何故「狐の国のアリス」をNFTとして出したのかを説明したい。
まえがき
私は、NFTが流行り始めた当時17歳(高校2年生)の頃から20歳(大学2年生)の今になるまで
何だかんだNFTを売り続けています。
その中で
①これまでに見てきた「NFTはパチンコ台の大量供給である」といった話を見て、これは確かにそうかもしれないと思ったこと。
NFT界(あくまでも全体平均)の「アート性」の低さへの失望など。
②そして現状としてあまりにも「NFTを買うよ詐欺」が多すぎたりNFTやOpenseaのワードを出すだけで集まってくるスパムアカウント(大体が詐欺や偽サイトなど)が多すぎることにより、生成AIと同格レベルに忌み嫌われているらしき代物であるといったこと。
③更には自身もNFT詐欺に引っかかり資産の一部を失ったり作品の保有権が削除されたユーザーに移ってしまったことなど
これらの出来事により、しばらくNFTに関して触れていませんでした。
しかし「メディアアート」という概念やアートそのものについてよく考えてみたことや、今の自分が普段最も無意識的によく考えていて夢中になっていて今後の作品に反映させて行きたいと感じられた思想などを集約させた結果として少なくともこの作品だけはNFTとしても出すべきだと考えたためにそうしました。
その理由を伝えるための具体的な作品解説をしていきます。
【作品テーマとモチーフ】
この作品は、chatGPTに「自分の好きなもの」を100個インタビューしてもらったり
そこから自分の好きそうなもの・興味を持ちそうなモチーフ等を更に出してもらうなどの手法により自己を分析したことから制作が始まりました。
(講義中にそのようにするようにという指導がありました。)
その結果、まとめると
・ファンタジーの概念
(妖怪、天使、妖精、魔法、SF的なものなど。
あと「魔術学院」の主催など、ファンタジーを現実世界に具現化させてしまおうという思想)
・動物
(うさぎ、猫とネコ科全般、狐、孔雀などが特に気になる
※特にこれらが気になる理由は「目」を連想したり目に特徴があるからな気がしている。)
・異文化的な美術や工芸品や建造物、食べ物
(ハワイやポリネシアン文様、ハワイ風鈴のマジカルスピナー、インドの曼荼羅、カレー、北欧系の色使い、トルコのナザールボンジュウなど)
・近未来的な世界観、革新性
(例えば平沢進の作る音楽&作家性に惹かれる部分やバーチャル世界への関心、ニコラ・テスラやレオナルド・ダ・ヴィンチやラマヌジャンへの興味・憧れなど)
・二極によって多面を生み出そうとする思考
(「スマホの次」という言葉が象徴するように、現時点での最新を象徴する「スマホ」を用いて西洋美術史的な絵画としては古きに属する表現である「写実」画を描くことで新たな文脈を持たせようとする試みや自身のファッションによる表現、補色の構成を好むこと。)
・哲学性
(写実表現をする中で考える「リアル」「現実」とは何なのかということなど。)
この辺りを自分が普段から特に好んでいることが分かりました。
そこから、これらの好きなもの概ね全部を詰め込み、現実世界に表した物がメディアアートの展示「差動回展」にて発表した
「狐の国のアリス?」です。
作品を作るうえで、軸として選んだモチーフが「狐」でした。
何故狐なのかというと、かつて「KITSUNE」という名前だったバー(現「13地区」)にて神棚を見たことからインスピレーションを得て 狐をモチーフとした作品を作ってみたいと突然に思った日が少し前にあったからです。
そして、狐というモチーフについて再解釈すると先述した自分の好きなもや思想(二極・二面性の生む多面性、ファンタジー、文化、リアル)を象徴するような存在だと考えたためこれを一つ大きいモチーフとして採用しました。
【妖怪の概念とテクノロジー発展に見られる類似性】
狐をモチーフにした最大の理由が、主に日本や中国辺りで生じた
「妖狐」という文化的存在・古きミームです。
