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人間は愛着を捨てて、幸せになることができるのか 『マンダロリアン』

前回、『マンダロリアン』愛を語る超長文にお付き合い頂いたみなさま。お腹いっぱいのことでしょう。
しかし、まだ私はおしゃべりが足りないのです!よろしければお付き合いくださいませ。


シーズン2では、マンドーは、グローグーを仲間に返すために、まずは味方のマンダロリアンを探します。協力を得るためですね。

そして、シーズン2になると、マンドーとグローグーがお互いを大切に思っていることが、よりわかりやすく表現されていきます。

旅は、相変わらず困難の連続ですが、その度にマンドーがグローグーを守ります。

ピンチから救ってくれたマンドーのもとへ、グローグーがふほふほふほと鼻を鳴らしながら駆け寄り、あはっあはっと泣きの声を出しながら、抱っこと言わんばかりに両手を広げるシーンなんかは、私の大好物です。


マンドーは、ジェダイやマンダロリアンにつながる「情報」を得るために、訪れた街の安全を守る協力をしたり、クライアントが家族のもとへ移動する手伝いをしたりなど、人助けをします。

フロッグ・レディの卵に夢中なグローグー

同胞であるマンダロリアンも見つかりました。
マンドーとグローグのピンチにうまいこと現れてくれたのです。
「子供を、子供を助けてくれ」と、珍しく余裕がない雰囲気のマンドーが言います。さすがは、マンダロリアン。スムーズにグローグーを救出します。
「ありがとう」とマンドー。

ところが、彼ら、あっさりとマスクを外します。

マンダロリアンからアーマーを奪ったのでは?とマンドーは疑いますが、彼らは別の流派のれっきとしたマンダロリアンなのです。
それは、マンダロリアンは絶対に人前でマスクを外してはいけない、と信じて生きてきたマンドーにとっては、受け入れがたい事実のようでした。

一度は彼らと距離を置こうとしますが、また助けられ、結局は彼らに協力します。
協力の報酬として、リーダーのボ=カターンから彼女が知るジェダイの名前と居場所を聞きます。


=カターン・クライズ
マンダロア奪還を目指しているクライズ氏族(有力者)の娘。
リーダー。戦闘能力も抜群。

ボ=カターン・クライズ


その後、マンドーとグローグーは飛行機の修理にネヴァロを訪れ、グリーフ・カルガとキャラ・キャラ・デューンに再会します。

グリーフ・カルガとキャラ・キャラ・デューンはお馴染みの登場人物ですね

目的は飛行機の修理でしたが、彼らがマンドーに協力して欲しいことがある、と。マンドーは協力し、そこで、重要な事実を知ります。

グローグーの命を狙う、モフ・ギデオンが生きていたのです!

シーズン1の最終話の最後に、マンドーがモフ・ギデオンの飛行機を墜落させ、倒したように見えていました。(前回、私はこの説明を省いてしまいましたが)しかし、彼は生きていたのです。

視聴者だけがモフ・ギデオンの生存を知っていた状態でしたが、今回でマンドー達も知る事となりました。

このときグローグーは学校にあずけられ、お留守番。
隣の席の子のマカロンをフォースで奪っていました。
コラ〜!

マンドーとグローグーは、モフ・ギデオンに見つかる前に、ネヴァロを去ります。


そして、ジェダイと逢うことができました。

アソーカ・タノ


アソーカ・タノ
元ジェダイ・ナイト(ジェダイ・マスターの次に高い位)。アナキン・スカイウォーカーの弟子だった。

アソーカってかっこいいですねよえ。

彼女がグローグーとコミュニケーションをとることで、彼の名前がグローグーであることがわかります。
もともと、グローグーはパダワンというジェダイの訓練生でした。

しかし、「オーダー66」によって、ジェダイ聖堂が襲われ、グローグーはあるジェダイに助けられ隠された。グローグーは記憶を失っていたのです。

やらかしたのはこの人。

闇落ちしたアナキン・スカイウォーカー

闇落ちしたアナキン・スカイウォーカーです。(本作には直接出てきませんが)あんな可愛かったアナキン坊やがこんなことに。

アナキンの子供時代


アソーカは、グローグーのフォースを確認しようと、フォースで石を動かすようにグローグーに言いますが、グローグーはなかなかフォースの力を発揮しません。

この段階ではグローグーは、フォースを自由に操ることは出来ていませんでした。これまでは、本人の強い意志や身の危険が生じたときにだけ、本能的に動かしていたのでしょうかね。

