門的な話になってしまいますが、
僕が最初に行ったのはマスタートラックの構築でした。
本来であれば、基本的には最終工程のマスタリングで行う作業です。
イコライザー、ディエッサー、コンプレッサー、プリアンプ、リミッター、
これらのセッティングを最初に行いました。
音源をルール化する、あるいは軸を決定する、といったところでしょうか。
当然、音声データは低域が足りないもの、高域が足りないものと様々。
それらをインサートトラックで補強していくという寸法です。
10万円のコンデンサーマイク、まあ、NEUMANNなのですが、
こちらのエフェクトはノイズリダクションとイコライザーのふたつ。
録り音が良いので微調整のみです。
そして他の音声データをこれに寄せていくことになります。
大きくイコライジングしたり、エンハンサーを挿したりしています。
こうして音質差を埋める作業をしています。
音楽家としては、極力高音質に仕上げたいところではありますが、
NEUMANNの音声データを持ち上げると他が追いつかなくなります。
個人開発のインディーゲームならではのアプローチですね。
余談ですが、RPGツクールに収録されているSEの音像もバラバラです。
こちらはひとつひとつインサートトラックで調整しているのですが、
音が浮かないようにディエッサーとディレイをマストで掛けています。
とにかくディエッサーが大活躍しました。
ディエッサーはボーカルの歯擦音を軽減させるエフェクターなのですが、
RPGツクールのSEに特有の耳障りな高域を削るのに大変効果的でした。
僕の中で良いサウンドというのは、球体に収まっているイメージです。
ヘッドフォンで音を聴いていただくとおわかりになると思うのですが、
音というのは高いものは上で、低いものは下で鳴ります。
ステレオですので左右で鳴りますし、様々な要因で前後で鳴ります。
僕は(3Dオーディオでなくても)3Dだと捉えてるんですよね。
2DRPGの世界で、3Dのサウンドを体験していただければと思っています。