狐は人間(特に美女)に化けたり人を化かすとされています。
人に見えて人ならざるものであり、人を化かすのが「妖狐」です。
テクノロジー文"化"も化け物も人が生み出しています。
つまり、多分私は人間の生み出しているものに興味があるようです。
テクノロジーもまた、人が生み出しています。
ファンタジーも人が作ったものです。
大まかな括りでは、人が生み出したものとしての共通点が見えてきました。
(蛇足:私が今まで沢山描いてきた猫もまた人を化かすとされており、そこに共通点があります。ちなみに瞳孔の形も同じ縦スリット状です。)
近年のテクノロジー文化の中で、特に恐れられているもの・よくわからない物・危ういものとされているのがまさに「AI」や「ディープフェイク」といったもの
そしてそれを「騙す」目的で使用する人間そのものです。
それら(人間そのものを含む)が生み出している心理状態や現象として、漠然と疑心暗鬼な気持ちや、「何者かが自分を騙すらしい」「偽物かもしれない(真実とは何だ?)」といった認識があります。
更にそれらから生まれているものに頓珍漢で滑稽に見えるような陰謀論、それを皮肉る「アルミホイルの帽子」といったインターネットミームなどがあると思います。
わかりやすく説明するのがすごく難しいけれど、これらは概念や構造として「妖怪」に物凄く似ていると感じました。
これが、私が今までに描いてきた写実の追求からの疑問「何が"リアル"なのか」といった部分に直接的に繋がってきます。
また、生成AI画像に見られる「マスピ顔」に関しても「美女に化ける妖狐」と奇妙な一致があるように思いました。
どういう訳か妖怪的なものは美女的なものに見える形での進化をするみたいです。(収斂進化)
ということで、妖怪=恐れが生む文化や事象 は急に出てきたものではないのだと私は解釈しました。
ディープフェイクやAI、テクノロジーへの恐れと似たようなものは常に人間の心のなかに潜むように存在していて、人間の在るところならどこにでも存在します。
そしてそれらは何故か「美女や美少女的なもの」に化けて現れます。
(「メタファー」みたいな話)
【何が「リアル」?】(仮象への肯定&実在するファンタジー,おとぎ話)
ここでやっと結論です。前置きが長くなってしまってすみません。
私は
「保有できる、買える幻そのもの」として展示の終わった「狐の国のアリス」をもう一度表したかった。
そして、これを完全な形で販売するために最適な「メディア」はNFT以外に無いと考えた のでこれをNFTにしました。
これが「メディアアート」であるために、メディアの意味を重視した選定が必要だと考えました。
「狐の国のアリス?」とは、物理的には
・キャンバスのアナログ絵画にスマホで描いたデジタル絵画を投影することで2枚の絵画が影響し合った状態、そしてその2枚の間に物理的に正面から入ることでレイヤー概念の体感と己の影が絵に影響しアナログ絵画(正体)を見られること。
・そして、そもそも間に入るという発想に気づくかどうかが人によるため、それぞれ違った主観的な物語を得られること。
そしてその違いも経験から生まれるものや思考の癖から生じるものであること。
・更に、長々としたキャプションを最後まで読むかどうかという過程も「物語」に含まれる。
というものであるため、キャンバス部分だけを売るのでは自分らしくないと思いました。
そして完全な再現自体を売ることは不可能であるため、あくまでも連続的な別作品として売りたいと思いました。
あと、何より
実はアナログ絵画の部分は描きかけの絵です。
なのでおそらくこれから加筆して別のものに生まれ変わります。
(早とちりされやすいテーマだと思っているので、自分が考えたことを余すことなく伝えたうえでの説明をしたく思い結論から書くことが不可能でした。)
【保有できる、買える幻】
私はNFTに関して色々な失望をしつつも、それでもNFTに宿っている幻性は価値に変えられるものであり自分ならばこれはちゃんとアートの文脈として活用できると最近にやっと思えました。