アソーカに促されて、マンドーが指示をしても石は動きません。
そこで、マンドーはグローグのお気に入りの球体(レイザークレストの操縦バーの取っ手なのですが、グローグーはこれがお気に入り)を出して、グローグーに声をかけます。

グローグーにとっては、お気に入りのおもちゃです。グローグーはフォースの力で、見事に自分のもとへ球体を引き寄せました。

それをみたマンドーは、
「グッ ジョーブ!!」
こんなにテンション高く、嬉しそうな声を出すマンドーは見たことありません。我が子のことを「ウチの子は天才だ」と喜ぶ父親のようでした。

この子を訓練してくれないか、とアソーカにもちかけるも、「(グローグーは)あなたを慕っている。あなたを慕うあまりに、恐怖や怒りに対して無力だ」とアソーカ。
「だったら、なおさら訓練してくれないか」とマンドー。
しかし、アソーカは、「負の感情には最高のジェダイも勝てなかった」と懸念を示します。


実は、この地でアソーカは命を狙われています。マンドーは、協力する代わりにこの子を訓練してくれないか、とアソーカに交渉します。


アソーカに協力したあと、マンドーは「お別れの時間だ」と言って寝ているグローグーを起こします。グローグーが目を覚ますまで抱っこして、起きたグローグーの身なりを整え、アソーカーに託そうとします。

その様子を見たアソーカは「まるで父親ね」と言い、訓練を断ります。
「話が違うじゃないか!」とマンドー。
代わりに、惑星タイソンの遺跡がフォースと強く結びついている、と情報をくれました。
「ありがとう」とマンドー。 

マンドーはアソーカに教わった場所を目指すことにしました。


飛行機の中で、マンドーはわざと、グローグーの名前を何度も呼びます。
その度に反応するグローグーをみて、「ははは」と笑うのでした。
マンドーも笑うのですね!

グローグーの可愛さを楽しんだあと、マンドーはこうも言います。
「お前は特別な子だ。いるべき場所を探して、仲間のもとに返してやるからな」
それは、自分自身に言い聞かせているようでもありました。


アソーカーに言われた古代遺跡に着いた2人。
見たところ、何もなさそうな場所です。
何かありそうか?とマンドーが尋ねるも、グローグーは蝶々に気を取られている始末。

本当にここか?などと思っているなか、何者かが近づいてくるのが見えました。マンドーはその場を去った方がいいと考えますが、グローグーは瞑想スタイルに入り、強力なフォースを発し始めます。

「後にしてくれ」とマンドーが声をかけても瞑想モードのグローグーには聞こえません。マンドーが近づこうとすると、フォースに跳ね返されてしまいます。


仕方なく、グローグーをそのままにして、接近した者の正体を確かめにいくのですが、そこに現れたのは、ボバ・フェット(スターウォーズ本編の人気キャラ)とフェネック・シャンド(マンダロリアンのシーズン1に登場する)でした。

ボバ・フェットとフェネック・シャンド


別の件でマンドーが報酬として受け取ったアーマーを取り戻しにきたのでした。
互いの誤解もあって結局彼らは敵ではなかったのですが、そのあと、モフ・ギデオンの部下が現れ、グローグーが奪われてしまったのでした。

ボバ・フェットとのやり取りの中で、マンドーがジェットパック(背中につけている空飛ぶ道具)を外していたのが痛かった。つけていれば、グローグーを奪われずに済んだのかも...。

