2400円の傘
私が行く病院には、変わった人が多い。
まあ、当然の理かもしれないけど。
誰彼構わず、自慢話をしたい人もいれば、不幸話がしたい人もいるし、かと思えば、病院に来てるのに、薬なんかいらないよと言って、なのに薬局で大量の薬をもらっていく人もいる。
カオスだ。
理屈なんて求めちゃいけない。
何でもありが世の中よ、と病院に行くたび学ぶ。
この間の診察日、私は直接喋ったことが、あまりない自慢話おばあちゃんと出会った。
大きな声で自慢話(?)を延々とするので、あまり話したことがなくても、「ああ、あの人」と分かってしまう。
その日は雨が降っていて、病院の入口には、傘を入れるビニール袋が置いてあった。
おばあちゃんは、私を見ると早々に話を始めた。
おばあちゃん「雨降ってるね」
私「久しぶりにしっかり振ると、少しは涼しくなりますかね」
おばあちゃん「この傘、晴雨兼用で、日傘にもなるの」
私(そうなんだ)と、頷く。
おばあちゃん「2400円!」(自慢気)
私は固まった。
2400円の傘は、おばあちゃんにとって、高いのか、安いのか。値段の話だろうとは思うけど、自慢なのはどっち方面?
私の地元(病院がある)で、2400円の傘は絶対に高い部類に入る。
ても、最新式の晴雨兼用の大きめ傘で、2400円は安い? 高い?
おばあちゃんはかなり自慢気。
腰に手を当て、鼻を天に、と言った風で、私の反応を待っている。
迷って迷った末に、私は
「そういう傘、最近ありますよね」
と答えた。
安いですね!
と言っても、
高いですね!
と言っても、
外れたら、どっちも問題だし、どっちも失礼だし。
私の返答で、おばあちゃんの心は折れたらしい。
お喋りで、口から生まれて、口が動いてない時は、死ぬ時みたいな人が黙ってしまった。
うわー。。。やっべ。
なんか違うこと言ったみたい。。。
でも2400円の傘なんて、どう判断したらいいか、かなり微妙すぎるラインじゃないか。
どう見ても普通の傘だし、高くも、安くもない、ような。。。
自慢ポイントは、「晴雨兼用」の方だった?
うーん。。。
わからん!
おばあちゃんは、別の患者さんを見つけて、今度は尿管結石になった話(自慢話)を始めた。傘の自慢話はやめたらしい。
尿管結石になったって、自慢なの? 分からないあなたに激しく同意。
でも、このおばあちゃんは、普段と違うことが自分に起きたら、全て自慢ポイントなのだ。
ピザ生地を自分で作れることも、その作り方を伝授できる自分も、仕事に行くことも、風邪をひいたことも、処方薬が変わったことも……
なんだかよく分かることから、分からないことまで、全てお喋りの話題になるだけでなく、みんなに触れて回りたい自慢ポイントになる。
その自慢話に行き合う人は、大抵は「へえ! すごいね!」と言う。
私も傘の値段に惑わされず、「それは良い傘を買われましたね!」とでも言えばよかったのかな。。。
話の腰を折るつもりはなかったのに。
でも、2400円ってどっちのつもりだったんだろう。
謎。
【今日の英作文】
疲れている時は、大抵冷静ではありません。
When I'm tired, I'm not usually being calm.
#日々 #日記 #文章 #エッセイ #毎日note #毎日更新 #アウトプット英作文 #人生勉強 #2400円の傘 #自慢話 #話の腰を折るつもりはなかったの #どっち #珍風景 #病院あるある