そもそも何故NFTが否定されてきたかは要するに「幻」だし、アートの文脈として真剣に扱えるものが居なかったからだと思います。
なので私がそれになりました。
また、NFTがAIと並んで胡散臭く忌み嫌われているものであることを活用できるのも今だからだと思います。
その点で今後(数年〜数十年後→それ以降も)の価値が生まれる可能性があると思いました。
そして、この「忌み嫌われる」という部分が妖怪や化け物というコンセプトにマッチすると思ったため尚更NFTにする必要がありました。
この、幻や意味のないものであること自体を楽しむという考えはニーチェの理論に近いと思っています。
「神は死んだ」と言ったことで有名なフリードリヒ・ニーチェは「積極的・能動的ニヒリズム」や「超人」の概念を提唱し、それになるべきだと言っています。
平たく言うなら
「人生に意味は無いけど、それを前向きに受け入れれば良いよ(それを出来る人を超人と呼ぶよ)」
みたいな理論です。
ニーチェの言う超人の生き方は「自ら積極的に「仮象」を生み出し、新しい価値を能動的に創造していく」
というものだそうです。
なので、積極的に「仮象」を生み出す態度としてもNFTにすることは最適なように思えました。
私がこれをNFT化したこと、そしてNFT版ではタイトルの「?」を消したことへの説明は以上になります。
ちなみに、2024/9/29現在まだ売れてないので買うことができます。
「MetaMask」というアプリを入れ
仮想通貨(イーサリアム)を用意し「Opensea」に存在する作品ページにアクセス。そして支払いをするだけで買えるので意外に簡単です。
初めてのNFTとして、また歴史的な1ページを得られるチャンスとしてぜひ「幻」を購入してみてはいかがでしょうか?
Let's 仮象肯定together
購入
余談:
最近知って興味を持ったもの 「Lain」について
※余談と書いたけれど、ここを読むと上に書いてある長ったらしい文章をちゃんと理解してもらえると思うので読むことを推奨。
プレミアがついているため流石に未プレイではあり多分理解は浅いと思うというか、ただのにわかファンのたわごとにはなるのですがちょっと語らせてください。
私はYouTubeの動画からLainを知り興味を持ちました。
Lainについての参照↓
Wikipedia
ニコニコ百科事典
ピクシブ大百科
私は驚きました。
どうも、私が最近ずっと考えたことと似たような概念は約30年前、既に考えてた人がいるらしい。
ということで、私が考えたことは革新的でもなんでもなかったわけなのですが
これにより、また30年後の青少年が「前田ネイトって人、30年前に自分と同じこと考えてる!こわっ!!」ってなってくれるような作品を自分も作って少なくとも30年後の驚きを自分の目で観測するまでは絶対に生きていようという目標&方向性がまた新たに一つ出来たためこれは嬉しいことだなと思いました。
そして知れて良かったなと思いました。
あと、30年も前に作られた自分と似たような思想の方向性を表現した作品群がちゃんと評価されていたことで
いま早すぎるとされていることを行い、それをいま発表するということへの自信にも繋がりました。
(ちゃんと評価されるどころか、カルト的な人気を誇っていてこれは本当にすごい。)
「遍在」するので、芯を変える必要性もないし変える気もなくて
ただ現代というか、現代を基準とした場合の「30年後」やその先をを見据えることにしただけです。
なので変わったけど変わりません。
ここで、「狐の国のアリス?」のキャプションをもう一度読んでみて皆さんも一緒に驚いてみましょう。
まとめ
「遍在」する仮象を肯定して生きようと思います。
「“神”は死んだ」けど、「遍在」していると私は思いました。
そうそう、遍在しているといえば
妖怪やアニミズムの概念や多神教の考えなどにも繋がってきますよね
(まとまらなかった)