マンドーの飛行機、レイザークレストも爆破されていました。マンドーは、残骸から、グローグーお気に入りのあの球体を見つけ、大事にしまうのでした。


マンドーは、キャラやボ・カターン達マンダロリアンに協力を仰いで、グローグーの救出作戦を開始します。
ボバ・フェットとフェネックも協力してくれることになっています。


作戦の途中、やむを得ず、マンドーはマスクを外します。
マンダロリアンの教義に忠誠であることは、マンドーの中核にあるもの、アイデンティティでもあるわけです。グローグーのためなら、それさえも捨てたのですね、マンドーは。


そして、マンドーは、モフ・ギデオンに、メッセージを送ります。かつて、モフ・ギデオンがマンドーに向かって言ったセリフと同じ言葉です。

「あれが何か知っているつもりなら間違いだ。まもなくあれは私のものだ。私にとっていかに重要かお前は知るまい」

翻訳すると、「俺の大事な息子を返せ」ですね。

同じ言葉でも、発する人によって意味は変わるものなのです。

普段は、クライアントや敵とも淡々と冷静に交渉をするマンドーにしては珍しく、厳しい口調の宣戦布告でした。

フォースで抵抗するグローグーに「腕をあげたな」とモフ・ギデオン
あんたのためのフォースじゃないやい!


なんとかグローグーを救出し、モフ・ギデオンを捕らえるも、何やらモフ・ギデオンは余裕な様子。彼の軍隊の力はすさまじく、脱出は不可能と思われるほどマンドー達は追い込まれます。

そこに謎の船が到着しました。敵か味方かわかりません。
降りてきたのは1人のマントを羽織った人物。マンドー達でも歯が立たなかった敵の兵士を光る刀で次々と倒していきます。

あの光はライトセーバーでは!

そう、ルーク・スカイウォーカーでした。

ルークの父、アナキン・スカイウォーカーを彷彿とさせる圧倒的な強さです。スターウォーズのスピンオフ映画『ローグ・ワン』にダースべーダーが現れたときの絶望を思い出させます。


マンダロリアンは、エピソード6のあとの世界ですから、ルークも若き姿であるはずです。 本作では、スターウォーズ本編のルーク役のマーク・ハミル本人が演じ、若い時代に見えるように合成されたそうです。(追記:体の部分は別の方が演じたそうです)

ルークは、グローグーを迎えにきたのでした。
「おいで」とグローグに手を差し出すルークに、
マンドーは「行きたがっていないようだ」と言います。
「君が許可すればいいんだ」とルーク。そしてグローグーを「ジェダイに育てる。命をかけて彼を守る」とも。

マンドーは、グローグーを抱きたげてルークと一緒に行くように促します。
マンドーのマスクに触れるグローグー。マンドーはマスクを外します。グローグーが初めてマンドーの顔を見て、触れた瞬間でした。

マンドーの目には、涙が光っていました。
「恐れるな」とグローグーを励まします。

マンドーは、抱いていたグローグーを床に下ろします。いつものようにグローグーはマンドーの足元にまとわりつくも、マンドーはそれ以上抱き上げません。

そこへR2-D2が現れ、グローグーに話しかけます。ドロイド語がわからない私には、どんな話をしたかわかりませんが、R2-D2の言葉で、グローグーがルークとともに行く気になったような印象でした。

グローグーはルークに抱かれ去っていきました。

涙をこらえるマンドーの姿には、せまってくるものがありました。


さて、場面は『ボバ・フェット』の6話に移ります。
グローグーは、ルークからジェダイの訓練を受けています。
訓練中、大好きなカエルに気を取られたりもしますが、基本的には素直に訓練を受けているようです。


ある日、マンドーは、ベスカーで作ったグローグーのためのアーマーを持ってグローグーがいる星を訪れます。
しかし、なぜかマンドーはなかなかグローグーに会えません。そこへアソーカが現れます。

