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愚問

私には、恋人がいたことがない。

物理的にも、脳内的にも。

恋人とか、恋愛とかがよく分からないまま生きている。

私のきょうだいは、SNSで繋がった人と恋人している、はずだ。

「恋人する」という言葉は、恋をするとか、付き合うとかいう言葉に置き換えが可能かもしれないが、きょうだい本人と私が何年も話をしていない上に、これからもする気はないので、本人たちがどんな気持ちでいるのかなどを知りようがなく、適当に使うにはと考えて、「恋人する」と言っている。

きょうだいが今恋人している人が、恋人する人として人生で何人目なのか、私は知らない。

私ときょうだいがまだぽつぽつと話をするような間柄の時、私には不思議だった。

色々不思議だった。

家にひきこもっていて、ゲームばかりしているのに、どうして恋人する人ができるのか。

SNSで繋がって恋人する人ができるとは、どんな感じなのか。

古い言い回しでは、女の人はクリスマスケーキとか言うのがあったらしい。

25日(歳)過ぎたら、価値がなくなるとかいうやつだ。

あまりに差別的で、ひどい言いようなので、私は納得できないし、嫌いだけど、そういう言葉や、風潮が日本にはあった(今も形は違えどある)と学校で習った。

25歳を男女問わず、何となく節目のように感じていたのかもしれない。

きょうだいがクリスマスケーキになったか、もう過ぎたころだったと思う。

私はきょうだいに、「そのSNSで繋がった恋人する人と、いつか結婚するのか」と聞いた。きょうだいは、「さあ」と答えた。

きょうだいのパートナーの選び方なんて、どうでもいいと思いながら、そんな怪しげな人と恋人するというのは、どれくらい真剣なんだろうと思った。

当時の私は、恋人する人と必ずいつかは結婚しなければならないと思っていたわけではないけど、家にひきこもっているきょうだいの行く末が、自分の人生とどう関係するか、いつも心配だった。

人はいつか結婚するつもりで、恋人するのか。

もしその怪しげな人が、いつか家族になることになったら、自分は帰る先(実家)を失うのではないか。

有り体に言えば、私はきょうだいのことが心配なのではなく、自分のことが心配なのだ。私ときょうだいはそういう関係だ。

恋人がいたこともなく、恋人したいこともなく、恋人関連の常識的なものがまったくない私は、不思議でたまらない。妙な不安でいっぱいだ。

さて、時間は流れて。「いつか結婚するつもりで、恋人するのか」という質問は今は愚問だったなと思う。

自分の人生に煩わしいことが、さらにプラスされるのはごめんだから、きょうだいのパートナー選びの方法が迷惑と思っていることに変わりはない。

でも、結婚するつもりも、しないつもりもなく恋人する、ということは普通にある。ということは、あれから時が過ぎて分かった。経験はないままだけど。

きょうだいが今、あの恋人してた人と何をどうしているのかは知らない。今同棲している相手が、あの恋人してた人なのかも知らない。

あの時の「さあ」という答えは、きょうだいなりの正直な感想なんだろうと、今は思う。

私には恋人することがよく分からないけど、いつか結婚しなきゃならない人がいて、そういう義理のような人間付き合いなんて面倒でやってられない。許嫁制度の下で生きてるわけでもないのだから、自由でいたい。当たり前のことだ。

先のことは分からないままでいいと思う。

私は、きょうだいに「さあ」と答えられて、またいい加減な返事をされたと思ったような記憶がある。

私の言うことだから、適当に答えたんだろうなと。

でも、答えられないし、答えても意味のないような質問だから、きょうだいが「さあ」と答えたのだと思うと、自分の無知さが恥ずかしい。

まさに、愚問。

【今日の英作文】
「SCANDALのウェブサイトの占いをチェックした。TOMOMIさんが腹筋を100回するようにアドバイスしてくれた。ありえーん!」

"I checked the fortune telling on the web site of SCANDAL. TOMOMI advised me to do sit-ups one hundred times. It's really unrealistic!''

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