「グローグーの無事を確かめたい」とマンドー。
アソーカは「ルークといれば、安全だ」と。それに、グローグーはもうマンダロリアンの孤児ではなくパダワン(ジェダイの訓練生)なのでは?と。

「会いたい」というマンドーに対して、「それはあの子のためか、自分のためか」とアソーカが問います。
今マンドーに会えば、そのあと、グローグーが恋しさに苦しむ、と。

愛着や執着はジェダイにはご法度なのです。

遠くから見たルークとグローグー

そう言われたマンドーは、「いずれにせよ、これはあの子の身を守る」と、アーマーをアソーカに託し、遠くからグローグーの姿を見ただけで去るのでした。

一方、マンドーの飛行機が去るのを目にしたグローグーは、飛行機に向かって手を伸ばします。

ルークの背中で、マンドーの飛行機に手をのばすグローグー


こんなに小さな子がこんなにも恋しがっているんだから、帰してあげて!訓練よりもこの子の幸せ考えてよ!と、私うさみみは、グローグー以上に耳をパタパタとさせながら、画面越しに声をあげてしまいました。


訓練を続けつつも、グローグーがマンドーのことを恋しがっていることに気づいていたルークは、グローグーに選択をせまります。

マンドーの贈り物のアーマーを受け取るか、マスター・ヨーダのライトセーバーを受け継ぐか。

もし、アーマーを選んだら、マンドーのもとへ帰れるが、愛着に負けたことになりジェダイへの道は閉ざされる。
ジェダイの道を選ぶなら、修行には何年もかかる。「お前にとっては短い時間でも、人にとっては一生かもしれない。二度とマンドーに会えないかもしれない」と。


そうでした。900年生きるかもしれないグローグーの寿命は、マンドーの寿命よりもずっと長いのです。仮にマンドーと一緒にいるとしても、マンドー亡き後の日々の方がずっとずっと長いわけですね。
あはんあはん。
しかし、今はそのことは考えないようにしましょう。


グローグーはどちらを選んだか。
シーズン3でマンドーとグローグーが一緒にいる姿のサムネイルを見れば、どちらを選んだかは明白ですね。


ルークの父、アナキン・スカイウォーカーは強いフォースを持ち、飛び抜けた才能があったにもかかわらず、ダークサイドに落ちてダースべーダになってしまいました。
それは、愛ゆえでした。母親を失ったばかりのアナキンは、妻を失うのを強く恐れたがために、ダークサイドの誘惑に負けてしまったのです。

それを知っているルークだからこそ、グローグーにこのような選択肢を与えたのかもしれませんね。

マンドーとグローグーは『ボバ・フェット』の7話でとっても可愛く、素敵に再会しますので、その様子はぜひ作品でお楽しみくださいませ。
私は、そのシーンを何十回も再生しました(笑)


私はずっと、ジェダイという存在に憧れていました。
心の平安を極めた存在としてカッコいいなあ、と。
昔は、スターウォーズの「フォース」は「理力」と訳されていたと知ったときは、不思議な感動を覚えたものです。

May the force  be with you.
どろっとした感情にのみこまれそうなときは、この言葉をお守りのように心に唱えてもいました。
何かに心を乱されずに、生きていけたらいいのに。

しかし、本作でこう思うようになりました。
ジェダイって無理ゲー。

確かに、強すぎる愛着や執着は人を狂わせることがあります。
ですが、人は愛着を持たずに生きられるのか、愛着を捨てて生きて幸せなのだろうか。
なんていう風に思うようになりました。


今回も長くなりましたね。

マンドーの膝の上がお気に入りのグローグー
このページの画像は、ディズニー公式サイトとディズニー公式チャンネルより

シーズン3では、グローグーはよちよち歩きから、とことこ歩きに成長しています。人間の言葉もほとんど理解できているようです。もちろん、成長はそれだけではありません。

シーズン3は主に、マンドーのアイデンティティの回復とマンダロリアンが失った故郷を取り戻すことがテーマ、といったところでしょうか。

今回も、お付き合いありがとうございました。

おしまい。


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